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【ライブレポ】TOMOO Acoustic Tour 2024 "Mirrors" 9/1@LINE CUBE SHIBUYA

「また音の中で会いましょう」

9月1日、TOMOOのアコースティックライブに行ってきた。

今後、何度ライブを繰り返しても、このライブのことを忘れることはないだろう。
それだけ美しく至福の時間だった。

会場の様子

45分前に到着。ライブT、タオルは全色全サイズ売り切れていた。早い。
私はFC限定リストバンドを購入。

表現力が際立つ「宝石箱」を見つめるようなライブ

本当に素晴らしいライブだった。
TOMOOちゃんの作り出す音と表現がアコースティックバンドという光に照らされて浮かび上がってくるようだった。
もともとピアノ弾き語り出身の彼女の曲は、アコースティック編成だからこそ現れる良さがある。そんな奇跡の瞬間に立ち会えたのではないか。

彼女の曲のイントロは、彼女の作る物語への入り口だ。いつもは様々な音で彩られているイントロも、今回はピアノ一本で演奏され、物語に優しく誘われるような感覚だった。

気づけば曲の世界に入り込んでいた。夏の夜空の下や、誰かを心から好きだと思ったあの瞬間。どこか懐かしいような、幸せで時に切ない記憶が掘り起こされ、涙が流れていた。
時には目を瞑りながら彼女の作り出す世界に溶け込んでいた。

彼女の演奏に照明の演出が相まって彼女だけの世界が作り上げられていた。
最初FC会員なのに3階席!?と憤慨したが、
3階席は逆に当たりだったのではないか。
暗闇の中にほわっと照らされる彼女の姿があった。夜の裏庭を彷徨ってるうちに、キラキラ儚くも力強く光る宝石を見つけて上から覗き込んで見つめる感じ。
美しいものを見つめる時間は一瞬で過ぎ去り、終わりの挨拶に入り始めた時は信じられなかった。

今回は新たな挑戦で、編曲担当の小西遼氏が全曲アレンジしたらしい。「10年後くらいに変わった編成でやってみたいな」と思っていた夢が即叶った形となる。
こんな演奏ができる彼女の表現力に圧倒されたライブだった。

曲の中で彼女と語り合った2時間

Puddlesは水たまりの中であそぶ動のイメージに対して、自分を見つめる静のイメージで作ったのが今回のライブMirrorsなのだそう。

「ライブはそのライブをしている人そのものだけではなく、自分自身を見に来ている。曲を通して自分の記憶を辿ったり、モヤモヤした気持ちを昇華させたりする。」と語っていた。

華やかさを一度とっぱらい言葉に集中できる環境で、私は彼女の歌詞を鏡にして自分を見つめていた。
そんな『ライブの持つ鏡の一面』を炙り出したようなライブだった。

「また音の中で会いましょう」
これは彼女がライブで発した一言だ。
ああ、私は彼女と語り合っていたんだなと感じた。

彼女のライブは、曲を通して人生について語り合うような感覚がある。
彼女の持つ視点は私たちの生活の一部を切り取っているかのよう。だから、色々なシーンに当てはめながら聴くことができる。

前回のPuddles にて、「人は放っておくとビルドアップすることを求められるけど、私に共有できるのは超何気ない眼差しだよってことを伝えたい」と語っていた。
その眼差しの先に見えるのは、自分らしくあることの自由さ、今感じている息苦しさへの気づきと解放、日常の中の輝きだ。

今回のライブでは、じっくり彼女と語り合ったような気がする。印象が変わった曲や解釈が広がった曲が何曲かあり、人生の捉え方にまた一つ彩りを与えてくれた。

「気持ちはミクロに」躍進していく宣言

最後には、なんとパシフィコ横浜でのワンマンライブの告知が。
「会場が大きくなっても、気持ちはミクロに伝えていく」という言葉をくれた。

彼女の曲の魅力は上で書いたように、「私に」向けて歌ってくれるような世界観だ。
Mステへの出演、パシフィコワンマンと、順調に階段を駆け上る彼女に寂しさを感じると共に、私の好きなTOMOOちゃんがいなくなってしまうのではないか?と心配していた。

しかし「超何気ないミクロな気持ち」をこれからも伝え続けてくれると言ってくれたのが嬉しかった。

セトリ

『風に立つ』
「自分を見つめて、自分を知る」という「知」の側面を持つ鏡。気づけば知ることを放棄して何となく過ごしている。その中で一度立ち止まって「知る」ことの大切さを思い出させてくれた。語り部分は憑依していた。

『あわいに』
「物事の間にあるグラデーションが好き」という言葉から始まり、ホール中に風を吹かせ、一杯一杯になりがちな日常の中の「余地」に気づかせてくれる。

『Super ball』
「人は誰かを鏡にして生きているし、自分は誰かの鏡」。いつもの「自分らしさ」を感じる勢いのある曲調とは違った角度で心に入ってきた。「ありのままの自分は誰かにとって素敵な存在」だから、「槍出せ角出せ」はいらないのだと語りかけた。

『grapefruit moon』
Puddles の時はゴージャスで大人仕様だったこの曲、今回は大人になることの翳りを感じた。

『ベーコンエピ』
共通点から、共有点に変わる2番が好き。
2人で時を重ねても消えないあの日と同じ優しさは、パン屋でベーコンエピを食べる何気ない一瞬に現れたりする。何気ない幸せって、こういうことなんだなと思うし、そういう瞬間は見逃したくないなと思う。

『ロマンスを越えよう』
今回曲の印象が特に変わった。
ほんわかした曲調に、実は情熱的な歌詞が乗っている。普段は特別に意識せず聴いていた「愛してるよ」という言葉が響いた。

『present』
圧巻だった。彼女の曲は優しさでできている。その優しさを両手いっぱいに抱きしめたような感覚になった。

『lullaby to my summer 』
今回特に心に沁みた曲だ。全く同じシチュエーションになったことはないのに、なぜここまで感情移入ができるのだろう。夏の終わり景色と匂いがした。

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