成長する組織に欠かせない『マネジメント』の大切な考え方
ある時、尊敬する経営者の方から、「社員数が50名から100名に拡大していくときに、マネジメントの機能不足が原因で、3度組織崩壊が起きた」という話を聞きました。
「50人・100人の壁」と言われるように、会社の成長と組織の拡大の過程で、様々な壁があり、場合によっては組織崩壊を起こす企業は多くあります。
会社の急成長により、「会社と社員の目指す方向性が変わってきた」など、離職が増える原因は様々だと思いますが、その中でも「マネジメントの機能不全」は大きな原因のうちの1つだと思います。
今回取り上げる「マネジメント」はいわゆる「経営層」ではなく、「部門」「チーム」を束ねるマネジメントを想定しています。
社員数が70名程度のZENKIGENにとっても、今まさにマネジメントの重要性が問われているフェーズだと思います。
今回の記事では、「マネジメントを機能させる」ために私自身が意識している考え方をまとめてみました。
そもそも、なぜマネジメントは機能しないのか?
マネジメントがうまくいかない原因として、「経験からしか学べない」という点が挙げられます。
組織が急速に拡大している中で、初めてマネージャーを任される人も多いかと思います。しかし、マネジメントについての勉強や、人から教わったことがあっても、実際に経験してみないと実践できるかはわかりません。
企業の成長過程で経験するマネジメント不全や組織崩壊などの失敗は、組織が拡大する中でマネジメントの成長が追いつかず、必ず発生する成長痛だと捉えています。
組織は生き物です。組織が拡大していく中で、人が増えたり、役割が変わったりすると、また同じ経験を繰り返すことを何度となく体験してきました。
同時に、この失敗から学ぶこともできるのが組織です。
こうした前提がありながらもいかに似たような失敗を繰り返さないために、何をすると優れたマネジメントを実践することができるのか、を考えていきます。
優れたマネージャーとは?
①経営とシンクロする
従業員が増え、100名を超えた時、社長が伝えたいことを全社員に同じように伝えることは難しくなります。
マネージャーの大事な役割として、経営とメンバーを繋ぐことが挙げられます。社長や経営と目線を合わせ、シンクロし、適切に情報をメンバーに伝えることが大事です。
経営とシンクロするにはまず、「情報を取りに行く」姿勢が大事です。
情報を取りに行かず、経営が何を考えているのかわからない、と愚痴っているようなマネジメントは最悪です。
社長が発信するのを待つのではなく、自ら取りに行く姿勢を実践することで、会社の方向性や考えを正しく把握することができ、情報をメンバーに伝えることができます。
因みにZENKIGENでは、私自身が何度も同じことを繰り返し伝える努力をしています。米軍でさえ6回言わないと命令が実行されないと言います。稀代の経営者であるニデック(旧日本電産)の永守さんは100回、京セラの創業者の稲盛さんは1000回、セブンイレブンの鈴木敏文さんは10,000回同じことを言うと言いますので、社長が繰り返し伝えることは重要です。それに加えて、マネージャーが経営者から情報を取りに来て、自分の言葉でメンバーに伝えることが大切です。
②メンバーに規範を示す
ピーター・F・ドラッカーは、「仕事は人格の延長である。マネジメントはその規範を示す人である」と述べています。
戦争などに置き換えるとわかりやすいのですが、軍隊の小隊長のような方を信頼できなかった場合、後ろから味方に撃たれる場合もあります。
会社の組織も同じです。マネージャーに対して「この人のためになりたい」「この人と一緒に成長したい」「この人から学びたい」とメンバーが思えるような人格でないと、誰もついてきてはくれません。
人の上に立つ立場として、マネージャーは行動・発言の全てを見られていると思うべきです。その上で、日頃から自身の行いを内省し、人格を磨き、メンバーに規範を示すことができる人になることが大切です。
③学び続ける
マネージャーは、時にメンターとして寄り添い、時にメンバーに教え、導くこと役割を担います。しかし、教えるということは、マネージャー自身が学び続けなくてはなりません。
古典の『大学』に「慎独」という言葉があるように、他の人が見ていない時こそ、身を慎み、現状に満足せず、誰よりも学び続け、その姿勢を示していくことが重要です。
④高い倫理観とぶれない強さを持つ
ボストンコンサルティンググループ 元日本代表の御立さんは、最も大切なのは「Integrity(インテグリティ)」だと教えてくれました。
「誠実」「正直」「高潔」などの意味を持ちますが、御立さんは、「高い倫理観とぶれない強さ」とおっしゃっていました。
ZENKIGENのバリューの一つに、「公平さを実現する」があります。
私たちは、非常に複雑で未知なる「人」に対し、人生やキャリアにおいて重要な局面である「面接」や「面談」のためのサービスを展開している会社です。人生の重要な場面に関わるという責任と自覚を持って仕事をしていくために、高い倫理観とぶれない強さはとても重要なマネージャーの要素だと思います。
そのためにまずは社長である私が「Integrity」を体現できるよう、高い倫理観とぶれない強さを磨き続けることが大前提であると考えています。
最後に
マネジメントをする上で大切な考え方をまとめてみましたが、強いマネジメントだけでなく、ビジョンの実現の元に集まったビジョンマッチした社員との両輪が必要です。
ZENKIGENの場合、私たちが存在する理由は「For Our Next Generations」を実現するためです。
この両輪が太く大きなものであればある程、組織は強く、継続的に成長していくことが可能になるのではないかと思います。
これまで、強い組織を作るために優れたマネジメントの要諦をいくつか挙げましたが、その中でも「経営とメンバーを繋ぐ」役割は一番大切です。
今経営が議論していることや、会社の状況、今後の方向性など、情報が降りてくることを待っているのではなく、マネージャー自身がそれを把握するために取りに行き、自分の言葉でメンバーにそれを伝え、自分でも学びながらメンバーに寄り添い、そして教え導く。
これが優れたマネジメントにおける大事な役割だと思います。