これからの教育のあり方とは?
今では、実社会に浸透し、馴染み深い言葉となったIT化やグローバル化といった変革的な言葉の数々。その波は、国内の企業群や省庁に限らず、教育現場においても例外なく押し寄せている。産学官民が一体となって、社会変動に立ち向かっている最中、「戦後最大の教育改革」とも言われた学習指導要領改訂が文部科学省によって告示された。その最たる例として、2020年度以降の小学校におけるプログラミング教育の必修科や英語科目の強化、拡充といった要項が挙げられる。また、一部小中学校の理数科目では、単純に数式問題を解くだけでなく能動的に統計や定量的データを分析し、活用することで論理的思考力を育む教育が実施されている。そうした努力の賜物により、2010年代より流布しているVUCA時代(先行きが不透明で未来予測が困難な時代)に対応できる人材を育む教育がようやく結実しつつある昨今の教育現場。元来より、日本の学校教育は画一的に質の高い教育を保ち続けてきたことから円滑に改革に移行することができた。しかし、能動的に学び続ける人材を醸成するには、依然として、課題が多く残る。国立青少年教育振興機関の調査によると、自分は勉強が得意だと答えた割合が諸外国の半数程度にとどまっている。
改革をより効果的に実現する上では、その科目の学習を目的とした教育だけでなく、それを手段として社会課題を解決する問題解決型学習(以下PBL)の更なる拡充が鍵となるのではないか。ある問題に対して他者と相互に対話しながら、分野横断的に、解決を図る学習形態である。PBLによって、自分ごととしてより実践的に体験や知恵を得ることができる。その蓄積によって、基本的な学びを飛び越え、社会を担う当事者として課題問題の解決に挑んでいける。また、未知の領域を突き進むフロンティア精神は、大学・研究機関へスムーズに移行する一助ともなるのではないか。したがって、幕末期や戦後のような目まぐるしい変化が起きる現代では、学問の壁を超えたイシュードリブン型のPBL学習を精力的に拡大すべきであると考える。