急がばなんちゃら。⑧
2022年6月25日 土曜日(術後1日目)
6:00過ぎたころ部屋の外では看護婦さんによる朝の検温血圧測定のため、各部屋を渡り歩く音がヒタヒタと始まっている。
ツルツルツルと小さなタイヤが転がる音が近づきこの大部屋に入ってくるのが分かる。
この辺については何度かの入院経験もあり1日のルーティンともなる病院内での流れ確認を心の中で行う。
今日は無いけど朝食終る前後には科の担当医師の回診(主治医が来る日と来ない日もある)があり、昼食を食べて検温・血圧の確認、おやつのころには
また回診で夕食。夜寝る前にはまた検温と血圧…。
入院中は1日として考えると大概暇なように思えるが、患者はそれなりに規律ある行動をしなければならずでリラックスはすれど、完全に『気が抜ける』というわけでもかなった。
とはいえ今日はまだ術後1日目なので制限もあり(いろんな管が繋がっているので)寝ているしかない状況でもあった。
ふとカーテン越しに名前を呼ばれる。
ひょいと顔を出したのは若い看護婦さんであった。
「今日担当の●●です。お加減どうですか?検温しますね。」
「喉はどうですか?まだ痛みますか?」
???喉痛いの?誰が?アタイ???
「…え?痛かったの?」自分が思ってたより声がガサガサでそれまた驚きつつ、聞けば夜中にうがいをさせてもらったとのこと。
全く記憶になくて冷や汗をかく。
声ガサガサよりも焦るわ。
「本当は飲むのもまだ許可出てないのでダメなんですけどうがいの時に飲んでしまっていたので、お腹は動いてる感じですか?痛みはないですか?ちょっとお腹の音聴きますね。」
いろいろビックリだわ。
許可出るまで絶食なのも説明で聞いていたのに…
どさくさに紛れてうがいで水を飲んだだと???
しかも覚えてないというこの有様。恐ろしや。
「…お腹は動いていそうですね、もし痛くなるようでしたらナースコールしてくださいね。」
基本的には入院中は看護婦さんも「はい・いいえ」で済む質問をしてくれるので目の瞬きや頭だけ動すなどで意思表示をしたりだが、この時ばかりは恥ずかしさやら記憶の無さに声が出なかった。(ガサガサだったせいもある)
ナースコールのボタンがスマホが置いてあったテレビ棚とは反対側にあることをこの時に知ったのだけど…これアレだな、たぶん事前に教えてもらってたんだろうけど忘れちゃってたか生返事しちゃってたんだろうな…。怖ス。
おとなしく血圧・心拍と測ってもらい看護婦さんがカーテン外へ出て行った。
…ふう…
枕元に置いてあったスマホについては突っ込まれもしなかったが…まあ、そんなことまでは記憶もしてないんだろう。
その後の看護婦さんの動きでこの部屋4人満床であることが分かった。
「すみません」の返事はなかったけど、
…あのアラームで起こしてしまってたらすみませんね…ホントに。
引き続き気を付けて生活せねば…。
申し訳ないやらなんやら、
早めの退院を目指し模範患者になると心に決めた。
(まぁそれは大体の入院患者さんが思うことではあろうが。)
朝食はナシ。
周りの患者さんは食事中ではあったが、この部屋…とても静かな方が多い。
食事中の音って結構響くもので、中には咀嚼音や食器を当てる音まで聞こえてしまうことも今まではあったが今回はそれが無かった。
静かな大部屋も珍しい。
いや…もしや耳遠くなっちゃたか…。更年期かこれ?
大人しく静かに過ごすべくまたウトウトとし始めたころ
カーテンの向こうに人が来た。
主治医だった。
昼には流動食開始、午後にはトイレ歩行を始める予定で、とのことでまた回診の時にお腹の傷も診ますね。
とても若そうに見える男性の主治医だ。
早期離床。
昨日の診察時…ついうっかりというか、怠慢だな、ムダ毛の処理を一切しておらず「やばいな…でもしょうがない…」と一瞬だけ恥ずかしかったことも思い出した…。よし、とっとこハム太郎、いや、とっとと退院しよう。
引き続き気を付けて、生活せねば…。(2回目)