定年のない未来へシフト
定年について考える年齢になったけれど、ただ何もせずに「備える」だけでは物足りない。これまで周りの人のために頑張ってきた自分がいるのは確かだけれど、これからは少し、自分自身に目を向けていきたいと思う。
20年ほど前、田舎の別荘管理人として、標高1000メートルを超える自然の中で働いていたことがある。自然のリズムに合わせた生活で、時計を気にすることなく「腹時計」で暮らしていた。そこでは、当時70歳近くになる大先輩たちと一緒に働いた経験がある。その方たちはとにかく健康で、背筋もしっかりと伸びている。毎日楽しそうに夢を語る姿が忘れられない。あんな歳の重ね方ができたらいいな、と思わせてくれる人たちだった。少し不便な田舎暮らしが影響しているのか、そこには、毎日を強く生きる「たくましい」人たちがたくさんいた。
そんな「生き生きとした」人たちを思い出しながら、私も少しずつ「定年」を意識する年齢になった。一般には、定年後をどう過ごすか、お金や健康の面でいかに備えるかが語られるけれど、私はもう少し違う視点を取り入れていきたいと思う。
無難に、あるいは安全に今の生活を送ることも一つの選択肢だろう。
しかし最近、生成AIやデジタル技術など、想像もしていなかった技術が次々と現れて、自分の可能性がまだ広がることを実感する機会が増えてきた。「何歳までに、何を」と限定することなく、もっと今をしっかりと生きて、その時々の挑戦を大事にしたいという思いが湧いてくる。
最近目にした「定年の新常識」という雑誌を見て、正直その時思ったことがある。5年先、10年先の未来なんてどうなっているかわからない。今の「新常識」がその頃に通用するかもわからない。だからこそ、これからは今この瞬間の「自分」をもっと大切にし、日々の小さな挑戦を重ねることで、「定年のない人生」にシフトしていきたいと思う。
「今をどう生きるか」に集中し、定年が来てもなお、新たな挑戦を続けられるような自分でいたい。自分自身にフォーカスを当て、未来に向けた準備をしつつも、何よりも「現在」を力強く生き抜く。そんなふうに生きることで、いつか「定年」を迎えるとしても、それは決して終わりではなく、新しい道が始まるスタートになる気がする。
できることから…頑張ってみよう。