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バイオレンス母。

母について書いてみる。

母は、小さい頃に両親を亡くしている。
そのため、2人の弟を自分が母親代わりとなって育てており、そのことを誇りに思っている。そのため、2人の弟に対する愛情が兄弟への愛情ではなく、母親としての愛情なのだろう。

ここからはあくまで私の主観であるが、母は愛情をかけるバランスそのものが完全に崩壊しており、それが私へのバイオレンスに繋がっていたのだと考えている。

母はこの2人の弟のこととなると、周りが完全に見えなくなる傾向にある。
父のことはもちろん、娘である私までも、完全に敵視することもあるのだ。そんな時の母はいつも以上に聴く耳を持たず、時には泣き叫び、悲劇のヒロインまたは暴君と化す。

そして母である彼女は、私の全てを知っておかなければ気が済まず、私に完璧を求める性分だった。例えば、友人との交換日記を勝手に読み、その内容に激怒する、テストの結果が90点以下は決して許されない、宿題をしていたら突然、何の前触れもなく椅子ごとひっくり返される、などなど・・・。
高校を卒業するまでの私には、プライベートが皆無だった。いわゆるこちらは「歪んだ過干渉」である。もちろん私には、反抗期を迎える余裕がなかった。

そんな歪んだ母性を見に纏う母であるが、私にとっては親であり、彼女にとっても私は唯一無二の娘であるため、時間的距離、心の距離のバランスを心地よい程度に取りながら、親孝行をしていきたいと考えている。

なぜなら、私が年齢を重ねているように、かつてバイオレンスだった母も今では「それなりに」穏やかな初老の婦人になってしまっているからだ。

これから先、母がさらに年齢を重ねて私の顔を忘れることがあったしても、母が私にくれた「ちょっとアレ」な愛情を胸に、彼女を支えていきたいと思っている。

とあるアニメで知ったこの言葉が、いつも私の心にある。

「家族はいなくちゃいけないものではないけれど、いたら嬉しいものでなければならないんだ。」

楽しくなくたっていい。自分の幸せとかわからなくていい。
自分以外の誰かが心に居ることが、ただ嬉しいものであればそれだけでいいのだ。私はそう思う。

つい最近、テレビのニュースを見ていた母が突然、私に向かってこう言った。
「ねぇ。あなたが小さい頃に私がしていたことって虐待かな?」
私は一瞬迷ったが、こう答えた。
「そう?」

うん、これで良い。


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