そ~言われたら……
ななはまるちゃんの生まれ変わり、という話をしていたら、なんとなく「そうなのか?」と頭の片隅に居座るようになった。
なな賢いかも!?(おや馬鹿には目を瞑ってください)
と、ななが老齢期に入った頃に姉にいうと、
「賢いんだよ。今気付いたのか、馬鹿な妹よ。まるちゃんも賢いコだったでしょ!」
……ん? だから、生まれ変わりといったのか?
なんか、なんかさぁ……。
結局、これだからこれだっという理由はないが、ぼんやりとそう思っただけのようだった。
そんなやり取りがあった暫く後に、こんなことがあった。
夕方まで家族でお出かけして、真っ暗な中、部屋の明かりを点けると、ヤモリが窓にへばり付いていた。
窓の外側でなく、なんで内側なんだ!? と思いつつ、ヤモリもびっくりしたらしい。
ぴょ〜んと窓からジャンプして床に着地。
家の中に居座られても困るので、窓を開けてうちわで外に出るようにバタバタさせていた。
ヤモリも突然の攻撃に、右往左往しながら、それでも家から出てくれないから、最終手段。
床とヤモリの脚の間にうちわの端を突っ込み、
「えぃっ!」
とそのままうちわを持ち上げて、ぽよ〜〜〜んと放り投げた。
ヤモリは一回転したが見事にこちらを向いて着地。
そのときのヤモリの顔が忘れられない。
「なんでっ!?」
と言ってるような表情だったのだ。
まさに、口を開けて唖然としているときの表情。
このとき、ふとななが姿を変えてやってきたのに、気付いてもらえず、家から追い出された結果あの、
「なんでっ!?」
の顔になったんかなぁ?と、思ってしまった。
そして、二度とあのヤモリは姿を見せなかった。