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重要性を増す「家庭学習」

「経験を与える学習」

来週後半は早いもので3月に突入です。新年度の準備はお済みでしょうか。この1年で、幼児教育への関心がかなり高まってきたことを肌で感じます。幼児教育の場合、今まで、学習色を出していた教室は保護者からは敬遠がちでしたが、脱ゆとり教育が進むにつれ、今までとは逆に幼児教育にも「学習成果」を望む声が高まってきました。学習効果といっても何を基準に見ればよいか解らないという保護者も多いはずです。
また、学習に必要な知識や経験、体験も具体的に何をとなると直ぐに思い浮かばないのではないでしょうか。

昨年、ある幼児教室から移室してきた年中の男の子(K君)について、教室の雰囲気にも慣れてきた頃なので、少し時間を頂き、積み木を使って確認をさせて頂いています。私の授業前、若い男性の先生が指導します。既に、私立の附属幼稚園の子ども達を指導してきた経験かあるので、弱点を直ぐに見抜きました。

いわゆる「指導しにくい子」を育ててしまっていたのです。知識偏重ということばが当てはまり、「知ってる」の連発です。「知ってる」と言うと誉められていたのでしょう。しかし、何でもかんでも誉めるでは、思考力は育ちません。また、判断力も尽きません。全て善として捉えられてしまうからです。つまり、学習に於いて、その向かう姿勢が根本からずれてしまうのです。その為、大人としての厳しさを伝える必要があります。
「聴く・聞く」を学習させます。その為、先生はまず、好き勝手な行動をとるK君に、渇を入れることになります。こちらも年長の彼の性格を理解しているので、最初はぐずることがあると措定していましたが、それは、指導の展開で克服できると考えていました。こうした我々の教育活動を見守れるか、保護者の理解が必要なのですが、その心配は無用でした。

お子さんも、もともと利発な子で、また素直な性格なので、次第に自分の力を出せるようになって来ました。保護者の方の理解とご協力があっての基礎指導だと言えます。
授業は、少しずつ指導時間を延長しています。K君は男の子であり言語性が弱いと判断したので、担当は語彙を増やす指導を取り入れました。

また、一方的な授業にせず、K君の発することばをルール内で聞く姿勢をとっています。話してくれる、それも授業に関係する内容であれば大歓迎という、学習に沿った会話をしています。時折脱線しますが、それは余裕をもった対応として重要です。私の積み木指導は、空間認知・巧緻性・物の位置・集中力・思考力と多方面からの発達を確認しています。

ひょっとしてと思い、年中では理解しておくべき上下左右の認知を確認したところ、左右の認知が理解されていませんでした。「一指導一項目」左右のように2つの異なる指導は、同時に2つの項目を指導すべきではありません。判断は、1つに限定すべきで、右なら右を徹底的に刺激し、動きを入れながら体感も通した指導を行います。

必要な知識は前の幼児教室で指導されていたので、我々は、未発達な言語力と思考力を高める指導を重視しています。ここまでの数ヶ月、次第に指導の成果が見えてきたK君ですが、見えないところでお母さんの努力の跡を感じる事ができます。K君とお母さんの関係に心和む部分を感じます。

これから重要になるのは、間違いなく幼児期から小学生の間の家庭教育です。それも、国語、算数と言った画一的な学習だけでなく、家庭内の仕事を基礎とした生活学習が重要でしょう。料理などはとても良い学習です。包丁など、刃物の扱いについて、ことばでは多くを伝えきれない危険性も、実際に扱うことでその後置き換えられたことばの重みを理解できるようになります。「刃物は危険、扱いに注意しよう!」この言葉の持つ背景、つまり経験は、こうしたことばに意味と力を与えます。

家庭学習で同時に与えたいことがあります。それは「感謝」です。家庭内の仕事がどれだけ重労働か、それを毎日行うお母さんの大変さを理解するだけでも大切な心の学習となります。こうした家庭内の仕事を、学習と捉えず、日々の生活に溶け込ませていくことを目標にされて下さい。

昨日も元気いっぱいに笑顔で「さよなら」と帰って行ったk君、少しの期間ですが随分逞しくなってきました。教室で、通ってくる子ども達が待ち遠しいと思っている自分に、自分自身「はっ!」とさせられました。昨日は、就活中の教え子が就職相談で尋ねて来ました。4歳と21歳、どちらも私にとっては教え子です。

2014/2/20


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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