あなたくらいの年齢になる頃、
わたし、人に負の感情を見せるのが超〜〜ニガテでね。
イライラとか凹みとかムッとした瞬間とか、他人の空気の変化をわりと瞬時に察してしまう性格で、そういう空気の淀みがすごくストレスだから、自分のそれは感じ取られたくないんですよね。おそらく。
“いつでもご機嫌な子” “キャパが広い子”と 関わる人全員に思われたくて、とまあ、いい子っぽく聞こえるけどつまり一言でまとめると、他人に弱みを見せたくない。
これは、わたしの中ではかなり軸に近い部分に据わっている哲学だし、こういう自分は嫌いじゃない。が、前述のとおり、言葉にしてみると書きながらウワァ……となるレベルのプライドの高さ。わたしが男の子だったらこんな強かな女、絶対彼女にしたくないし。
で、よ。本題は何かと言うとね、
ある人が、わたしのこのちっちゃくてバカ高いプライドを、それは美意識だって言ったの。
「プライドって言うと石頭のつまんない主張に聞こえるけど、それは“こうありたい”っていうあなたの美意識じゃん」って。
あのーーー………、好き。
完全に意表を突かれて数秒フリーズしてしまった。
余談なんですけど、言葉の相性ってあると思っていて、そこが合うとわたしは結構気をゆるしてしまう。
不意の語彙に弱いんですよね。
……美意識、なのか。
そう変換されただけで、人になんか見せられたもんじゃないと思っていた黒い塊が、なんだか急にキラキラして見えてくるのだからほんとに単純。
わたしは欲張りだから、新しい価値観をくれるその人に“もっと”を求めて「でも、」と続けた。
“いい子ちゃん”でいるのはその方が全て自分に良いように作用するからだし、“いい子ちゃん”が転じて八方美人だから、人の意見を否定したり拒否したりするのが酷く苦手で、そういうところは嫌い、と伝えると、苦笑いをしてコーヒーを啜った。
「広げてくしかないよ、徐々にそこは。
優しさのレンジはすでにめちゃめちゃ広いんだから、あとは然るべきところだけNOを言えたら無敵じゃない?
引き出しに両方ともあって、使い分けができたら強いよね。ほら、仏みたいになんでも許してくれる人のたまの否定ってダメージあるじゃん」
24でそこまで自己分析できてるんだもん、末恐ろしいわともう一度苦笑い。
褒めの苦笑だったのね、それはどうも。
俺くらいの年齢になる頃には、どんな女性になってるんだろうね、なんてちょっぴり湿った空気作っちゃってさあ。
ああ、わたし、この人のことは一生好きだろうな、と思った。
無茶苦茶ばっかり言ってくるけど、酔っ払って わたしがもう10歳年齢重ねてたらまじで結婚したかったとかギリなセクハラ言うけど、なんか信頼してしまうんだよなあ。哲学が似てる気がする。
でも、わたしは前に進みますね。まだ24なので!
ちがう世界が見てみたいし、もっと豊かになりたい。奥行きのある人になりたい。あなたみたいに。
然るべきところでNOを言う練習、第1回の相手があなたなの、よくできた冗談みたい。フリが上手ですね。
こんな素敵な縁が途切れるのは少々惜しい気もするけれど。
たまには呑みに連れてってくれるかなあ。とっても忙しいおじさんだから無理かなあ。
あなたくらいの年齢になる頃、あなたの部下ではないけど許してね。
こんな女性になったよ!って見せられるような、魅力的な女性になれるよう精一杯がんばるわね。
送り出して正解だったなあ!って言ってもらえるようにがんばるわね。
選んだ道を正解にしていくしかないって、あなたなんか比じゃないくらいに敬愛してやまない わたしの推しもそう言ってたしね。
ということで、余談も挟み長くなりましたが、
本日、退社の意が通りましたことを記録しておきます。
転職活動がんばろうね、わたし。