稲垣豊・新間寛太郎・羽鳥洋介・藤井奏枝・古橋健太郎(2021).「メガネスーパー V字回復を成し遂げた組織変革」『一橋ビジネスレビュー』 68(4) 東洋経済新報社 160-174.
今回は,本ではなく,ビジネスケースの読書記録。
メガネスーパーが,以下のような痛んだ組織からいかに立ち直ったかを示すビジネスケースである。とても参考になった。
ポイントは,
1.創業者によるワンマン経営とマグレガーのX理論的な経営管理手法によって引き起こされた従業員の意欲低下
2.創業者の急逝による組織の混乱
3.業績低迷におけるファンドの介入による現場との乖離
そこにファンドから再生請負人として送り込まれた星崎尚彦氏が,どのように組織を立て直したかを示している。
組織変革の手法は,
1.やる気をなくしている従業員の心に火をつけるために,突出したチーム(真田丸的な出城:ケースでは天領店という)に走らせて売上を回復させる。
2.さらにその成功体験を別の支店に伝える
3.改善アイデアはアクション会議で話してスピード感をもって動く(ケースでは「0秒経営」とも書かれていた)
4.価格戦略から高付加価値戦略への転換
利益↑=顧客数↓*客単価↑↑
価格競争から高付加価値戦略に転換したことで顧客数が落ち込んでも,それを上回る客単価があれば利益は出るという思想。
ケースとしては非常に扱いやすく,イメージが湧きやすい。
Kotterの企業変革の8段階と併用しても面白いケース討議ができるだろう。
Kotterの企業変革の8段階とは以下のこと。
1.緊急課題であるという認識の徹底
2.強力な推進チームの結成
3.ビジョンの策定
4.ビジョンの伝達
5.社員のビジョン実現のためのサポート
6.短期的成果を上げるための計画策定・実行
7.改善成果の定着と更なる改革の実現
8.新しいアプローチを根付かせる