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パッドで面会
いよいよ、予約面会の日。
朝の定期連絡で、
「今日の午後、行くよ」
「やっと、顔が見れるね」
本当は家族以外ダメなんだけれど、母の昔からの友人も親戚だということにして、一緒に行くよというと、
「楽しみだね〜」
と、嬉しそうにしていた。
病院の母のいるリハビリ棟のナースステーション近くのミーティング室。
パッドをセットしてもらい、いざ、面会スタート。
「お母さーん。お久しぶり」
「あー、やっとみんなの顔が見えた」
「元気そうだね」
「うん、元気だよ」
面会時間ギリギリの三十分まで、あれやこれやと話をし、
「お時間です」
と看護師さんが、お知らせに来たので、
「じゃあ、お母さん、また、二週間後に来るね」
「もう、帰っちゃうの?」
と、シクシクと泣き出してしまった。
「泣かなくても、定期連絡はするし、また、来るよ?」
それを見かねた看護師さんが、
「少しだけ、会われていかれます?」
「!!……いいんですか?」
「会います!」
ナースステーション前で、車椅子に乗った母が、嬉しそうに手を振ってやってきた。
五分くらい対面で母と話せたことは、本人の様子を直に見られるので、私と姉には安心材料の一つになった。
看護師さんの気遣いに感謝しかなかった。