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推しは推せる時に推せ、人だけじゃなくて、場所だっていつか消えゆくぞ

2022年2月13日、私の推しがひとつなくなる。

「HMV&BOOK HIBIYA COTTAGE」を最後に推させてほしい

あなたには推し本屋はあるだろうか。私はある。「HMV&BOOK HIBIYA COTTAGE」。(以後本文では「日比谷コテージ」と表記させていただきます)HMVという大手チェーン店ではあるが、そこには独自の“色“があった。それは“すべての女性を応援する本屋”であることだ。

ちなみに上記記事は今回このnoteを書くにあたって初めて読んだ。女性のための本屋だなんて、日々通う私からすると自明のことだった。フェミニズムのコーナーがあったり、女性のエッセイをまとめた棚があったり、他の本屋とは全く色が違っていて、一気に好きになった。1番びっくりしたのが、劇団雌猫のZINEがナチュラルに置いてあったことだ。そういうの、同人誌即売会に行かないと買えないと思ってた。普通に本屋に置いてあって二度見したのを覚えている。

日比谷コテージと私

私と日比谷コテージの出会いは多分2019年ぐらいだと思う。フェミニズムという言葉を認識し始めた頃、私は日比谷コテージを知った。その前から日比谷コテージを知っていた、かもしれないけど、私のアンテナからは外れており、私の知る数多くの本屋の中の一つだった。初めて訪れた時は別にフェミニズムの本を探していたわけではなかったはず。確か何の気なしに立ち寄っただけ。きっとフェミニズムが日比谷コテージと私を繋ぎ合わせたんだと思う。

棚にはエッセイや小説、女性だけでなく男性も鼓舞してくれるような本が並んでいる。世の中のしがらみを解いてくれるようなお薬のような本が並んでいる。新しい気づきや視点を与えてくれるような本が並んでいる。寄り添ってくれるような本が並んでいる。そこは私にとって癒しとなり、欲しい本がないにしても日比谷や有楽町、銀座に用がある時は必ず立ち寄った。エスカレーターを登ると見えてくるカラフルな景色。それだけで心が躍った。そしてエスカレーターの目の前の、1番目立つ棚。その棚に並ぶ本1冊1冊味わうように眺め、ほろりと心がとろけていくのを感じては、ああ、ご褒美だなと感じていた。

閉店というツイートを見た瞬間、ショックで叫んだ。大切な場所が一つなくなってしまう。

もうあんな、心とける瞬間はもう味わえないのか。

最後の訪問してきました

先日、鉄壁装備をした上で訪問してきた。久々に遠出した(最近フルテレワークなので)。以前から「絶対日比谷コテージで買おう」と思っていた本を買いに出たのだ。結論から言うと、1万円分ぐらい買った。僕のマリさんの「常識のない喫茶店」とか、千早茜さんと新井見枝香さんの「胃が合うふたり」など、エッセイ中心に買った。あとはこんな文庫本。

日比谷コテージは企画もよくやっていて、例えば誕生月別のおすすめ作家だとか、表紙を隠した企画だとか、今月のオススメ5選だとか。センスのある且つ普段買わない本を書いたくなる企画をめちゃくちゃたくさん行っていた。せっかくだから今回表紙を隠している2冊買ってみた。ジャケ買い失敗するタイプなので、ちょっと中身を読んで厳選はさせていただいたが、それでもビビッときたものをチョイスした。にしても、最近私ごはん系の本いっぱい買ってるなあ。たっぷりなバター。

だいたい1時間ぐらいいたと思う。いろいろ欲しすぎて厳選しまくってたらあっという間に時間が過ぎた。お客さんは途切れなかった。きっとみんな別れを惜しんでいるんだろう。

ようやくお会計。ブックカバーつけますか?いえ、大丈夫です。…文庫の方はつけますか?いえ、大丈夫です。

あの、ずっとこの本屋に癒されてました。励まされてました。元気もらってました。本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

…って言えなかった。何故か緊張してしまい、ブックカバーつけるかどうかの質問も挙動不審になりながら「や、っだ、大丈夫です」とどもってしまい、最後「し、写真だけ、撮ってもいいですか、他のお客さんの邪魔にはならないように、するので」だけ言った。それは言えるんかい。店員さんはすんなり「どうぞ」と言ってくださって、私は最後に写真を撮って店を去った。

本当に今までありがとう。

私は思いっきりここで買い物してきたと思う。好きなアイドルのCDも敢えてここで買った、本も幾度となく買った、実は本屋大賞受賞前の「流浪の月」を買ったのもここだった、運命的な出会いを何度もここでしてきた。繋ぎ止められるほどお金を落とせなかったけど、うん、1番お金使った本屋だと思う。だから、閉店は悔しいけど、私の推し活に悔いはない。悔いはないとは言うけど、寂しさはめちゃくちゃある。もっともっと長く通ってたかった。悲しい。

日比谷コテージのZINEはゆっくり読みます。ブックカバーも、文庫本を持ち歩く時に使います。素敵な本屋があったことは、ここに語り継ぎます。あなたの記憶に残りますようにと祈りながら、書きました。


最後に

で、最後ね、銀座の街を歩きながらなんか引っかかるな〜って思ってたんですよ。店員さんがブックカバーつけますか?って聞いてくれたあの感じ、なんだろう、なんだ…
あ!!!!!!!!そうかブックカバー、日比谷コテージデザインのものなんだ!!!!!!!!もう今後どこでも手に入らないものじゃん!!!!!!!!!

やらかした。ショック。買った本が多かったから気を遣ってブックカバーいらないですよって言ったけど、そっか、ファンはきっとみんなブックカバーかけてもらってるんだ。私、なんてことを、盲点だ…!

一応家にあるけど、あぁ…。家にあるのを大切にしよう…。ちなみにこの中身はスイスイさんの「すべての女子はメンヘラである」。落ち込んだ時に何度も救われてます。

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日付変わってるので本日、私の大好きな場所が一つ終わる。最後にインスタライブをしてくれるらしいので、これを見ながらお別れをしようと思います。

またどこかで出会えることを願っています。また会いたい。関係者の皆様、本当にありがとうございました。

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