花束の約束 - 第0話
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⒈花束の約束【第0章】- episode of zero -〈第0話〉『 拝啓、あの日の少女へ 』
やぁ、こんにちわ。
ボクは時の神様です。つまり、偉い人です!
イキナリだけど、この世界には沢山の物語が誰かに読まれる為に眠っているよね。
有名な小説や国民的映画などがそれさ。もちろんボクの大好きなアニメや漫画もその一つ。
ボクらの住むこの世界には、人が作り出すありとあらゆるifで満ちている。
じゃあもし、そのifの世界が現実なら?
この世界にはパラレルワールドと言う言葉がある。
ご存知の通り、それは全ての世界線を意味する。
並行世界、平行時空、平行宇宙とも呼ばれていて、人々の考えつく全ての可能性を実現した世界の事だ。
それは「もしもの世界」から「そんな世界」まで、ほぼ無限と言える程の数を持っている。
たとえば、“この世界と全く同じ世界がもう一つあったとしたら?”って考えると面白いかも知れない。
その世界には、もう1人のボクらが存在していて、カレらも同じように生活している。まるで鏡合わせのように。
そしてボクらの世界とカレらの世界は、お互いに干渉することは無い。
そうやって、パラレルワールドは並行を保っている。
さぁ、こっからが問題さ。
そんな並行世界に干渉出来ないボクらが、唯一世界を跨ぐ事の出来る可能性ってなんでしょう?
科学の進化? 多次元宇宙論? もしかして、未来の世界からド○えもんに頼み込んで、もしもボックス借りてくるとか(笑)
ある意味正解、ある意味不正解。
ボクらが映画やアニメみたいな異世界に行くには、人間の知能じゃあむりなのさ。
そーゆー時こそ、神様にお願いしないとね。
神様って意外と優しい連中なのさ、たまに怒ると手がつけられない奴も居るけどね。
だから人間が可愛くおねだりしたら、神様は人間に神の権能を与えてくれる。
逆に神に逆らったりしたら、ボクらはその子にイジワルしたくなっちゃうのさ。
つまり、全ては神々《ボクら》の気分次第。
君が明日を生きられるかどうかも、ぜーんぶボクらが決めてる。
だから、精々、上手に生きなきゃダメだよ。
さて、少し話が逸れてしまったね。じゃあ話を戻そうか。
人間が異世界に行くには、神様に頼る必要があるんだけど、誰でも頼めば行ける訳じゃない。
もちろん、それ相応の人間でなければ、行けるはずもない。
あ、悪魔になれば、誰でもパラレルワールドに行けるけど、オススメはしないよ。
だってあれも全て神のイタズラだからね。
じゃあ、どうすればいいかって?お待ちなよ。
とても簡単で、単純で、明確な答えがあるんだから。
さて、時間も無いし、そろそろ始めようか。
何をって。そんなの決まりきった事じゃない。
ただの人生《ヒマツブシ》さ———。
◇
【天界・月の栄(ソロモン宮)】
ここは、天界・月の栄と呼ばれる精霊の都。
現世で死した者や、これから生を受ける者達が霊体のまま暮らしている世界である。
その月の栄には大きな宮殿があり、そこには霊達を統治する1人の王が暮らしている。
その名もソロモン。知恵を司る者だ。
彼は月の栄をとまとめる為、神々より任命された王である。
しかし、その日の天界には、ある噂が囁かれていた。それは王宮の中でも感じ取ることの出来る内容だった。
「ソロモン王よ、誠なのですか?“時の権能”の獲得者が新たに誕生したと言うのは。」
王宮大臣達は、一斉にソロモン王へ問いかけた。
「俄に信じられませんな。我々が800年もの間、現世を探し続けてきた逸材が、まさか人間の中から生まれてくるとは。」
「尚且つ、その体には悪魔を宿しているなんて‥‥‥。」
「じゃが、これも運命の導きかも知れん。全ては王の御心のままに。」
そして彼らは、ソロモン王へ謙った。その様子を、ソロモンは鋭い目つきで見下ろした。
「王よ、お聞かせください。あなたのご判断を!!」
◇
それは、特別な物では無く。唯一の物でも無い。皆んな持ってるし、皆んな大切にしている物。
時には捨ててしまいたいと思うのかも知れない。時には忘れてしまいたいと思うのかも知れない。
それでも僕らはずっと忘れないし、ずっと手離さない。
いつも小さな心の中に閉じ込めて、いつか果たせるその時まで。
僕らは進み続けるのさ。真っ直ぐに。
そう、君もまた、花束と約束を交わすだろう——。
Aden・gra・veolens
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