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算数タイルの活用

「これからの算数・数学指導にタイルを!」②

子ども達の学力低下の一因は、国語力の低下です。そして、子ども達の獲得すべき語彙の内容にも問題があると思われます。また、国語力の低下と同時に、実体験の不足も上げられるでしょう。思考の源はご存じの通り「ことば」です。そして、この「ことば」を更に印象づけるのが実体験です。よく、このブログでも取り上げる、TV番組で若い子に指定した料理を作って貰うコーナーがあります。先日は「サザエの壺焼き」でした。「サザエ」「壺」「焼く」このことばから彼女達は自信ありげに料理していきます。「知ってる」「できる」「自身がある」「食べたことがある」とことばでは勇ましいのですが、いざ調理に入ると、そこには驚きのシーンが展開されます。サザエをハンマーでたたき割り中身を取り出します。そして、「壺」の登場です。好んで見ているコーナーですが、彼女達の料理に至る過程は、料理名から来る連想ゲームで、実際の料理からはかけ離れていることがよく解ります。

 算数指導も同じではないかと思います。実体験のない「数字だらけ」の学習では、具体性に乏しく、そこから抽象思考へと導くことは不可能かも知れません。実体験の不足は、計算指導だけでなく、量と測定という指導項目にも表れています。例えば、長さの学習です。私流の学習では、まず始めに、子ども達には1cmを目測で書いて貰います。次に、5cmを書いて貰います。当然、最初に1cmを書いているわけですから、そのおよそ5倍の長さになるのですが、多くの子が2~3倍の長さです。また、10倍近い長さを書く子もいます。算数や理科の学習は、他の教科と違い数字や記号などが頻繁に出てくる抽象的な学問です。だから具体的な学習の積み重ねが大切なのです。量として捉える、これが算数学習のスタートになります。量から始まる学習、それが幼児期の算数です。

 幼児の算数ですからより具体的な指導から始めます。量として実感できる具体物で指導を始めます。それが「大小比較」です。量として解りやすい比較です。それは更に「多少比較」へと進んでいきます。こうした指導の流れが数の系統性と言われています。指導の対象が幼児であることから、こうした基礎指導には視覚や触覚が大切です。見て・触って・動かして確かめます。これを「直接比較」と言います。その後、数字などに置き換えた抽象的な比較である「間接比較」へと進みます。この20年ほど算数の指導には、こうした直接比較の頻度が少なくなっていたように思います。こうした量からの学習は、より具体的な数指導を導きだします。体験や経験が伴う学習は、その後の文章問題を解く際に大きな影響を与えます。数指導により具体性を与えたのがタイルではないでしょうか。算数指導に悩む小学校の先生方からのお問い合わせから、現場の苦労が手に取るように解ります。算数セットにあるタイルもあるのですが、小さすぎるのと、理論的背景のない中で作られていることから「使えない」というのが本音のようです。タイル指導は、足し算引き算だけではありません。どうぞ、映像をご覧になって下さい。

2014/8/19


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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