親子留学 なぜニュージーランド?
2025年2月から約3ヵ月間、ニュージーランドのオークランドへ親子留学を決意。現在準備中だが、渡航までの日々を綴っている。今回は第2回目。
親子留学を検討している人にとって、この記事はあまり参考にならないだろう。他の国ではなくなぜニュージーランドなのかという明確な理由を知りたいのだと思うが、結局はフィーリングだと私自身は思う。私には合うニュージーランドが、同じ理由で他の人に合うとは限らない。留学となればある一定期間そこで暮らすことになるのだから、さらに短期滞在となる旅行ですら自分が心地いいと思えなければそもそも難しい。そういう意味で、事前にいろいろなタイプの国や地域を訪れていることは留学先選びの前提条件だと思う。あくまで私の場合、という忘備録としての記事なるが、それでも興味のある方に読んでもらいたい。
じつはオーストラリアと迷っていた
親子留学について、ぼんやりと考えていた頃。渡航時期や期間など具体的なことは何も思い描いていなかった頃は、漠然とオーストラリアがいいと思っていた。ワーキングホリデーで滞在したことがある国で、どこかのんびりしていて、都会すぎないところが気に入っている。都会すぎないのは私にとってはポイントで、今後どんなことがあっても東京23区に住むつもりはないと言えば伝わるだろうか。オーストラリアには、ホームステイさせてもらった現地の方や、その時知り合った在豪日本人も何人かいる。多少なりとも勝手知ったる国を選ぶのは自然なことだと思う。ニュージーランドは、留学フェアに参加したものの(コロナ前の話。第1回参照)、候補地としてはそこまで強い思いがあったわけでは当時はなかった。英語を日常的に話す国は欧米以外にたくさんあるし、マレーシアやタイ、ニューカレドニアなどに留学している親子の話もよく聞く。費用面や日本からの距離を考えると、東南アジアは魅力的だ。
でも私の場合は、そもそものスタートは「親子留学をしたい」ではなく「ニュージーランドでの暮らしに身を置きたい」だった。
オークランド在住の方との出会いが始まり
私はライターをしており、書籍や雑誌、ウェブメディア用に取材・記事執筆を行なっている。その媒体のひとつで、ニュージーランド在住の方を取材する機会を得た。いや、正直に言うと、機会を自らつくった。
私は暮らしや収納に特化したメディア「HOUSTO」で、「暮らしの取捨選択」という連載を担当している。さまざまな業界で活躍する人々に、自身の暮らしで大事にしていることや自分軸を教えてもらう内容だ。
その連載の中でニュージーランド・オークランド在住、メリノウールを使用したインナーウェアブランド「YARN」を立ち上げた下山陽子さんを取材。編集部に自ら企画を提案してOKをもらい、下山さんに連絡をとり、インタビューした。「YARN」は以前から知っていて、愛用していたブランド。「自分がいいと思っているブランドを立ち上げた人がどのように考え、暮らしているのか」に興味を持ち取材を依頼しているので、この時点では「ニュージーランドだから」という思いは強くなかった。ところが、下山さんから「移住は子育てに大きく影響した」「誰かと比べることなく、自分らしく学べる環境がある」などと話を伺ううち、親子留学に対するかつての思いがむくむくと湧き上がってきたのを感じたのだ。そして、目的地はオーストラリアではなくニュージーランドなのだと自分の中で確信した。
記事にも書いているが、下山さん自身の移住や起業を後押ししたのはちょっとした「ひらめき」。実行に移そうと思い至るまでの情報は、自分の中に少しずつ蓄積されていた。それらが1本の糸につながり、「やってみよう」という気持ちを見逃さずに直感で動いたきたと下山さんは言う。
オーストラリア滞在を経て、オセアニアの空気感が自分に合っていると感じていたこと。8年前になるが旅行でニュージーランドを訪れ、その思いをさらに強くしていたこと。そして日本での閉塞感。私の中にも同じように「ニュージーランドまでの道のり」が蓄積されていて、下山さんへの取材をきっかけにそれらが1本につながったと言えるかもしれない。今思えば、取材対象に下山さんを選んだことは必然だったと思う。
「行くなら今かもしれない」と留学へと舵を切ったのは、下山さんに話を聞いてからすぐのこと。その際、どの国にするかは検討せず、ニュージーランド一択だった。
ニュージーランドの教育を受けさせてみたい。ニュージーランドに暮らしてみたい。私の場合はその思いがスタート地点となり、夫や子どもに話して少しずつ内容を固めていった。その詳細は少しずつ記事に書いていくが、今回の留学を決めるにあたり障害となりそうなことやつまづきはほとんどなかった。むしろ何もかもお膳立てされたような状況でFIXした。そのことに私自身とても驚いている。
うまくいくときは、怖いくらい順調に進む
コロナ前に参加したことがあった、ニュージーランド大使館主催のニュージーランド留学フェア。「行こう」と考え始めてから数週間後に、2024年度のフェアが開催される予定になっていた。多くの人が迷うであろう小学校選びは、第一印象で決めた。難関だと思っていたホームステイ先探しも、学校から徒歩20分の場所を自力で見つけられた。
こんなにスムーズに決まっていいのか、決めていいのかと思うほど順調だった。「あぁ、これはニュージーランドに呼ばれているんだな」と今は確信している。何をどう頑張ってもうまくいかない時があるように、うまくいく時は何もかもうまくいく。こうした感覚は、大事にしたい。まだ渡航しておらず、何もかも始まっていないが、もし何かトラブルがあってもそれはきっといい経験になるのだと信じて。