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一難去ってなんとやら

 一週間が過ぎ、母の中の細菌は撲滅に成功し、ひとまずは安心できた。
 当面の心配事は、入院生活で『呆け』が始まってしまわないかということだ。
 定期連絡の他、不定期で連絡をしてみたり、病院のスタッフさんたちも極力、声掛けをしてくれたりとやれることはやってみた。
 四階の病室にいた頃の母は、電話で話していてもなんとなくシャッキリしないぼんやりとした印象が強かった。
 ゆえに、呆けの始まりなのか何なのか、姉と私の間で毎回、定期連絡のあとは、あーでもない、こーでもないと話し合いをした結果、
「母は、呆けてないわ」
と、結論に至った。
 理由は、
「そういえばさ、脊椎炎症してるから痛み止めも一緒に投与してるよね」
だった。
 痛み止めならそりゃ、朦朧とするよな?
 専門家ではないが、姉と二人、母のお見舞いに行けるまでの精神衛生上の安定を図ることにした。
 
 


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