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Google Driveを使い倒す手術室

紙のマニュアル

私は地方大学病院に勤務する手術室看護師だ。

手術室では、毎日多くの診療科が様々な術式の手術を行っている。
それらの手術を行うために、手術室の準備や器械の提供を行って医師を支援するのが手術室看護師の役割だ。

何十、何百とある術式に対応するためには、当然マニュアルが必要だ。
看護師の手術マニュアルは「手順書」と呼ばれる。

手順書は代々ノートにまとめられていたり、ワード文書をまとめた分厚いファイルに整理されているなど、紙での管理が当たり前であった。

だが、手術は時代とともに術式や使用する器械などが刻々と変化し、あっというまに手順書は時代遅れのものとなってしまう。そのため、定期的な手順書の更新が必要だが、その業務は大変な作業であった。

手順書はGoogle Driveへ

当院は大学病院のため、教育機関である。
大学など教育機関においては、Google Workspace for Educationとして無償でgoogleがクラウド容量とサービスを提供してくれている。

それらを活用しない手はないと、約4年前からgoogle driveへの手順書移行が行われた。今では、すべての診療科における手術手順が電子化されている。

電子化のメリットは多数ある。

  1. アカウントがあれば、いつでも、どこでも、デバイスも選ばす、手順書にアクセスできる

  2. データの追加・更新が容易であり、軽微な変更であってもすぐ反映される

  3. 写真や動画など様々なフォーマットに対応しており、多彩なマニュアルを作成できる

手順書の電子化によって、手術室の業務は格段に電子化が進み、看護師の働き方にも影響を及ぼしている。

Driveのさらなる活用

google driveは手順書の共有にとどまらない。
様々なサービスを活用すれば、その価値を何倍にもできる。

その一環として取り組んだのが、新人教育状況の見える化だ。

新人は、それぞれ手順書をもとに手術の勉強を行い、先輩と手術ついて現場でフィードバックをもらい、独り立ちしていく。これでも成り立ってはいるのだが、新人の進捗が見えづらいことや、指導する先輩看護師のレベルによっても指導の質が左右されることが問題であった。

そこで、google drive上にスプレットシートを使用して数十種類の術式ごとのチェックリストを作成。チェックリストは、各手術の重要なポイントや指導に活用できる内容に絞って作成した。

こうしたチェックリストの達成率を集計し、新人全員がどの程度進捗しているか、ということが一目瞭然でわかる表も作成した。これは、スプレットシート間のデータを連携させるマクロを活用し、それぞれのチェックリストと一覧表を連携させることで実現できた。

達成率を一覧できるスプレットシート

ほしいと思うものが、創造できる

こんなものがあったらいいな。
それが、努力と工夫しだいでは叶えられる。
こんな素晴らしさが、デジタルの良さだと思う。

今はAIの時代。
使う人は使って可能性をどんどん広げている。
医療人も遅れてはいけない。

どんどん、デジタルで創造していこう。


#デジタルで変わったこと


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