「成長」はどうやったら実感出来るのかを考えた結果、他者からの承認が重要なんだと気付いた話。
エンゲージメントの高い組織を作っていく上で、「成長実感」は非常に重要な要素ですよね。
もちろん、それだけで高いエンゲージメントを創出できるわけではないですが、「その会社に居続ける価値があるか」を考えた時、自分が成長していると思えるかどうかは無視できない要素と言えます。
ただ、この成長実感は厄介で、何かのテンプレートにあてはめたら簡単に確保できるようなものではないです。
理由はたくさんあると思いますが、試しにいくつかあげてみると
・成長は目に見えるとは限らない
・同じ経験を経ても、人によって感じ方が違う
・理屈だけではなく、感情にも左右される
などなど、これだけでも「あ、これしんどいやつ」と思う方が多いのではないでしょうか。
そんな成長実感しにくい問題をどうやったら打破できるか、色々悶々と考えた結果、ある一つの式を作って考えてみました。今日はその考えについて書こうと思います。
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結論を先に出しておくと、こんな式になりました。
成長実感 =(New × 期待)+(Growth × 承認)
これだけだとまだ「???」なリアクションも多いかと思うので、ここに至るまでの経緯を踏まえつつ、図も合わせて解説していきます。
■成長の仕組み
まず、一言で「成長」とは言うものの、よくよく考えてみると2つのパターンがあるんじゃないか、と気付きました。
それが New と Growth です。
2つの違いはこんな感じ。
New :新しいことが出来るようになる
Growth:今出来ることが少し上手になる
このNewとGrowthは、役割(Role)に沿った仕事を進めていくことで、一定の範囲内の能力が自然的に身についていくものと考えられます。
ただし、新たにそのRoleに就くことは、最初のうちは「新しいコト」に取り組むケースが多いと考えられる為、必然的に「新しいコトができるようになる」が多くなります。
一方、そのRoleの経験が長くなるにつれ、新しく覚えられることは段々と減り、代わりにそこで覚えたことが徐々に上手になっていく傾向があると言えます。
また、一定の期間を経てRoleChange(昇進や異動や転職)をする人がほとんどかと思います。これによりNewとGrowthの割合がリセットに近い状態になります。
これの繰り返しで、人は成長を続けていると考えられます。
ここまでをまとめると、
・成長にはNewとGrowthのパターンがある
・Roleに就くことで、一定の範囲内で成長する
・最初はNewの割合が多く、段々とGrowthの割合が増えてくる
・RoleChangeすると割合はリセットされる
こんな感じですね。
■成長が実感出来ない時期
人はちゃんと日々成長しています。
ではなぜ成長を実感するのは難しいのか。
僕自身の経験も踏まえて言えば、実は成長の全てが実感しにくいわけではないと思っています。
むしろ、転職してすぐの頃なんかは「あー、今めちゃくちゃ成長しているなぁ」と充実していることすらあります。
ただ一方で、「段々と成長を実感しにくくなる時期」があるのも事実です。
この違いは何か。
ポイントは、「認識のしやすさ」にあると考えます。
端的に言えば、Growthは認識しづらいのです。
少し、ゲームの要素を交えて考えてみましょう。
Newとは、言わば新しい魔法(Skill)を覚えるようなものです。
敵に大きなダメージを与えるのはもちろん、燃やしたり凍らせたり、結果が見えやすく出来ることの幅が明らかに広がっているのを実感できると思います。
一方で、Growthは「力」や「すばやさ」などの基礎能力(Status)が上がっているようなものです。
力が上がることで敵に与えるダメージは上がっているかもしれませんが、数字の上では微々たるものですし、誤差と思ってしまえばそれまでです。何より、「出来ることが増えた」と感じることは決して多くないでしょう。
このように、Growthによる成長は実感しにくい。にも関わらず、先の図で示した通り、同一のRoleで仕事を続けていると、どうしてもGrowthの割合が増えてくる。
これが「段々と成長を実感しにくくなる時期」の正体であると、僕は考えています。
■どうすれば実感できるか
では、この問題に他者としてどうアプローチしたらよいでしょうか。
「成長」は必ずしも個人で完結するのではなく、他者の介入にも大きく影響を受けるもの。であれば、適切なアプローチで本人の成長実感を引き上げることも出来るはずです。
そんなわけで、ここでようやくタイトルと最初に提示した式の回収です。
成長実感 =(New × 期待)+(Growth × 承認)
ドン。
少しだけ補足しておきます。
Newに対しては「その習得で何をしてほしいか」と期待を伝えることで、自分が何が出来るようになって、どんな役に立つSkillを得たのかが分かります。
ただでさえ認識しやすいパターンではあるので、より発揮される方向に導いてあげれば、自己肯定感も高まり成長を実感しやすくなると言えますね。
Growthの場合、目で見える成果として非常に認識しづらいものなので、まずはちゃんと変化していることを承認してあげるのが大事であると考えました。
「評価」ではなくあえて承認(アクノレッジメント)としたのは、相手の変化に対して必ずしも意義や価値を提示する必要はなく、変化に気付きそれを言語化して伝えてあげることが一番重要だと言えるからです。
とは言え全く的外れな内容であったり、ただ「成長してるよ」と伝えるだけでは効果的とは言えません。相手をよく観察し、変化を認識して、相手自身が「確かにそうかも」と思えることが重要です。
昨今の1on1であったり、「対話」を重要とする考え方と非常に相性もよく、普段からアンテナを貼っている人であれば始めやすい内容なのではないでしょうか。
以上、結論。
「成長」はどうやったら実感出来るのかを考えた結果、相手の変化に気付き、言葉で伝える他者からの承認が重要なんだと気付いた。
という話しでした。