Jung Kook "3D" 時空を超えて愛したい ~日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.108
※意訳はAlternate Ver.、記事の後半でラップ歌詞にも触れます。
最終更新:2023.10.17
更新記録:
2023.10.9 記事公開
2023.10.16 一部修正(主に差別という表現を屈辱的に変更)
2023.10.17 「get cute」ニュアンスの再考を追記
3D - Alternate Ver.
1, 2, 3D
別のタイムゾーンにいる僕は
電話越しで君に触れることも
宇宙を超えてキスもできない
僕が覆せないただ一つの時間
でもそこに二つの次元があるなら
僕に足りてないのはたったひとつ
そして君が孤独を感じても
もう一切 その必要はない
僕はそういう君の姿を
この目で見たいだけさ
そんな君を見たいんだ
uh uh
だから君さえ良ければ そして
僕に そうさせてくれるのなら
動いてるところが見たいんだよ
3Dで
君は 僕に後悔しないだろう
シャンパン コンフェッティ
動いてるところが見たいんだよ
3Dで
だって僕がどれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
どれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
カラダからカラダへ 君と僕
ねぇわかってる?僕らはわかってる
だから僕に言わせにこないで
だって僕が熱を籠らせたこと
君は知っているじゃないか
愛しい君が 僕を狂わせる
ずぶ濡れの君はそれを偽れない
君は真っさらな感情をくれた
その秘薬を僕に飲ませたんだ
僕はそういう君の姿を
この目で見たいだけさ
そんな君を見たいんだ
uh uh
だから君さえ良ければ そして
僕に そうさせてくれるのなら
動いてるところが見たいんだよ
3Dで
君は 僕に後悔しないだろう
シャンパン コンフェッティ
動いてるところが見たいんだよ
3Dで
だって僕がどれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
どれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
だって僕がどれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
どれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
僕はそういう君の姿を
この目で見たいだけさ
そんな君を見たいんだ
僕はそういう君の姿を
この目で見たいだけさ
そんな君を見たいんだ
僕はそういう君の姿を
この目で見たいだけさ
そんな君を見たいんだ
僕はそういう君の姿を
この目で見たいだけさ
そんな君を見たいんだ
uh uh
だから君さえ良ければ そして
僕に そうさせてくれるのなら
動いてるところが見たいんだよ
3Dで
君は 僕に後悔しないだろう
シャンパン コンフェッティ
動いてるところが見たいんだよ
3Dで
だって僕がどれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
どれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
だって僕がどれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
どれだけソレが好きか
君ならわかるでしょ?
3D
英語詞はこちら↓
https://music.bugs.co.kr/track/6217421
『3D - Alternate Ver.』
作曲・作詞: BloodPop(R) , David Stewart , Jack Harlow
*******
今回は、2023年9月にリリースされたJung Kookのデジタルシングル "3D - Alternate Ver." を意訳・考察し、後半ラップ歌詞の考察もしていきます。
米ラッパーJack Harlowをフィーチャリングした "3D (feat. Jack Harlow)" の方が正規のシングル曲になります。Alternate Ver. はそのラップ部分を全カット・別編成したもので、二曲は同時にリリースされました。
まずは2023.10.15時点の私の考え方を置いておきます。
前提として目を通していただきたく思います。
(以降記事本編は2023.10.9更新のものをそのまま掲載しています。)
2023.10.16追記
当記事に対する今までにない大きな反響をいただいた結果、有識者の方々の厳しいお叱りもまた多数いただきました。
以下、学び直した「経過」を反映し私の考え方が誤解のないように伝わるよう一部打ち消し線及び追記にて修正を加えました。
主に「差別」という言葉を使用した部分について、「屈辱的」という言葉に変更しています。
お叱りに対する訂正というよりは、自分の思考が正確に伝わるかどうかという観点での修正です。
賛同のご意見含め、記事を読んで下さった方々が私に直接声を届けて下さったことによりそれが「自身の経験」となりました。確実に私の価値観に変化が起こっています。心から感謝を申し上げます。
今後の学びの進捗により再度の加筆もある可能性があります。ご了承ください。
リリース直後より問題視されている「ABG」という言葉に、正直私はこの楽曲で初めて出会い、一体何が問題なのかを理解するための学びから始めなければなりませんでした。
その際アジア人女性への差別・偏見を軸に解説している文章と共に、美容文化的な側面を紹介しているものにも目を通しました。
総じて、今回の歌詞の文脈(記事後半で解説)での使用が差別屈辱的だと言い切ることが私はできませんでした。
(とはいえ「ABG」という文字要素自体が差別的要素を持つ略語であることは事実であり、それをよりによって白人ラッパーに語らせたことがまずかったという指摘も目にしました。確かにその点が混乱を招いた最大のトリガーだったのではと思います)
また私は女性ですが、ラップ歌詞のストーリー(記事後半で解説)を考慮する限り今回の歌詞での男性目線の言及が表現として侮辱的だとは思いません。(彼が〈K-POPアイドル〉としてリリースしてきた楽曲が今まで守って来たものとの距離はだいぶ感じますが)
MVの表現について、同じ格好をした女の子が並んでいる「だけ」で気持ち悪い、モノ扱いされてると感じるという主張は、それこそが偏見であるように感じます。
MVの中のワンシーンであるからには必ずそこに意図があり意味があり、少なくとも彼の曲だということが理由でMVを観始めたならば、その意図に思考を巡らせる時間があってもよいのではと思います。
既にそこにある差別を想起させるものは、例え目的が別の所にあっても差別に外ならない、「作り手の意図は微塵も関係ない」と懸命に抗議をされている方からしたら「そういう無知でのんきな奴がいるから蔑視が、差別が、偏見がなくならない」ということになるかもしれません。
(2023.10.16追記 ↑この部分は、冒頭で挙げた「人種を持ち出した時点で差別になる」という観点において正に「無知でのんきな」発言でした。差別とハラスメントを取り違えているというご意見が最もこの状態を上手く表現して下さっていたと思います。差別であるかどうかを語るのにストーリーや背景、考察、解釈は一切関係ないということを今では理解しています)
差別屈辱的か否かは受け手個人の意識に因るものなので、差別屈辱的だと誰かが言えば、それは確実に差別屈辱的なものに成り得ることは承知しています。
ですが、今回の表現が表面的に蔑視だ、差別だ、偏見だと叩かれ謝罪や訂正を迫られるのならば、世の中の芸術・娯楽作品の大半が消えてしまうでしょう。
問題だと言う人、そうではないという人。頑なに説明を求めている人、ただただ作品を愛でたいと思う人。全ての人が間違いではなく、お互いを叩き合う必要はないし、価値観は自身の経験により作り上げられるべきで、誰かの言葉に安易に左右されてよいものではないはずです。
これが差別的だと実感できない人もその「実感できないこと」を後ろめたく思う必要はなく、また、差別だと実感している人は実感できない人に対して気持ちを表明することはできても同調することを'強要'してはならないと思います。
(2023.10.16追記 「実感できていること」「実感できないこと」を双方互いに相手よりも優位な立場に立つための材料にしてはならないと思います。実感できているなら相手が何故実感できないのか、実感できないなら相手が何故実感できているのかに思いを向け、理解を得たいと思うならそれ相応の尊重し合う心が大切だとあらためて感じています)
私はどんな言葉にも潜在し得る差別的要素の全てを否定しません。
そして同じように、作品の意図を無視することもまたできません。
前置きが長くなりました。ラップ歌詞については後半で読解しますので、ご興味のある方のみ最後までお付き合いください。
1.定型を超えたポップスター
"3D" リリースの告知より一足先に、楽曲の存在は「Global Citizen Festival 2023」のステージ上で予告されました。
そして無事楽曲リリースを迎えた直後、米音楽メディア「Consequence」によるグクのインタビュー記事が公開されています。↓
"Seven" の記事でもお伝えした通り、現在グクが進めているソロワークは海外のライターが心配する程(?)「セクシーな」内容になっています。今回の記事にもこんな記述がありました。
今までなかった表現を嫌う人がいることも彼は承知の上で、それでも受け入れてくれるファンを信頼して新たな(露骨な)領域に自ら進んでチャレンジしている。
これが「今」の彼のスタンスであり、ソロ活動をブレずに成功させるために据えた指針なのだと思います。
そして "3D" はこのインタビューの時点でナム、ユンギも試聴済みで、彼らから「真のポップスター」認定を受けたとグクが喜んでいる様子も上記記事で伝えられています。
また、米ラジオSiriusXMのインタビューにおいては、コラボレーションの相手は創作の過程で「すぐに頭に浮かぶ」とし、できるだけ早く、完璧に合致する相手を選ぶ、と言及しています。↓
全て彼自身が舵を取り進んできた航路であったことが良くわかるインタビューです。
そして、そのようにしてグクに選ばれた今回のフィーチャリング相手Jack Harlowについては、以下の記事にその人となりが記されています。↓
では、少しずつその歌詞の内容を見ていきたいと思います。
※1 ここで肝心なのは「僕」が「君」とは another time zone=別々のタイムゾーンに居る、という大前提です。つまり "3D" は、それなりの大きな時差がある「遠距離恋愛」の歌なのです。
※2 目指しているものが「3次元」なので、ビデオ通話などで「2次元」までは条件が揃っていると考えると足りないのはあと「1(次元)」だということ。
※3 see youを「君に会う」としても十分意味が通るのですが、敢えてseeを「見る」で訳していきます。これは後に出てくる「I wanna see it In motion(動いているところが見たい)」というフレーズと呼応しています。
・名詞+like that…そんな~(参考)
※4 「it」=Champagneとconfettiで表現されているもの
※5 隠語(参考)
シャンパンもコンフェッティ(紙吹雪)も、祝福の象徴のイメージがあります。暗に何のことを言っているのか気付いても気付かなくても「僕」の愛情の温度や勢い、幸福感を感じることができる上にキャッチ―であるという、ものすごくポップなサビ歌詞だと思います。
※6 get it…わかる(参考)
※7
・go get…~しに行く
・get+目的語(*'人'以外)+過去分詞…目的語に~させる(参考)
*本来は'人'以外だが「get started=始める」と結びついた「Don't get me started=言わせないで」(参考)はフレーズとして一般的とのこと。
※8 このrainは※5のChampagne、confettiとほぼ同義だと捉えて良いと思います。
好きを好き、愛してるを愛してるとストレートに伝える歌も大変魅力的ですが、結局、人間が生物として抱えているものを定型文だけで表現しようとするのは限界があります。
その限界を突破できたものが大衆娯楽や芸術として成立・大成するのであって、この "3D" はその限界を優に超えて来たのだと私は思います。
2.ラップ歌詞のストーリー考察
ここからはJack Harlowが担当するラップ歌詞について書いていきます。
※ラップ歌詞原文はGENIUS掲載のこちらを参考にしました。↓
記事冒頭で触れた通り、"3D" のラップ歌詞は異議を唱える声がリリース直後よりあがっています。
中でも「ABG」という言葉に反応した方々が指摘しているように、アジアンヘイトに関する認識の甘さを疑わせることや、これまでのグループ活動との乖離に対する憤りが強いように思います。
同じように顕著だったのは、女の子をひとりふたりと挙げていく歌詞、MVで女の子をずらりと並べるシーンが女性をモノ扱いしている、女性蔑視にあたるという主張。こちらもまた、過去の謝罪案件を無にするものだと遺憾を示す方がいらっしゃるようです。
「売春婦」などと訳せてしまう言葉が歌詞に並んだこともこれらを助長しているのではないかと思います。
「好きな人と一緒に堂々と聴ける曲が作りたい」と言うJack Harlowが書いた歌詞がどんなことを言おうとしているのか、とても気になったのでしっかり読み込んでみました。
読解のヒントは、MVの冒頭で登場するヴァーチャル世界に意識を飛ばす男性。
今回私はこのラップ歌詞を、「国際遠恋で心も体も寂しい男がヴァーチャル空間の恋愛シミュレーションゲームで複数の彼女役キャラクターを自分好みに何人も育てまくるも、結局現実世界の自分自身のだらしなさに辟易する話」として解釈しました。
※以下ラップ歌詞引用文につけた和訳は意訳が混ざっています。
※9
・be on~…~に参加する、乗っている(参考)
・chick…若い女性(参考)
・take off…(~から)取り去る、引き取る(参考)
※10 get+過去分詞…受動態(~される)(参考)
→get took=捕まえられる
※11 have+過去分詞…現在完了形(ずっと~している)
→have seen=ずっと見ている
※12
・The way~…~の仕方によれば、~のふりから見れば(参考)
・my boy…親しい友達(参考)
タイムゾーンが異なる土地(後に歌詞の中で明らかになる。彼女→韓国、自分→ケンタッキー州)に住む彼女との関係は電話で話すまでがやっと。抱え込んだ愛欲をどうやり過ごそうかと考えたけれど、本命の遠恋彼女以外とそういう関係になる気はない。
それなら、と挑戦してみたのが、2D(ヴァーチャル)の「恋愛シミュレーションゲーム」で彼女役のキャラクターを自分好みに作って後略すること。2D画面のカラダに没頭している姿はまるで死人のようだと仲間内では冷やかしのタネだ。
※13 Stony Brook…教育の中心地のひとつとして成長したニューヨーク州の集落、あるいは、ストーニーブルック大学。
※14
「All my ABGs get cute for me」→平叙文
この文を命令口調で「可愛くなれ」と訳している方をお見掛けしますが、見ての通り命令文ではありません。
この部分について広まっている批判的な意見にはその威圧的で傲慢な態度に侮辱されたと憤るものが見受けられますが、実際は彼女役キャラクターの方が彼の為に自発的に可愛くなろうとしているのであり、その理由は、バーチャルの世界においてはプレーヤーである「自分=彼氏」の好みが絶対的な基準であるからです。
デフォルトでは皆同じような見た目(MVによれば白トップスにデニム)のキャラクターたちの中から彼女役を選び取り、その彼氏であるプレーヤー自身のキャラ設定も有名大学に通う高スペックに設定。現実とは違う自分を詐欺師のように偽り、彼女役キャラの心を奪っていく。ゲームの中でなら、手を繋ぎさえすればそこから新しい物語が始まります。
(true storyと念押ししているのは、ヴァーチャル世界の無敵展開に本人のテンションが上がってしまっている証拠かと)
そして彼女役のキャラクターは、ヴァーチャル世界を統べるプレーヤーである自分のためだけに※可愛くなっていくのです。
※2023.10.17追記
モデルプレスさんの記事中の和訳が「媚びる」となっていましたので、あらためて「get cute」の訳について再考しました。
当記事を書く際に私が一度目を通していた記事↓
↑の記事にて「get cute」のニュアンスがネガティブ寄りになると解説されています。これは私の主観が強く出てしまった結果だと今自覚していますが、今回の文脈でネガティブさをどう盛り込んだら良いのかわからず自発的に可愛くなる=媚びるという日本語表現に至りませんでした。語彙力がひとつ上がりました。
この媚びる、という表現がまたどう各々の解釈に影響するかは、本当に人それぞれだと思います。いずれにせよ可愛くなれ、媚びを売れとはならないのではないかと思います。
ここで、ヴァーチャルキャラクターの設定を端的に表すために「ABG」が登場します。
本命のリアル彼女(韓国人)の容姿に似せるようにゲームキャラ作りをしていったとすれば、美容文化カテゴリーとしての「ABG」がその見た目や雰囲気を言い表すのに最適だったのだと思われます。
また、概念(不可算名詞)であるABGを敢えて複数形「ABGs」にすることで、その特徴を持った複数の「人(キャラクター)」を指しているものと推測します。
この後、プレーヤーである主人公が調子に乗って彼女役のキャラクターの数をどんどん増やしていく様子が描かれていきます。
一部の方の嫌悪の対象となっている「女の子をひとり、ふたりと数える」シーンは、確かに女の子を周りにはべらせるものに違いありませんが、そこはなんといってもバーチャルの世界。実際には叶わないプレイボーイ体験ができてしまう場所なのです。
※15
・dude…(男性に対して)奴、お前、野郎(参考)
・horny…欲情した(参考)
→「奴」が二人称なので他人に対して悪態をついているような印象がありますがこれは「自分自身に言っている」言葉になります。
何故なら、この「奴(dude)」はバーチャルゲーム内の自分(彼氏役キャラクター)のことを指していると思われるからです。
※16 売春婦を意味する単語にingが付くと、買う側を指す言葉(女郎買い)になる(参考)
→一部和訳にて「お前は売春婦だ」とされていますが今回の文脈では誤訳になると思われます。
この文章のなかの「you」は主人公が自分で自分(のキャラ)を指して言っている「you」である上に、売春婦ではなくそれを買う側を指す女郎買いが目的語なので、「もうお前は女郎買いだ」となるのが正しいです。
こちらも※15と同様、自虐的な表現になります。
※17 「ひとりの女の子~」のところで「I(一人称)」だった代名詞は、その後彼女役の数が増えていくにつれて主人公キャラを客観視し始め二人称になりましたが、ここで再び「I」に戻ります。主人公が急に我に返ったのだと思われます。
シミュレーションゲームの中とはいえ、欲望にまかせて彼女(キャラ)の数を無尽蔵に増やすなんて、いろいろやりすぎだろお前、だらしがないなと呆れているのです。
※18 マジックマッシュルーム(参考)
※19
・I'm done…嫌々していたことが終わった時に言うニュアンスの終わった、できた、疲れた(参考)
・on my back…~にしつこく文句を言って(参考)
我に返りリアルの世界に戻ってきた後、主人公は独り寂しく🍄の力を借りて自己処理をして果てます…彼女と遠く離れている自分が住む街に文句を言いながら。
「世界は俺の名を知る、俺が真実だ」のくだりは唐突ですが、2Dのヴァーチャル世界でぐだぐだしていた自分に見切りをつけ、3Dのリアル世界でしっかりやっていこうとする気持ちの表れのように思えます。
「dude」や「you」で揶揄していたもう一人の自分ではなく、リアルの「I(俺)」が正真正銘の真実である、と。
そして場面は、3D(リアル)の世界に転換します。韓国にいる彼女とのビデオ通話のシーンだと思われます。
※20 自慰する(参考)
※21 タンパ…米フロリダにある湾(参考)
※22 speaking of~…~について言えば(参考)
※23
・thots…That Hoe Over Thereの略 女性の遊び人(参考)
・I thought so…そうだと思った(参考)
※24
・see if~…~かどうか確かめる(参考)
・ain't gotta = haven't got to(~する必要が無い)
*have got to~…~しなければならない(参考)
性欲を満たす方法のひとつとして考えると(テレクラの時代に比べたら)ビデオ通話って普通に便利なツールですよね。この「カメラに収めた(録画した)」のくだりは、グクが歌う本編歌詞の内容とリンクしていると思います。
そして、彼女からの質問に主人公が答える形で通話の内容が明かされていきます。お金をどれだけ持っているのか、性欲は、オンナ関係は、と次々と素性を探るような問いを受け「俺」は適当に話を合わせていきますが、内心不安を抱えています。
自分の彼女に対する気持ちは何の保証も要らない程確かなものだけど、彼女の気持ちはどうなのだろうか。
直接顔を合わせても、自分に触れてくれるだろうか。
遠く離れた韓国から自分がいるケンタッキーに飛ばしてやりたいと思う程好きな彼女が、3Dの本当に自分を求めてくれるかどうか、確かめて賭けに勝ちたい。運の良さを試したい。
…そうなんです。彼はたったひとりの彼女に一途で本気なんです。
この記事を書いている今現在、"3D" のラップ歌詞を日本語に訳している記事は検索上位にあっても悪意があるのか?と疑う程に誤訳が多く、意訳の域を超えた目を覆うような文章が並んでいます。ここまで人様の訳文に絶望的な憤りを感じたのは今回が初めてです。
私の訳も正解ではありませんし、こうして他の方の訳を否定することなど決してやってはならないことだとは承知しています。
ですが今回、この "3D" に限っては、「ABG」を歌詞に使用したことへの批判的な声が歌詞の意味までも捻じ曲げているような気がするのです。
"3D" におけるJack Harlowのラップ歌詞は、そのストーリーを読み解く限りは決して誰かを侮辱するものではありません。
それが読解してみて私が自力で出した答えです。
ただ、単語が持つ意味はいずれの語句においても複数あり、意図とは異なる捉えられ方をされるあらゆる可能性を想定することは制作側の責務・課題であるのでは、とも思います。
私の訳文によってこの楽曲に対する世間の印象に何かしらの小さな変化があれば、などという大それた気持ちでこの記事を書きました。
えらそうなことを言ってすみません。でももし、それが叶えば本望です。
2023.10.16追記
差別であるか否かを語る上でストーリーや解釈が全く関係ないのであれば尚更、この歌詞のストーリー自体が屈辱的であるという印象を与えかねない文章で和訳され、抗議活動の根拠とされることに私は疑問を持ち続けていくと思います。
ここまでお付き合い下さった方、本当にありがとうございました。