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【脚本】『紅の旗』(壱)

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さて、今日から『紅の旗』の連載を。
この作品はCheeky☆QueensがStage#001で西部劇(『アタシたちには明日しかない』)、Stage#002で香港ノワール(『暗殺者の抱擁』)と公演をしてきて、第三作目にさて何をしよう?と、考えた時に浮かんだのが

<ダブルスパイ>

というキーワードでした。
ダブルスパイといえば・・・

これでしょ。
トニー・レオンとアンディ・ラウがめちゃくちゃカッコいい。
そして、物語も秀逸。
ということで、Cheeky☆Queens版のインファナル・アフェアのつもりで書きました。

で、色々と調べてゆく中で、「紅旗幇」という実在した海賊団の存在を知り、モチーフにしました。
だから『紅の旗』。
ええ、ジブリのあの名作にも引っ掛けてますけどね。

本日掲載の(上)の個人的な見どころとしては、冒頭の海戦シーン。
かなり映画的です。
演出も大変だったと思います。
疾走感溢れる冒頭シーンで清代の南シナ海という、馴染みのない世界に一気にお客様を巻き込んでゆく・・・そんな意図もあってのことでした。

登場人物
九蘭(クラン):
 清国海軍が海賊団・紅鮫(ホンジャオ)に送り込んだスパイ。【青龍偃月刀】
小芳(シャオファン):
 紅鮫が清国海軍に送り込んだスパイ。【柳葉刀/二刀】

◎紅鮫(ホンジャオ)◎
豊毅(フォンイー): 海賊団・紅鮫を率いる頭目。
韓(ハン): 豊毅の側近。
董(ドン): 紅鮫の海賊。
梁(リャン): 紅鮫の海賊。
侯(ホー)兄妹: 豊毅配下の殺し屋。妹は隻眼。
趙(ジャオ): 紅鮫の海賊。

静(ジン): 九蘭の一味【二丁拳銃】
雪(シュエ): 九蘭の一味【銃剣】
劉(リュウ): 九蘭の一味【銛】
黄(ホアン): 九蘭の一味。宦官【去勢刀】
春燕(チュンイェン): 九蘭の一味【スリングショット】

◎清国海軍◎
周徳賢(シュウ・ドゥシェン): 海軍中将。
王成龙(ウォン・チェンロン): 海軍少校(少佐)。若きエリート。
孫(ソン): 海軍将校。
梅宗臣(メイ・ゾンチェン): 海軍大尉。
胡(フー): 周徳賢の秘書官。

◎大英帝国◎
エドワード・李(リー): 中国人。紅鮫を追い出された元海賊。東インド会社と組む。
リンジー: イギリス東インド会社総督の娘。
天(ティエン): リンジーの従者

◎酒場◎
志玲(チーリン): 酒場の女主人。周徳賢の元妻。
湯(タン): 志玲の下で働く女
希维(シウェイ): 志玲の下で働く女
客の男たち

◎阮朝◎
密使
配下の者たち

◎回想◎
少女時代の小芳
小芳の母


#0 序章

1800年清国。広州。
英国の古い子守唄「Lavender's Blue」を口ずさみながら海辺を歩く少女。
名はリンジー。衣服も英国人の様子だが、その見た目は東洋人。
髪は乱れ、顔は汚れ、衣服もボロボロになっている。
手にはちぎれかけのぬいぐるみ。

リンジー 「♪Lavender's blue, dilly, dilly, lavender's green,
When I am king, dilly, dilly, You shall be queen.」

哀しげな瞳で海を見つめる。内湾の穏やかな波の音。

声 「いたぞーっ!」

数人の中国人の少年少女が駆けてくる。
手には棒切れなどを持って。
「鬼の子」「穢れた子」「出ていけ」「汚い」など、罵倒しながらリンジーを殴打する。
リンジーは声を上げることもなくただひたすら耐える。
少年少女は散々にリンジーを痛めつけ、唾を吐き、去ってゆく。
リンジーは傷ついた身体を起こしながら

リンジー 「♪Who told you so, dilly, dilly, who told you so?
'Twas my own heart, dilly, dilly, that told me so.」

唇を噛み、ぬいぐるみをきつく握りしめる。
その碧い瞳は怒りに燃えている。
リンジーの怒りに呼応するかのように高鳴る波の音。

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