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記憶のメカニズムから考える。ブランディングに必要な3つの要素
ブランディングのゴールは第一想起の獲得と言われています。
第一想起とは、脳内にある無数の記憶の中から一番に引っ張り出される記憶のことです。私たちは日々大量の情報を浴びています。その中で記憶に残り、かつ一番に思い出される記憶とはどんなものなか。ブランド戦略を立てる上で、脳内における記憶のメカニズムを知っておくことはとても重要なことです。
知っておきたい、海馬と大脳皮質
そもそも、記憶には短期記憶と中期記憶、長期記憶があります。短期記憶とは本を読んだり、会話をしている時に少し前の内容を記憶しておくためのもので、中期記憶は一時保管、長期記憶は文字通り長期間保存される記憶です。短期〜長期へと保管される記憶のプロセスにおいて、脳の中でも「海馬」と「大脳皮質」は重要な役割を担う部位です。海馬は一時的に情報を保管し、必要だと判断した情報だけを大脳皮質に送ります。海馬から送られた情報は長期記憶として「大脳皮質」に保存されます。
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記憶のプロセスにおいて重要な役割を担う海馬と大脳皮質においてもう少しだけ詳しくご説明します。
海馬:一時的な情報の保管庫であり、
情報を取捨選択する記憶の司令塔(短期・中期記憶)
海馬は一時的なメモ帳のようなものです。新しい情報はここに一時的に保存され、必要だと判断された情報だけが大脳皮質に送られます。海馬はとても重要な役割を担いますが、とってもデリケートです。お酒を飲み過ぎると記憶がなくなるのも海馬が機能しなくなっていることが原因です。認知症や脳しんとうで記憶障害が起きるのも、海馬が機能しなくなるからなのです。ちなみに、海馬から大脳皮質への転送は寝ている間に行なわれており、その記憶が夢に現れているとも言われています。
大脳皮質:長期的な記憶の倉庫であり、情報処理本部(長期記憶)
大脳皮質は海馬が送り込んだ情報を長期的に保管する場所です。また、記憶を呼び出すプロセスを「想起」といい、大脳皮質から必要な記憶が取り出されます。取り出す情報も海馬がコントロールしているとも言われています。
第一想起を目指すブランド戦略において脳内における記憶のメカニズムがいかに重要かお分かりいただけたかと思います。なぜなら海馬に必要と判断され、大脳皮質に保存されなければそもそも記憶として残らないのです。海馬を制することが、ブランド戦略成功の第一歩なのです。
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海馬を制するものが、ブランディングを制す!
海馬が好む3つの要素
では、どうすれば海馬に必要な情報と判断されるのか。3つの重要な要素があります。
1. イメージが鮮明なもの:(デザイン)
海馬は視覚的な情報を好みます。情報が鮮明で視覚的に印象的な場合、海馬はそれを記憶の対象として選びます。我々の脳は視覚情報を特に重要視し、強く記憶します。ブランドのロゴやデザインが目を引き、視覚的に記憶されることで、海馬から大脳皮質への情報の転送がスムーズに行われます。視覚的な印象の強いデザインは、ブランドの認知を促進し、記憶に刻み込まれやすくなります。
2. 強く感情が動いたもの:(ストーリー)
感情が動く出来事や情報を海馬は好みます。ブランディングにおいても、顧客の感情を揺さぶるストーリーが大切です。感情が絡むと、その情報は海馬で強く処理され、大脳皮質に強烈な印象として保存されます。ブランドストーリーが顧客の感情に響けば、ブランドの存在は深く根付き、長く記憶に残ります。
3. 何度も繰り返し記憶されるもの:(コミュニケーション)
同じ情報が何度も繰り返し提示されると、海馬はそれを重要な情報として認識し、長期記憶への転送を促進します。記憶の定着には継続的な刺激が欠かせません。何度も繰り返しブランドを見聞きすることで、記憶はより確固たるものとなります。ブランドの一貫性と継続性は、大脳皮質への記憶の定着を促します。
まとめ
ブランドを顧客の脳内に深く刻み込むためには、海馬から大脳皮質への情報伝達を意識的に促し、記憶として定着させる必要があります。そのためには「鮮明なイメージ」「感情を揺さぶるストーリー」「一貫性と継続性」が重要になります。ブランド戦略を構築する上で「当たり前でしょ」と思われる方も多いと思いますが、改めて、脳内における記憶のメカニズムという視点で考えてみると、その重要性に説得力が生まれるのではないでしょうか。
※筆者は脳の専門家ではないので、脳についての記述は2次情報であり筆者の解釈が含まれております。あくまでも記憶のメカニズム視点のブランド戦略レビューであることご理解いただければ幸いです。
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