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2度目の海外生活で心がけたこと
現地の友人を無理につくらない
これは一番に心がけたこと。海外暮らし勢には皆身に覚えがあると思う。現地に溶け混んでいるという一見、圧倒的正義な基準をローカルの友達の数ではかろうとしてしまうこと。そしてインテグレーションに終わりはない。イギリス留学時代、常に現地の仲の良い友人が何人いるかで自分をはかっていた。当時の自分は留学生同士で群れるのはあまりかっこよくないと思っていたし、日本語を話すなんてもってのほかで日本人の友人は5年間で片手で数えるくらいしかいなかった。そのためにできるだけ田舎に住みイギリスの大学では珍しくクラスメイトも先生もイギリス人しかいなかった。英語はもちろん上達した。同時に苦しかった。何が苦しいか当時はわかならかったがずっとこうして暮らしてはいけないと感じていた。日本に戻り10年が過ぎ再びヨーロッパに住むと決めた時、言語上達のために付き合う人を限定することをやめると決めた。言語上達に縛られない海外暮らしはこれが初めてだ。
もちろんわざとつくらないということはしない。その基準が本当に難しいのだ。大学院などでは自然と日本人や大学院では中国人やアジア人の子たちが話やすくなる。あれ、これでいいのかなとも思う。でも今のわたしにはそれでいい。大学院は子どもの現地校や補習校との繋がりのなかの一つに過ぎないのだから。現地校ではベルギー人の保護者と話す機会も多いが、早急に距離を詰めないことが一番大切。縁があれば自然と仲良くなれるから。初めてイギリスに留学したときも驚いたが、こちらではクラスで自己紹介してみんな平等に仲良くなりましょうという前提はない。緊張からつい話過ぎてしまうわたしにはこの距離感が非常に難しいのだ。気が合えば自然と仲良くなるはず。待つ姿勢ができるくらい大人になれたのは30半ばで移住した一つの利点かもしれない。
思い出すとイギリスの大学で人類学のクラスは20人弱だった。3年間一緒だったけど1人も友達はできなかった。スマホがない時代だったので休憩時間は本当に苦痛だった。トイレに立ったり、なんなら家に帰ったりした。キャンパスの中の小川を超えた先に小さいお家のような寮があって徒歩5分の距離だったのだ!ベルギーの大学のように授業がたくさんもなくグループワークもないので仲良くなれる機会もなく若さ特有の頑なさも加わり月日は無常に過ぎた。クラスの外に友達はいたのでそこまで生きづらくはなかったけれど。後にこれは貴重な経験になった。そして卒業後、今Facebookで繋がっているクラスメイトが数人いる。何故か卒業後に友達申請をしてくれたのだ。あの時たくさん話せばよかったのにと思う気持ちと、彼らの近況を見ながらそっといいねを押す自分。そんな自分が全然嫌いじゃない。
口から先に生まれたと言われるような自分が、友達をつくることさえも苦労するという環境に身を置くことは天と地がひっくりかえるような経験だった。誰かにとって当たり前が他の誰かにとってはそうじゃない。そんな当たり前を身をもって知れたことは一度目の海外生活で得た一番の収穫だと今も心に刻んでいる。