のざわあらし

2021/6/23〜 感性が刺激された経験を綴ったエッセイ・趣味を語るテキスト等を、週…

のざわあらし

2021/6/23〜 感性が刺激された経験を綴ったエッセイ・趣味を語るテキスト等を、週1ペースでのんびり楽しく書いてます。アクション洋画・RPG等のコンテンツを中心に語ります。稀に写真や創作系の文章も。時折カクヨムでも活動しております。

マガジン

  • のざわのエッセイ的文章

    メインコンテンツ。主に恥と感性と趣味にまつわるエッセイのような記事です。諸々のコンテンツ・カルチャー語りも含まれています。

  • 「迦陵頻伽(かりょうびんが)の仔は西へ」シリーズ

    アジア紀行ファンタジー小説「迦陵頻伽の仔は西へ」シリーズです。 巨躯の遣唐使と有翼の少女、二人の旅は続く。 【不定期更新中】

  • のざわの小説

    のざわが投稿した娯楽系小説(主に短編)、そして振り返り記事をまとめました。逆噴射小説大賞などに参加しております。遅筆のため稀にしか投稿しておりません。

  • のざわの読書感想文

    書籍系の記事です。更新頻度低めです。

  • のざわの映画感想文

    映画感想・推薦・考察などを扱った記事です。娯楽映画が中心です。準メインコンテンツ。

記事一覧

「迦陵頻伽の仔と旅人」(三)

 父を殺めた双子の兄を探している──。  ドルジェの口から吐蕃語で滔々と述べられた旅の目的は、オトの口伝えを介して日本語に訳され、良嗣の元へと伝えられた。  三人…

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噴水のある書店「須原屋」で買い物をした

「埼玉県に、噴水が設置された書店があるらしい」  そのような噂を耳にしてから早数ヶ月。去る8月中旬、ひと夏の思い出として訪れた「須原屋」の地下1階からは、本当に水…

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未来を見た

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【ネタバレ無】きっと、彼女たちにとっては大きな一歩「きみの色」

○「きみの色」が持つ魅力  オールタイムベスト映画の一つ「リズと青い鳥」の関係者が手掛ける完全新作「きみの色」が、遂に公開された。  脚本家:吉田玲子の最新作…

のざわあらし
2週間前
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「迦陵頻伽の仔と旅人」(二)

 西の彼方に沈み行く夕陽は、高原の空と水面を暖かな橙色に染めている。  湖畔の傍らに組まれた天幕の外で、旅人たちは焚火を囲んで食事と会話を交わしていた。行き倒れ…

のざわあらし
3週間前
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タイで「生グァバ」を食べました

「どの食べ物が一番好きですか?」  非常に戸惑う質問だ。和洋中その他諸々、どんな料理にもそれぞれ好きな食べ物がある。一番なんて決められない。エンガワの寿司も家系…

のざわあらし
1か月前
129

<お知らせ>
「第七回こむら川小説大賞」(お題「光」)用の短編をカクヨムに投稿しました。お読み頂けたら嬉しいです。

「ダイヤモンドの代償」
https://kakuyomu.jp/works/16818093082842990772

のざわあらし
1か月前
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期日の近いコンテスト用の短編を執筆中です。
「迦陵頻伽の仔と旅人」(二)以降の投稿はもうしばらくお待ちください……。

のざわあらし
1か月前
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「迦陵頻伽の仔と旅人」(一)

「海?」 「ほら、しょっちゅう経文に出てくるだろ、法華経の中。『或漂流巨海』だの『梵音海潮音』だの『福衆海無量』だの……。坊主たちに訊いてみたら誰も見たことない…

のざわあらし
1か月前
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小説「迦陵頻伽(かりょうびんが)の仔は西へ」シリーズの新作を執筆中です。
ご期待ください……!

のざわあらし
1か月前
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絵画を値切って買ってしまった後悔の話

 居間の壁に、絵画を一枚だけ飾っている。俺が購入した生涯初めての、そして現在に至るまで、所持している唯一の美術品だ。  黒色と金色の顔料を主とし、日本画の様式で…

のざわあらし
2か月前
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グルメ漫画に憧れて、豊洲市場「とんかつ八千代」を訪れた

 豊洲市場、管理施設棟3F。“憧れの店”はそこにあった。  その店の名は「とんかつ八千代」。数々の海鮮フライやチャーシューエッグ(ベーコンエッグのベーコンをチャー…

のざわあらし
2か月前
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過去の名曲に光あれ─ 「HERO」と「若者のすべて」

 7月4日。Mr.Childrenのシングル曲「HERO」(2002年リリース)が、『ONE PIECE』109巻のイメージソングに起用された。  動画の注意書きに反し、俺自身は『ONE PIECE』を…

のざわあらし
2か月前
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エンドロール飛ばし厳禁!「セーヌ川の水面の下に」

 Netflixで配信されている映画「セーヌ川の水面の下に」(原題「Under Paris」 2024年)を鑑賞した。  キービジュアルで一目瞭然だが、本作はフランス・パリのセーヌ川に…

のざわあらし
2か月前
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note4年生から、note初心者のみなさまへ

 2021年6月23日、のざわあらし(旧ハンドルネーム:のざらし)はnoteのアカウントを作成し、電子の海へとテキスト入りのボトルを放流するようになりました。その習慣が始…

のざわあらし
2か月前
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身体の延長線上にあるモノのままならなさ、キーボードの有り難さ #呑みながら書きました

私事ですが、2021年6月23日にnoteをはい 初めました。つまり、2024年6月23日、明日でnote登録三周年、そしてnoteユーザー四年生になります。早い「。早すぎる。俺は三年分…

のざわあらし
3か月前
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「迦陵頻伽の仔と旅人」(三)

 父を殺めた双子の兄を探している──。  ドルジェの口から吐蕃語で滔々と述べられた旅の目的は、オトの口伝えを介して日本語に訳され、良嗣の元へと伝えられた。  三人を照らしていた太陽はいつしか西の果てへと去り、深い闇が高原を包み隠していた。清らかな雪解け水を湛えた翡翠色の湖も、西の彼方に聳え立つ白き山脈も、全てが夜に飲み込まれていく。天に散りばめられた燦々たる星月は、良嗣とオト、二人の視界に欠片も映っていない。全ての瞳はドルジェが懐から取り出した小刀に囚われたままだった。 「

噴水のある書店「須原屋」で買い物をした

「埼玉県に、噴水が設置された書店があるらしい」  そのような噂を耳にしてから早数ヶ月。去る8月中旬、ひと夏の思い出として訪れた「須原屋」の地下1階からは、本当に水が湧き出していた。  埼玉県さいたま市浦和区にある「須原屋」は、地下1階から地上4階、総じて5階にもなる立派な大型書店だ。WEBサイトによると、何と創業は明治9年(1876)。140年以上も昔から浦和の人々に愛されているらしい。 「須原屋」は一見すると単なる大きめの書店……といったところだが、特筆すべきは冒頭でも

【ネタバレ無】きっと、彼女たちにとっては大きな一歩「きみの色」

○「きみの色」が持つ魅力  オールタイムベスト映画の一つ「リズと青い鳥」の関係者が手掛ける完全新作「きみの色」が、遂に公開された。  脚本家:吉田玲子の最新作であり、更にはMr.Children(以下ミスチル)が書き下ろし主題歌を提供したという、自分の「ふたつの好き」が重なった奇跡的な本作は、事前の予想と画風通りに丁寧で繊細な映画だった。  映像面の素晴らしさは言うまでもない。本筋と無関係で動かす必要のないモブキャラでさえ生き生きと動き回るどころか、ほぼ全てのシーン

「迦陵頻伽の仔と旅人」(二)

 西の彼方に沈み行く夕陽は、高原の空と水面を暖かな橙色に染めている。  湖畔の傍らに組まれた天幕の外で、旅人たちは焚火を囲んで食事と会話を交わしていた。行き倒れから救われたドルジェは、せめてもの礼にと携行食の大麦粉で二人の恩人をもてなした。厚意に応えた良嗣は交易用の茶葉を荷解きし、煮出してドルジェに振る舞った。飢えと乾きが満たされていくうちに、延々と頭を下げてばかりいたドルジェも平静を取り戻し、少しずつ自身の素性を語り出した。 「えぇと、鍛金師……?」 「金物を造る職人です

固定された記事

タイで「生グァバ」を食べました

「どの食べ物が一番好きですか?」  非常に戸惑う質問だ。和洋中その他諸々、どんな料理にもそれぞれ好きな食べ物がある。一番なんて決められない。エンガワの寿司も家系ラーメンも厚めの牛タンも西湖(和久傳の蓮根菓子)も、あれもこれも好きで──と事細かに喋っていたら、きっと相手をウンザリさせてしまうだろう。  その一方で。 「どの飲み物が一番好きですか?」  と問われたら、間髪入れずにグァバジュースを挙げると決めている。 「何だそれ?」「どんな味なの?」疑問に思われる方は決して少なく

<お知らせ> 「第七回こむら川小説大賞」(お題「光」)用の短編をカクヨムに投稿しました。お読み頂けたら嬉しいです。 「ダイヤモンドの代償」 https://kakuyomu.jp/works/16818093082842990772

期日の近いコンテスト用の短編を執筆中です。 「迦陵頻伽の仔と旅人」(二)以降の投稿はもうしばらくお待ちください……。

「迦陵頻伽の仔と旅人」(一)

「海?」 「ほら、しょっちゅう経文に出てくるだろ、法華経の中。『或漂流巨海』だの『梵音海潮音』だの『福衆海無量』だの……。坊主たちに訊いてみたら誰も見たことないんだとよ、散々唱えてるくせに。納得いかないっつうの、なぁ?」 「……海なんてただの水の塊だ、目の前の湖と変わらない」 「よく言えるな、お前だって見たことないくせによ」 「鍛金師に海なんて必要ない。僕たちの人生には無関係だ」 「無関係ねぇ。……そりゃ寂しい話だな」  薄らぐ意識の奥底で、かつて兄と交わした言葉が蘇ってい

小説「迦陵頻伽(かりょうびんが)の仔は西へ」シリーズの新作を執筆中です。 ご期待ください……!

絵画を値切って買ってしまった後悔の話

 居間の壁に、絵画を一枚だけ飾っている。俺が購入した生涯初めての、そして現在に至るまで、所持している唯一の美術品だ。  黒色と金色の顔料を主とし、日本画の様式で描かれたその作品は、ラオスの夜を描いた風景画だ。何もかもが溶けてしまいそうな夜空の元で、椰子の木と上座部仏教の寺院が燦然と輝いている。どこか超現実的で陶然としてしまうような魅力を放つ作品を、俺は「美しい」という安直な一言だけで総括したくはない。  作品の創造主は、以前から懇意にしていた後輩だ。彼は美大を卒業したのち画

グルメ漫画に憧れて、豊洲市場「とんかつ八千代」を訪れた

 豊洲市場、管理施設棟3F。“憧れの店”はそこにあった。  その店の名は「とんかつ八千代」。数々の海鮮フライやチャーシューエッグ(ベーコンエッグのベーコンをチャーシューに替えたもの)が名物の、各種メディアでも紹介される機会の多い定食屋である。  10年以上から行きたくてたまらなかったこの店に、俺は先日ついに足を踏み入れた。  まず、俺が「とんかつ八千代」を知ったきっかけを話さねばなるまい。  それは以前弟から借りて愛読していたグルメ漫画『ネイチャージモン』5巻である。  

過去の名曲に光あれ─ 「HERO」と「若者のすべて」

 7月4日。Mr.Childrenのシングル曲「HERO」(2002年リリース)が、『ONE PIECE』109巻のイメージソングに起用された。  動画の注意書きに反し、俺自身は『ONE PIECE』を60巻程までしか読めていない状態にも関わらず動画を閲覧してしまった。その立場で偉そうなことは言えないが、得体の知れない不気味な敵だと捉えていた某キャラクターの半生と「HERO」の歌詞──親から子に向けられた愛情──が、奇跡的なまでに完璧なシンクロを果たしていたように思われる。

エンドロール飛ばし厳禁!「セーヌ川の水面の下に」

 Netflixで配信されている映画「セーヌ川の水面の下に」(原題「Under Paris」 2024年)を鑑賞した。  キービジュアルで一目瞭然だが、本作はフランス・パリのセーヌ川にサメが来襲するというパニック映画──より具体的に言えば「サメ映画」である。  今日、「サメ映画」はエンタメの一ジャンルと化している。「ジョーズ」「オープン・ウォーター」「海底47m」といった海洋ホラー系に限らず、荒唐無稽な娯楽アクションに特化した「シャークネード」シリーズや「MEG」シリーズ、

note4年生から、note初心者のみなさまへ

 2021年6月23日、のざわあらし(旧ハンドルネーム:のざらし)はnoteのアカウントを作成し、電子の海へとテキスト入りのボトルを放流するようになりました。その習慣が始まってから先週ついに3周年を迎え、晴れて「noteユーザー4年生」に進級することができました。  150週に達しようとしていた毎週投稿記録をうっかり年初で途切れさせてしまったことは心残りですが、それでも投稿のモチベーションは消え失せることなく続いています。ひとえにいつも記事を読んで下さる皆様のおかげです。重ね

身体の延長線上にあるモノのままならなさ、キーボードの有り難さ #呑みながら書きました

私事ですが、2021年6月23日にnoteをはい 初めました。つまり、2024年6月23日、明日でnote登録三周年、そしてnoteユーザー四年生になります。早い「。早すぎる。俺は三年分成長できているのか、三年分歳をとったと言えるのか、世間の成人男性、同世代の人たちsが 三年間で成し得ていることを俺は達成できているのか、そんな疑問にさいなまれる真一に 毎日です。が、これらの話題はさておき。 今回のテーマ(話題がブレブレにならないように俺が勝手に決めているもの お 飲み牡蠣 呑