マネジメントとか組織開発を考える時に役立ったワードのまとめ〜後編〜
はじめに
僕が勤めるディップ株式会社では、毎年QiitaのAdventCalendarに参加していまして、今年は僕も参加して2日分を担当することにしました。
で、せっかく記事として書いたので、noteの方にも転載しようかなと思ったのがこの記事です。
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■この記事でわかること
マネジメントや組織開発に関係する行動科学とか心理学用語とかの存在を知ることができる
■この記事の注意点
・紹介とは言うものの、基本的に概要程度の浅いことしか書いてない
・先人がとても分かりやすくまとめてくれたWebサイトや本があるので、気になるワードは検索するのを推奨
・残りはほとんど僕の感想である
・あと、基本的に文字だらけ(前編よりも更に文字だらけに...)
■紹介するワード一覧
1. 心理的安全性
2. 二要因理論
3. DDO
4. タックマンモデル
5. 期待理論
6. トランザクティブ・メモリー
7. 成功循環モデル
8. オートクライン
9. アクノレッジメント
10. ピグマリオン効果
11. 重要思考
12. ワーキングメモリ
後編では7~12を紹介します。
7.成功循環モデル
MIT教授のダニエル・キム氏が提唱。
組織が持つ「4つの質」において、『まずはここから直そうね』というポイントを示したモデルです。
【概要】
まずは「4つの質」と、そのサイクルを見た方が早いと思います。
出典:https://otonal.co.jp/blog/987
成功循環モデルでは、出発点の違いが「Goodサイクル」と「Badサイクル」の差を生むとしています。
Badサイクル:① → ② → ③ → ④
Goodサイクル:② → ③ → ④ → ①
上図の番号を使うとこんな感じです。
要は、「結果だけを求めると押し付けや対立が生まれ、メンバーの自発的な努力や創造性が損なわれて結局結果が出にくいですよー」というのがBadサイクル。
逆に、「まずはお互いの関係性において承認や尊重を重視することで、当事者意識や自主性が生まれ結果に繋がりますよー」というのがGoodサイクル。
【感想】
昨今の1on1を筆頭に、HRTを大事にしようという考え方も近いのかなと。
今はVUCAの時代と呼ばれ、同じ行動が同じ結果になるとは限らないことばかりなので、「よい関係性」から生まれる「よい思考や行動」を重視するようになったのは必然かもですね。
HRT
・Humility(謙虚)
・Respect(尊敬)
・Trust(信頼)
VUCA
・Volatility(変動性・不安定さ)
・Uncertainty(不確実性・不確定さ)
・Complexity(複雑性)
・Ambiguity(曖昧性・不明確さ)
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あと、たまに誤解されているかなと思うのは、成功循環モデルはあくまでも「出発点をどこにおくか」です。
「結果を求めてはいけない」とか「結果ばかりを求めるのは間違っている」という見方がされているので、そこは少し注意が必要なのではないかなと思ったり。
8.オートクライン
元は医学用語なのですが、昨今ではコーチング用語として紹介されることが多い言葉ですね。
【概要】
自分の言葉で「話す」ことによって、新たな気付きや思考の整理が起こる現象のことです。
人から気付きや答えをもらうのではなく、自分自身が言葉にして話している過程で「自分はこう思っていたのか」と認識したり、「自分が思っていたのはコレだ!」という発見をしたりすることを言います。
【感想】
言葉にして説明するとやや小難しくなりますが、割と身近にある現象だと思います。
最近「壁打ち」って言葉を聞きませんか?
広い意味ではただの会話なんですが、議論や相談とは違って相手に答えは求めていない会話だと僕は理解してます。
この壁打ちこそ、自己発見・自己整理したい時に効果的なオートクラインの場と言えるのではないかなと。
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僕自身はこの「オートクライン」の現象がむちゃくちゃフィットしていて、職場でもよく上司やメンバーに壁打ちさせてもらってます。
自分の中でなんかモヤモヤーってしてることがあったり、もう少しでいい答えに辿り着けそうな時に『ちょっと壁打ちさせて!』とお願いして、一方的に話してます。
それはもう一方的に。
相手は頷いたり軽く感想を言ったりするだけです。
で、勝手に「なるほど、そうか!」と納得して終わります笑。
9.アクノレッジメント
用語というよりは、ただ「承認」の英語(acknowledgement)です。
【概要】
文字通り「承認」することです。
相手の変化や成長に気付き、それを伝えることを指します。
重要なのは「評価」とは違うということですね。
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ある新人君が「結論を後にする話し方」をしていたとしましょう。
特に指摘をしたわけではないのですが、本人が工夫したのかいつの間にか「結論から」という話し方が出来ていたとします。
評価と承認では、伝え方が少し違ってきます。
評価:わかりやすく話せるようになったね
承認:結論から話せるようになったね
このように、アクノレッジメントの考え方では「評価」をせず、変化を伝えてあげることを重視します。
それによって自己成長の認知を促しているんですね。
【感想】
僕は「成長実感」について考えたり調べている時に、このアクノレッジメントにたどり着きました。
最初は結構シンプルな話しかと思ってたんですが、調べるうちに結構深い要素だと気付きました。
特に、「評価」との違いや、相手に与える影響の違いが分かるようで分からなかったり。
あえて分ける必要があるのか、どういう時に使い分けるべきなのかなどなど、効果的に使うには結構訓練が必要かもしれないなと今でも思います。
ただ、成長実感を考える上でとても重要な要素だと思うので、気になる人は是非調べてみて欲しいです。
また、成長実感については 僕のnote でもまとめているので、よかったら覗いてやってください。
10.ピグマリオン効果
教育心理学者のロバート・ローゼンタール氏が発表した心理学用語です。
【概要】
同氏が行った実験結果がもとになっていて、シンプルに言うと「人は他人から期待された方が成長出来る」って内容です。
以下が実験内容の詳細
1964年春、教育現場での実験として、サンフランシスコの小学校で、ハーバード式突発性学習能力予測テストと名づけた普通の知能テストを行ない、学級担任には、今後数ヶ月の間に成績が伸びてくる学習者を割り出すための検査であると説明した。しかし、実際のところ検査には何の意味もなく、実験施行者は、検査の結果と関係なく無作為に選ばれた児童の名簿を学級担任に見せて、この名簿に記載されている児童が、今後数ヶ月の間に成績が伸びる子供達だと伝えた。その後、学級担任は、子供達の成績が向上するという期待を込めて、その子供達を見ていたが、確かに成績が向上していった。報告論文の主張では成績が向上した原因としては、学級担任が子供達に対して、期待のこもった眼差しを向けたこと。さらに、子供達も期待されていることを意識するため、成績が向上していったと主張されている。 引用:Wikipedia
【注意】
再実験の結果、同様の効果が認められなかったなど、ピグマリオン効果については少なからず批判の声があります。
実験結果をそのまま活用するというよりは、参考に留めた運用が無難かもしれません。
【感想】
注意として↑のように書いたものの、「期待がやる気を引き出す」とだけ見れば理解出来る人も多い気はするんですよね。
ピグマリオン効果に限らず、承認欲求であったり、期待値コントロールであったり、「期待」をモチベーションの要素とした考え方は他にも多くあると思うので、全然取り入れる余地はありそうだな。
モチベーション高く取り組めれば、結果の質に影響を与えてくれると思いますしね。
11.重要思考
K.I.T.虎ノ門大学院教授の三谷宏治さんが「伝える技術」として発信された内容です。
こちらの本が初出になるのかな?
(そういえば今回の用語紹介で初めての日本人かもしれない)
【概要】
大切なことを伝えるために必要なのは「重み」と「差」である、という考え方。
言い換えると、伝える相手にとって「大事なコト」と「差が大きいコト」を考えるのが重要だよってことですね。
更に、「重要思考」の思考というのはあくまでも最初のステップであって、
考える → 伝える → 聴く → 伝え合う という一連が「重要思考」です。
この「重み」と「差」で考えることによって、「どこから手を付けたらいいんだ」を解消するのに役立つ思考法と思われます。
【感想】
すごい参考になる考え方だと思います。
が、なかなか実践出来てないです...はい。
こういった思考法とか、学んだ直後は「実践してみよう!」と思うんですが、なかなか定着(もしくは習得)する前に抜けていってしまうんですよね。
重要思考に限らず、世の中にあるあらゆる思考法に言える気がするんですが、皆さんはどうやって日常に取り入れたり実践したりしてるんですかね?
誰か教えてください!m(_ _)m
12.ワーキングメモリ
認知心理学の言葉で、日本だと一時記憶とか作業記憶とか呼ばれています。
【概要】
ワーキングメモリは、ごく短い間だけ情報を記憶する能力のことです。
特徴としては非常に容量が少なく、新しい情報が入ってくると、古い情報は削除されていきます。
また、幼児教育においては「集中力」など学習の基本としてトレーニングする機関もあります。
【感想】
これ、今回の紹介に入れるかすごい悩みました。
というのも、直接的なマネジメントの話しではないですし、どちらかというと人間の基礎能力における話しなので。
ただ、あえて入れた意図としては、チームとして働く上でも結構上手に付き合わなきゃいけない要素かなと思ったからです。
タスク漏れとか伝え忘れとか、日常的なミスの原因ってこのワーキングメモリによるものも多いのではないかなと。
終わりに
なんとか終わりました。
前編も含めると、文章量の割に結構な時間を使った気がする...。
世の中にコンスタントにアウトプットしてる人ってホントすごいね!と改めて思いました。
また、他にも「Management3.0」とか「ナッジ理論」とか「エコーチェンバー現象」とか、紹介したいなと思う言葉は色々あるので、また機会があれば書いてみようかなと思います。
それでは誰かの何かの役に立てたら幸いです。
さようなら〜。