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スタートする前に解散のタイミングを決める

今年から始まったアートベンチャーエヒメというプロジェクトに、アートコミュニケータ(通称:ひめラー)として参加しています。

5月のオリエンテーションを皮切りに、全6回にわたる「基礎講座」でひめラーとして活動していくための基礎を学んでいます。

先日、第6回目の基礎講座が開催されました。基礎講座としては最終回です。

テーマは「この指とまれ/そこにいる人が全て式/解散設定」として、小さなチームを作って運営していくときの方法について学びました。

今回も備忘を兼ねて記録しておこうと思います。

それではどうぞ。


■第6回基礎講座の概要


第6回目のテーマは「この指とまれ/そこにいる人が全て式/解散設定」で、小さなチームを作って運営していくときの方法について学びました。

ひめラーが自主的に活動していくためには、自分たちでチームをつくり、アイディアを共有し、お互いの力を上手に出し合って、成果を求めtなくてはなりません。そこで、この会では、小さなチームの作り方や、そこに集まった人たち全員の力を活かした活動の作り方について学びます。また、活動の始め方だけではなく、終わり方のデザインについても理解を深めます。

2024年度アートベンチャーエヒメ基礎講座概要より

講師は、東京藝術大学の特任助教で、ひめラー(アートベンチャーエヒメ)の前身となる「とびらプロジェクト」の運営メンバーでもある小牟田悠介さんでした。

■ソーシャルデザインプロジェクト


愛媛県×東京藝術大学の「アートベンチャーエヒメ」プロジェクトや、東京都美術館×東京藝術大学の「とびらプロジェクト」は、『ソーシャルデザインプロジェクト』と呼ばれるものです。

はて?ソーシャルデザインプロジェクトとは?ということで、解きほぐして解説してくださいました。

▶︎ ソーシャルデザインとは?

ソーシャルデザイン:
社会課題を創造的にデザインし、解決すること

つまり、すでにある社会構造のままだと解決できないことを、これまでの考え方から離れて、新しい方法で解決していこう!というものです。

取り組み方のプロセス自体も新しいやり方でやっていくことで、新しい結果が生まれます。

既存のやり方にとらわれず、知らなかったことをどんどん取り入れていこう!という姿勢が大事になります。

▶︎ プロジェクトとは?

プロジェクトの語源:
ラテン語で projectare =「前方に押し出す」の意

このように語源からも、本来「プロジェクト」というものは、既存を踏襲するのではなく、「未来に向かって投げる!」姿勢でやっていくものだということがわかります。

アートベンチャーエヒメの活動では、アートだからできることを、複数のアイデアを掛け合わせて進めていくイメージです。

■学びと実践の共同体


アートベンチャーエヒメでは、「学び」と「実践」のサイクルをぐるぐる回していきます。

基礎講座が終わった後は、「実践講座」が始まり、基礎講座で学んだことをどんどん実践して落とし込んでいくフェーズに入ります。

すでに今までの基礎講座で、さまざまなアンテナが立つようになっています。

例えば「きく力」を学んだことで、普段の家族に対する聴き方が気になるようになったりと、確実に意識が高まっています。

でも普通に過ごしていたらだんだんと意識が薄まってきてしまうので、実践講座で繰り返し繰り返し体に染み込ませるようなイメージです。

■アート(文化資源)があることで生まれる経験とは?


アートベンチャーエヒメでは、アート(文化資源)を介して人と人、人と地域をつなぐ活動をしていきます。

そこで、そもそもアート(文化資源)があることで生まれる経験とはどういったものがあるかについて問いかけをいただき、考えてみました。

ここに、あるひとつの「アート作品」があるとします。

ただ「作品」があっても、それは「作品」ではない

これは、過去に誰かの手によって作られたものです。しかしこの時点では、それは作品とは言えず、ただの「もの」です。

だけどここに「見る人」が加わると、それは「作品」になります。

見る人がいて、はじめて「作品」になる

「作品を受容する瞬間」に、それはただの「もの」から「作品」になると言えます。

そこには、アート作品という、誰かが残してきた「時間」が縦軸に、そして同じものを眼差しているという現在の「空間」が横軸に存在します。

時間×空間

そうして、作品を「受容」したり、「比較」したり、作品を介して対話が生まれ人と人をつなげるその瞬間こそが、作品が生まれる瞬間なのです。

アート作品を介することで、ただ何もないところに人が集まって話すのとは違う対話が生まれます。

アートの見方に正解はなく、言葉も年齢も超えてフラットに意見を交換し合えるからこそ、「あなたはそう思うのね」と他人を受け入れることができたり、自分とは違う考え方をすっと受け取れるようにもなります。

これこそが、アートがあることで生まれる経験です。

■「ひめラボ」の3ステップ


▶︎ 「ひめラボ」とは?

「ひめラボ」とは、ひめラー同士が自発的に開催するミーティングのことです。ここでは、新しいアイデアの検討と発信が行われていきます。

ひめラーは与えられた仕事をやっていくのではなく、学んだことをもとに、自分たち発信でプロジェクトを立ち上げることができるのです。その元になっていくのが「ひめラボ」という小さなチームとミーティングの単位です。

さまざまなバックグラウンドを持つひめラーたちが円滑なコミュニケーションを行なっていく上でのコツを教えていただきました。

▶︎ ステップ1:開くときは「この指とまれ式」

誰かやりたい人が「この指とまれ」で仲間を募ります。発起人も合わせて3人が集まればスタートです。

3人以上である理由は、「客観性」と「可能性」が生まれるのが3人からだから。

発起人が必ずしもリーダーではなく、全員の思いや視点を確かめ合い、フラットに関わり合う姿勢が大事です。

▶︎ ステップ2:活動するときは「そこにいる人が全て式」

お題目が先にあって、それに必要な人を集めるのではなく、そこにいる人の「好きなこと」「やりたいこと」「得意なこと」からプロジェクトを進めていきます。

いわば、「今夜、冷蔵庫にあるものでなにか美味しいものを作ってみよう!」といった感じです。

これはとてもクリエイティブな活動です。

▶︎ ステップ3:解散!また結成

スタートする前に「目的」を決めて、目的が果たせたら解散します。つまり、スタートする前に解散のタイミングを決めておきます

これは今回一番の衝撃でした。終わり方がぐちゃぐちゃしてしまうことって、ありがちです。最初に決めておくことでスパッと後腐れなく、気持ちよく終わらせることができるのです。

プロジェクトの継続や拡大は大事ではなく、こまかく「振り返り」をしながら解散、結成を繰り返すことで、新陳代謝を良くしていくことを大切にします。

良い振り返りのポイントは「感情」ではなく「構造」を振り返ること。

⚫︎悪い振り返り:感情を振り返る
例「あのとき私のせいで○○になっちゃって。。。」
⚫︎良い振り返り:構造を振り返る
例「あのときの××さんの○○というコメントによって場が変わったよね」

振り返りのポイント

いつ何をして、何が起こったかという「構造」を振り返ることで、良いコミュニケーションの再現性を高めることができます。

■手を下ろしてもいい


私たちは、やめ方を知らない社会にいます。拡大路線が「是」とされ、やめることは良くないこととされる世の中です。

けれど、ひめラーの活動(ひめラボ)においては、いつでも手を下ろしていいし、途中から参加もOK。それができるように情報はいつも全員に共有される仕組みが作られています。

「未来永劫続けていかねば!」「○○さんの思いをかなえないと!」という自己保存を目的化しないことが求められます。

■フラットに関わろうとしていく


もう一つのポイントとして強調されていたのが、「フラットに関わろうとしていく」姿勢です。

ひめラー同士でも、運営スタッフとの間でも、肩書きや立場はどうしても気になってしまうけれど、それを極力なしにしてフラットに関わろうとしく。そのことにより、良いプロジェクトの運営ができるとのことでした。

■とべもり+(プラス)を拠点とした芸術祭を開催予定


愛媛県では、今後、とべもり+(プラス)を拠点とした芸術祭を開催予定だそうです。そこでもさっそくひめラーとして関わる機会がありそうです。

https://www.pref.ehime.jp/img/kohoshi/330/202401_tokushu.pdf

まだなにも形がないものを、偶然の縁で知り合ったひめラーのメンバーたちと作り上げていく経験はどんなに楽しいだろうと今からワクワクしています。

そしてここで得た経験を自分の地域にどう持ち込んで展開していけるのか。その辺りも夢を膨らませていきたいと思います。

来月からは対話型鑑賞の実践講座がスタートします。楽しみながら取り組んでいきたいです!


今日も最後まで読んでくださりありがとうございました😊

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