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事業の社会的意義|追求のためには「組織の中に自己否定できる組織を持つ」こと 〜ZENKIGEN.Lab〜

当社のビジョンは『テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する』です。
ビジョン実現に向け、社会的意義と新たな価値創造を追及するZENKIGEN.Labという研究開発チームを3年ほど前に立ち上げました。
今回はZENKIGEN.Labで研究員として採用面接やメンタルヘルスに関する研究を行っている岩本 慧悟と対談しましたので、ZENKIGEN.Labの取り組みを紹介したいと思います。
ビジョン実現に向けた全体像は前回の記事でご紹介しておりますので併せてご覧ください!


氏名:岩本 慧悟 所属:株式会社ZENKIEGN ZENKIGEN.Lab 研究員 入社:2022年6月 東洋大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。新卒で、ディップ株式会社にデータアナリストとして入社。ピープルアナリティクスの推進や、営業行動データ解析、マーケティング調査等を担当。その後、パーソル総合研究所やカオナビHRテクノロジー総研の研究員として人事領域での調査研究活動に従事。2021年から採用DXの「harutaka(ハルタカ)」や1on1改善サポートAI「revii(リービー)」を提供するZENKIGENの研究員として、採用面接やメンタルヘルスに関する研究を行なっている。専門は、産業・組織心理学、社会心理学。著書:『実践ピープルアナリティクス 人材と組織を理解するための道具箱』(共著)、『未来思考の心理学 予測・計画・達成する心のメカニズム』(分担翻訳)

ZENKIGEN.Labとは:自己否定する研究開発チーム

(野澤)
ZENKIGEN.Lab設立の背景には、東京大学道徳感情数理工学講座との共同研究があります。
AIと人の関わりについて考察する中で、技術だけが進化してしまうことに危険性を感じました。そこで、社会的な意義の追求や誤った方向への進化を避けるために、テクノロジーや心理学、社会学などの幅広い分野の知見を結集し、自己否定をしながら社会的に有益な事業を創出するために、ZENKIGEN.Labを設立しました。

(岩本)
そうですね、まさにZENKIGEN.Labは学術知や技術、学問の手法を駆使しながら「人間理解」を深め、社会の今後の流れを推測しながら既存プロダクトの改良や、新たに開発すべきプロダクトの種を見つけていくチームです。

故に、チームには多様な専門家が所属しています。私は産業・組織心理学の立場から採用面接やメンタルヘルスに関する研究に取り組んでいますが、他にも医用工学や社会学、創造性を専門とする研究員も在籍しており、それぞれの専門性を活かして研究に取り組んでいます。

通常、スタートアップ企業の研究開発チームは、テーマに焦点を当てて専門性が近い研究者を集めることが多いと思うのですが,ZENKIGEN.Labは工学と社会科学のアプローチを組み合わせながら研究を進めているため、とても特徴的なチームだと思います。
広い分野の方々が集まっているからこそ、侃々諤々の議論ができるのかなと思います。

ちなみにZENKIGENの代表として、野澤さんにとってZENKIGEN.Labはどんな存在なのでしょう?

(野澤)
そうですね、ZENKIGEN.Labは、事業成果がすぐに出るものではなく、基盤となる重要な研究を行っているチームです。
岩本さんの言う通り「人間理解」はとても深くて難しい領域なんですよね。それを我々は扱っているんです。

最近注目されているChatGPT4などのGenerative AIなどを使っていると、AIの技術の進化は本当に早いです。そんな中で、「AIが人を判断し、その判断の理由がわからない」というサービスが出現してもおかしくないと思います。
私は「AIが人を判断する」世界は絶対に作ってはいけないと思います。

ZENKIGEN.Labは、自己否定ができる組織です。幅広い分野の知見と科学的根拠に基づいたアプローチで、時には会社が脇道にいかないようにストッパーのような存在であり、時には背中を後押ししてくれるような存在であると思っています。

ZENKIGEN.Labの役割:社会的意義を持つ研究結果をビジネスに落とし込む

(野澤)
最近研究されているテーマをいくつか紹介してもらえますか?

(岩本)
最近の研究テーマでいうと、「採用学」、「就活生」、「創造性」、「メンタルヘルス」などがあります。
サービスのリード創出や利用促進に繋がる研究を優先的に進めながら、長期間にわたる研究も仕込んでいます。

(野澤)
ZENKIGEN.Labは気づいたら次々と新しい研究をしていますが、テーマはどうやって決定されるのでしょう?

(岩本)
大きく2つのパターンがありますね。
1つ目は、人事の方々との対話からです。お客様との商談に同席させていただくことがあるのですが、勉強熱心な人事担当者が多く、抱えられている課題に対する研究がないか尋ねられることがあり、その課題に共同で取り組むこともあります。

2つ目は、事業の種になるようなものを開拓していくパターンですね。
今進めている「創造性」では人と人の相性に関する研究をしており、今後のZENKIGENにとって種や武器になり得そうな研究領域を開拓しています。

(野澤)
お客様との商談に同席するなど、ビジネスサイドとの密なコミュニケーションをとっている研究者は珍しいなと思うのですが、岩本さんはなぜ事業サイドに興味を持たれているのですか?

(岩本)
個人的には、現場の生々しいお困りごとを捉えた上で研究をしたいと思っていて、そういうスタンスをとっています。

HRの領域で科学知を活用しようとすると「研修」や「コンサルティング」というかたちになることが多いと思います。

それも非常に重要ですが、ZENKIGENではデータサイエンティストやエンジニアと一緒に「技術」と融合させることで、「モノ」を作ることができます。加えて、デザイナーがこうした今までにない「モノ」を、しっかりと現場に使いこなしてもらえるように昇華させてくれます。そして、社会をよくしたいというという志を持ったセールスが届けてくれます。

ZENKIGENのメンバーは本当に好奇心が旺盛で、研究者側からの発信に興味を示してくれますし、色んな場面で「こんなテーマを扱っている研究はないか?」と気楽に聞いてくれて、うまく活かしてくれます。そうしたやりとりの中で、生きた関心ごとや課題意識を知れるので、研究を進める上でも非常にありがたいです。

(野澤)
岩本さんが今研究しているメンタルヘルスに関しても今後、ZENKIGENで「モノ」を作っていきたいですよね。

例えば、職場での人間関係によってうつ病になり、過去3年間で、落ち込んだり、やる気が起きないなどの精神的な不調を感じたことがある人が、25.7%と4分の1を占めた*そうです。もちろんそれに伴う社会的損失も大きいです。
表情や声など、うつ病の予兆がある社員を事前に検知できれば、何かしら対策を打つことができるはずだと思っています。

*日本医療・健康情報研究所.「メンタルヘルスの不調が原因で1割超が休職 労働政策機構調べ」.(参照 2023-11-08)

(岩本)
そうですね、野澤さんが言うように、メンタルヘルスに悩む人を減らし、仕事に意味を見出して働ける人が増える世界を作りたいという想いに共感します。
ただ同時に、あえて野澤さんがさっきおっしゃってくださった「自己否定できる組織」を発揮しますが、その検知をどう行うかはとても慎重に考えないといけないと思っています。

ある従業員のメンタルヘルス不調のリスクを事前に「可視化」されると何が起きるのでしょうか。

例えば普段モチベーション高く働いているように見えるメンバーについて、AIが「これからメンタルヘルス不調が起きそう」と教えてくれたら、その情報を受け取った上司は純粋に「大丈夫かな?」「何かあったのかな?」と心配して気にかける優しい世界をイメージするかと思います。

ただもう少し想像を膨らませてみましょう。

本当はプライベートで大変な出来事があって一時的に高負荷な状態にあって、不調リスクのアラートが出たのかもしれません。それを知らずにアラートを見た人は過剰に仕事の負荷を心配しすぎてしまうかもしれません。

ある人は心配しすぎてしまい、「モチベーション高く見えていたのはひょっとして無理していたのか」「もしかしたら本当はその仕事に向いていないんじゃないか」と一方的に推測を進めてしまうかもしれません。

こうした懸念もうまく考慮して「適切」にリスクのアラートを出せるようになったとします。しかし本人の意思に基づかないかたちで一方的に会社にメンタルヘルスを管理されるって、どんな社会的リスクがありそうでしょうか。

特に人の内的な状態のように、目に見えない情報を「見える化」することが何をもたらすのかというのは慎重に検討する必要があると思っています。

ZENKIGEN.Labの今後:社会的な意義と新たな価値創造の追求

(野澤)
最後に、ZENKIGEN.Labがより良い研究の場となるには、どうすればいいと思いますか?

(岩本)事業サイドとZENKIGEN.Labとの距離感はどれくらいが適切なのかや、ビジネス的にキャッチーなモノを作りと会社的意義とのバランスや、色んな観点で葛藤しながら取り組んでいるのが現状です。こういう葛藤も楽しいです(笑)。
ただ、ZENKIGENの中で「自己否定できる組織」であり続けられるように頑張ろうと思います。
ZENKIGEN.Labは利益を追及しないチームなので、長期的な目線で会社が間違った方向にいかないように、そして同時に事業の後押しになれるように、研究開発や論文発表を進め、ZENKIGEN.Labがあってよかったと社内外の皆様に思われるような組織になりたいと思っています。

(野澤)
ありがとうございます。
私たちは「日本発の世界初」を目指している会社です。そんなZENKIGENのバックグラウンドにはZENKIGEN.Labの存在があったと言えるようにしていきたいですね。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも多くの方と対話を重ね、発信し続けたいと思います。

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