祖父母の店の中に、自分の店を作った話 その3最終章
そんな時、救ってくれたのは北浜の店をやる中で出会った人たちや、お客さん、イタリア好きの仲間だった。
北浜店を訪れる人々が「めちゃくちゃ忙しそうだね」「頑張ってるね、体には気をつけてよ!」「無謀なことやってるね。笑 けど素晴らしいことだね」と、douzoのインスタで日々のバタバタ状況を発信していることにより、会う人会う人に声を掛けられた。
この時期に船場の小さなこだわりのお店の繋がりにも参加させてもらい、商店主仲間の方々の直の声がまたとても嬉しかった。
真っ先に夙川店に駆けつけてくれたイタリア好き仲間には、本当に本当に救われた。こんなにも来てくれることが嬉しいだなんて。
そしてみんな、ニコニコ話しかけてくれ、私のことを少し面白そうに観察してくれているようで、それが何より嬉しかった。「この人は何をしでかすか」と興味半分でも楽しんでもらえていたら、一店主冥利に尽きる。 1人で走っているけど、沿道には人がいっぱいいることに気がついた。
「無謀」という言葉が特に響いた。そうか、私はやっぱり大きな山に挑戦してもがいているわけだ。悪くない。 夙川は全然まだ来る人の気配がしないけど、北浜にはいろんな人々の温度が伝わってきた。
この北浜はこれからもっと、どんどん良くなる。直感で確信した。
なので、来年からも引き続き、北浜店も自分でやることにした。 船場北浜が好きだし、長屋の大家と店子のような伏見ビルとその人々が好きだ。伏見ビル周りの、伏見町の人々もありがたいことに素敵な人ばかりで、街中にいながら、落語に出てくるご近所さんたちのような一体感がある。 好きには敵わない。 無謀かも知れないが、自分の予想も超えるつもりだ。
北浜をやることによって、夙川にまた良い水が循環される。そんな気がする。というか、そうする。 浜と川は繋がっているのだから。
そして忘れてはいけないのが、何より、夙川は生まれ育った街で私のベースであり、家族がいる。 家族がいる、それが一番の答えだ。
近頃は月の半分ほどは夙川で叔父一家に思いっきりお世話になりながら、ばあばんと2人暮らしをしている。ボケてきたばあばんには、心配させられたり悩まされることもあるが大ボケで笑わして来ることの方が多く、時に人生の先輩の言葉にしんみりとし、時に昔話にときめかされ、この時間が愛おしい。
息子と力を合わせてマークを取り付ける。このロゴの型紙も、すべてばあばんが手作業で一からなぞって作った。
へーえ、これあんたがつくったの!?と驚くばあばん
コロナがまた心配な時期になり、一緒にいていいのかと毎回とても悩むが、できるだけ一緒に過ごしたい。
おじいさんには出来なかったから。
おじいさん、見てるかな。
これから、イワノスポーツはもっともっと良くなるからね。
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