本を読んで良い言葉に出合う

 まだ読み始めたばかりなので〈本の感想〉ではないですが、仏教思想研究家の植木雅俊さんの『今を生きるための仏教100話』に日蓮さんの言葉として、

一心を妙と知りぬれば、また転じて余心よしんをも妙法と知るところを妙経とはふなり

が引用されていました。

 その意味は、

わが心(=一心)が尊くすぐれたもの(=妙)だということを覚知した時、そのまま他者の心(=余心)もまた尊く勝れたものだと知る/信ずることができる。そこに、『あなたの心も尊く勝れたものですよ』と訴えるために『妙経』という言葉による表現の行為がある

と、植木さん。


 初めて知った言葉ですが、〈心〉を〈身〉に替えれば、そのまま、私のしたいと思っていることで、なんか晴々した気分になりました。

 どうも、肚の据わりようというか気の落ち着き具合が十分でないような、自分の身の丈・身のほどがうまく掴みきれなくなっているようなときに、ポンポンッと肩を叩いてスッと私の足元を示してくれるような言葉に出合うと、ほっとします。
 私にとって、本を読む醍醐味の一つは明らかにこれだよな、と思います。



 『今を生きるための仏教100話』 植木雅俊
 平凡社新書 2019年

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