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『私たちは猫のように集い、しばしを共にし、また散っていった ~「Equinox - Same but different 2024 秋分の日」に寄せて』
薄雲の切れ間から注ぐ、仄かに黄色がかった光に染められた水面は東京湾なのだろうか。目の前を横切る、水平線のような柵で隔てられたこちら側は青海南ふ頭公園で、 「この前はキリンみたいだったんですよ。」 と、美秋 Meerkatさんが指差した大型クレーンは、公園と隣り合う青海コンテナ埠頭にあった。“キリン”は、今やその首を水平にまで下げてコンテナを運んでおり、その金属音に、切れ切れのラジオのような、あるいは水面に雫が落ちるような音を滑り込ませているのがムラカミロキさんだった。彼は
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『みずから回る輪【第2部】-「DPPT workshop vol.3 Performance by 北山聖子+山岡さ希子」に寄せて』
山岡さ希子さんがチョークで「」を引いている。しかしそれは黒い壁ではなく木製の仮設壁の表面で、「往復する拳 vol.2」と題された今回も、ふたつのテーブルの間で石をひたすら運び続けていた (前回については『みずから回る輪【第1部】』を参照)。しかし、それらテーブル間の距離が片道7、8歩に伸びている (前回は5、6歩だった) のは、ここが同じ「PARA神保町 2F」でありながら空間の使い方が違うからだ、今回は前回よりも2倍近く広い。 それも、PARAが「美学校」とビル2階のワンフ
『みずから回る輪【第1部】―「DPPT workshop vol.2 Performance by 山岡さ希子《往復する拳 Fists going back and forth》」に寄せて』
窓がL字に伸びている。 その “L” の角には、細く長い、音叉の先のような脚を2対持ったスツールが3組、座面同士を合わせた形で寄せられていて木立のようだ。傍らの、カートに積まれたスタッキングチェアの脚部が銀光りする “Z” の川みたいで、左の窓辺にも、背後の壁沿いにも、「PARA神保町 2F」の備品が置かれている。 「“倉庫っぽい” 雰囲気を残したい」という、山岡さ希子さんの意向により、今回は備品を片付けたり、あるいは可動壁で隠したりはしなかった。しかし、ではそのままか、と問
『山河に遊ぶ ― 玉川上水46億年を歩く× DPPT 「取水口付近でパフォーマンスをする」および北山聖子さん《太陽に輪ゴムを打つ》について ― 』
第一部「玉川上水46億年を歩く× DPPT 『取水口付近でパフォーマンスをする』」 「DPPT (Durational Performance Project Tokyo) 」では、デュレーショナルパフォーマンス (Durational Performance, 以下DPと表記) という、長時間にわたって同じ動作を反復したり、あるいはひとつの行為を引き延ばし続けたりするが故に、身体的・精神的負荷のかかる(だからこそ、Endurance Performance とも呼ばれる
「うみおとす手、すくいあげる手」 【Durational Performance Project Tokyo (DPPT) ワークショップvol.1 石田高大さん《6つのサイコロ》について】
以前、展示で訪れた時には、腰高よりも下がオレンジ、上がレモンイエローに塗り分けられていた【PARA神保町 2F】の壁は、いつからかマットな黒一色になっており、その手前に、一本足で、天板の四角いテーブルを置いたのが、『Durational Performance Project Tokyo (DPPT) ワークショップ vol.1』のプレゼンターである石田高大さんだった。 テーブル向かって左手には、愛全地蔵通りに面した窓があって(すりガラスで8枚、すなわち4対横並びになっている