見出し画像

小企業ほどチャンスがある社会が生まれている

これからの時代、小企業にチャンスがあるが、それには小企業ほど独自性が必要になると考えている。
そもそも独自性とは、よそとはちょっと違ったことをすることだ。
もっとも、これから独自性がいる企業は、小企業に限らないのだが、そもそも独自性を生み出す原点とはなんだろうか、と考えてみた。
成功する企業と失敗する企業の決定的な違いは、社員のすばらしいエネルギーと才能を組織がどこまで引き出せるかにあることが多いと思われる。
結論から言えば、いかに社員へ権限委譲できるかだ。

ここに経営のポイントがあるが、長く続いていく考え方や行動原理を仕事をやりながら同時に作っておくことになる。
経営者と社員で体得することになる。
なかなかやっかいだ。
言葉で言うのは簡単だが、コミュニケーションのあり方、行動のさせ方など経営者の考え方が反映する。
だからこの時代のマネジメントは重要だ。
その後の企業の在り方を決定していくことになる。
利益を上げながらやっていくからほんとうに大変だが、ここを忘れていると長く続いていく企業を作ることがむずかしくなる。
社長が、ああだこうだ言わなくとも、社員が自律的に考えて行動できることだ。

もちろん、いろいろな権限委譲のやり方がある。
どのようなスタイルにするかは経営者次第だ。
むしろ、小さな企業ほど権限委譲していくしか、企業の成長はない、とだけ言えそうだ。
中小企業では朝礼などで社訓を読むことが多かったが、このようなことにあまり意味はない。
ひたすらおこなう日々の仕事という行動のなかと社員の心なかに意味が生まれてくるような仕事をやるだけだ。
このようなことを体得できる仕事は、本来、厳しい。
そういう仕事に挑戦していくなにんにかの社員たちとの連携とひとりひとりのエネルギーが必要になる。
長くて厳しい旅をするようなものだ。
だが、楽しさがなくてはならない。

小さな企業ほど、はやい段階から社員へ権限委譲してみることだ。
理由は、社員の能力はわかるし、市場や顧客の状況が手に取るようにわかるだろう。
経営者の仕事は、社員へ権限委譲すれば、委譲されたなかで社員ならではの考え方や行動によって社員は必ずなんらかのアクションを起こそうとする。
経営者は、その内容を確認しながら承認するか、否決するだけだ。
勿論、経営者が意図することからはずれていればチェックすることも必要だ。
経営者からみてもリスクが低いものは、どんどん社員へ挑戦させることで社員の能力に磨きがかかるし、そのなかに企業を支えていく製品やサービスが生まれる可能性があるだろう。
結局、これしかこれからの時代の小企業を成長させていく方法はない、と私は考えている。

ただし、このような経営をおこなっていけば、自立した社員が多くなることで、転職したり、起業する社員が多くなる。
それを喜ぶ経営者であってほしい。
理由は、そのよう社員が増えることは、自らおこなっているマネジメントが機能しているということだからだ。
経営とは不思議なものだ。
マネジメントが優れている企業には、また新たな社員が入ってくる。
だが、経営マネジメントのコアは、企業が小さな時代につくっておくものだ。

経営者がやるべき仕事は資金繰りに尽きる。
これだけは、経営者自身できちんとおこなっておく必要がある。
経済成長ができていた私たちの時代であれば、可能な限り、製品やサービスを標準化しながら売上を拡大することが理にかなっており、企業は順調に成長してきた。
社員の個別の能力を活かすより、経営者の優れた決断で事業を遂行することで経営がうまくいく時代があったのも事実だ。
あるいはコンビニのように経営システム運用の巧緻さによって売上をあげていくほうが効率がよかった。

それも限界にきた企業は、この30年間で企業の合併などをおこなうことで、現在なんとか売上や利益を維持している。
また、中小企業に限らず大手企業でもかなりの企業が破産した。
私が新入社員で入社した企業も合併した。
これから大手企業の合併は、普通の状態になるだろう。
セブンイレブンのような高効率なシステムまでもが機能しなくなるほど経済環境は変化しているようだ。
まさに人口問題がのしかかってきている。
その状況は、小回りがきく中小企業にとって最大のチャンスがきたことになる。

コンビニだけではないが、スーパーではこれまで運用してきたチェーンオペレーションが機能しないほど来店客が減少しているようだし、従来の来店数(実際には人口減少によってこれからも来店数は減る)を確保するための様々な投資コストが利益を圧迫している。
スーパーなどの今期の四半期決算をみると、総崩れだ。
なかには、ライフのように利益を出している企業もあるようだが、OKや西友などのローコストぺレーション企業は利益を出しているが、西友は九州や北海道の店舗を売却し、本州エリアに集中させる経営に転じている。
ローコストぺレーション企業の店舗戦略は重要だ。
既存の他社店舗から客を奪うか、新たなエリアで新規客を増やすことで利益を上げることができるからだ。

一方、地場の食品スーパーも強いと思われる。
生鮮品三品といわれる肉と野菜、そして魚で勝負している。
その他は、おまけとはいわないが、メーカーによる特売品だけだ。
生鮮品のよいところは、各スーパーに明確な仕入れの違いがあることだ。
ここで差別化がおこなわれており、ちょっとした差で勝負している。
さらに自宅から近いエリアに店舗が存在するため日々集客できることだ。
商品のラインナップは少ないが、多くの人たちの所得とうまくあっているのだろう。
この時代を象徴するような経営に徹している。
社員の姿をみていれば、退職者が少なく、同じ顔ぶれ、仲良く仕事をしている、店舗内に騒々しさがないなど、日頃から経営が落ち着いている。

このような時代だからこそ、小企業の小回りのよさとちっとした工夫が事業を発展させていくのだろう。
もっとも、私が知る企業は拡大方針をとっておらず、既存店舗だけで勝負している。
今の時代、事業を拡大させるには、相当なリスクがある。
人口減少社会だ。
事業の拡大には、慎重さが求められる。

実際、小さくても健闘している企業には、工夫があり、独自性をもった仕事をしていることが少なくない。
小さな企業はいくらでもマーケーティングできる。
だからこそ、社員へ権限委譲する意味がある。
経営者は、将来、このような社員を経営幹部へと成長させていかなくてはならない。
事業を大きくすることも大事だが、もっとも重要なことは、小企業こそやり方によってすばらしい利益を生み出す経営ができることだ。
それには権限委譲したうえで、実践で人材育成を徹底的におこなうことに尽きる。

これからの時代、事業を拡大させるとは、グローバル企業になるということに等しく、その覚悟がある企業は、経営を機能させるマネジメントとすばらしい人材に恵まれることでチャンスが生まれるだろう。
経営者の能力に限界があるが、社員の能力は世代を超えていく能力があるこを考えれば無限大だ。
ソニーをみていればよくわかる。

いいなと思ったら応援しよう!