12月3日
ずっと確定申告を白でしていたのだけど、今年からようやく青にすることにして、そうしたら青色申告会の講習のようなものに出て下さい、というような通知がきて、やり方なんてまったくわからず困ったなと思っていたのでありがたく参加し今朝最終回。朝の9時半からの回を申し込んでいたからいつもより一時間早く目覚ましをかけ、どうにか間に合う時間にベッドから出たけれど身支度をして外に出るということがどうにもこうにもどうしたって億劫であぁこれは行かれないかもしれないと思い別の日に変更してもらおうかとよっぽど思ったけれど物事というのは引き伸ばせば引き伸ばすほどさらにその億劫さを増すのだということを考え両者を天秤にかけながら数分悩み、えいっと立ち上がりばばばっと目についた服を身につけ家を出た。少し遅刻かなと思ったけれど開始数分前には到着して無事終了。
よく晴れた昼過ぎの多摩川沿いをご機嫌で自転車に乗って帰宅し、コーヒーを淹れて帰り道に通りかかった昔ながらのパン屋さんで買ったくるみの焼き菓子(キャラメリゼされたクルミが薄めのクッキー生地でサンドされている、好きなお菓子なのに名前がわからない)を食べながら飲み、ソファーに座って本を読んだ。
ポッドキャストで西加奈子さんが勧めていた村田沙耶香さんの『しろいろの街の、その骨の体温の』という小説を最近下北のヴィレッジヴァンガードで他の文庫本何冊かと一緒に買って、はじめの数ページだけを読んでいた。子供を題材にした小説になんとない苦手意識があり、あれ、と思ったけれど物語の大半は中学校に上がってからのものだったので、気がつけばあっという間に吸い込まれ、夕方までの時間をかけて一気に読み切ってしまった。終わりのくだり、主人公が世界に出会い自分の目を発見し、自らを開いていくその描写が素晴らしく、いくつもページの端っこを折り曲げた。十代って苦しかったよなぁ、ということを思い、そしてわたしにはわたしの苦しさがあったように、あの教室あの廊下にいた誰もにそれぞれの苦しさがあったのだなということ思った。
読み終えるとすっかり外は暗くなっており、お腹が空いたので朝冷凍庫から冷蔵庫に移しておいたじゃがいもとごぼうのパテにみじん切りして軽く炒めた玉ねぎとオートミールを加えて混ぜて、野菜のハンバーグを作った。甘辛いソースを作って絡めるのだけど、片栗粉が多かったらしくちょっと失敗した。キャベツを山盛り千切りにして、おとといくらいに作ったセロリを炒めてスイートチリソースと絡めた残りと一緒にお皿に盛って、西加奈子さんの後書きを読みながら食べた。
全身が物語を欲している気がして、さらに別の小説を開いたけれどまったく言葉が入っていかず、どうやら飽和しているみたいだった。その飽和を緩和するためにいまこうして文字を打っている。入れたら出さないとそのうち入れられなくなる。出すために入れる、ということもだからあるけれど、いまのわたしのこの、これは一体なんだろう。本当に、貪るようにして、なにかにすがるようにして活字を読み漁っている。今日は本を読む途中でいくつかの文章を書いた。あてのない言葉はだけど割とちゃんとまとまりのある文章になった。いろんなことを考えたり思い出したりした。
しろいろの街の、その骨の体温の、本当に美しかったなぁ。それだけでしばらく生きていけそう。そしてそう思えることは幸せなことだ。食後にこの間実家からもらってきたラフランスを剥いて、丸ごとひとつぺろっと平らげた。
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