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害獣と猫のちがい(続・小動物に構わず前に進め)


突然ですが、

皆さんは、車で動物をひいたことありますか?


普通はあんまりしたくない経験だと思いますが、

僕は過去に1度だけ、「猫」を弾いてしまったことがあります。


もう20年以上前のことです。

学生時代の友人達との旅行中、静岡あたりの田舎の県道で。

あたりは真っ暗で、何か白い物体が見えた、と思った瞬間には手遅れでした。

肋骨か何かがゴリゴリと砕けるような音が聞こえ、その感触がハンドルを通じて伝わって来たような気がして、たいそう気持ちが悪かったのです。


(グロテスクですいません。)

僕自身も猫は大好きで、猫には何か心を感じますし、日本では「化け猫」と言う言葉もあるくらいですから、

ネコをひいてしまった後味の浅さは半端なく、

そしてその時の感触は今でも忘れられず、

もう二度と動物は引きたくないと思うのです。


***


話は変わってニュージーランドですが、

この国ではポッサムと言う小さな動物が幅をきかせています。

繁殖しすぎている害獣指定の動物あるため、ニュージーランド人にとって、ポッサムを曳くことはまるで抵抗がなく、

郊外の道を一時間も走れば、道路上に2匹、3匹の潰れたポッサムを見かけることは珍しくありません。


ただし、生きてるポッサムはそんなに見ません。

彼らの活動は夜で、基本的には森の中の動物。町の生活では出現しないのです。

ところが、田舎に引っ越してから、そのポッサムをたまに目撃するようになって困ってる、という話を以前書いたんですが、、


この数ヶ月、深夜バイトを始めたら、それどころじゃなくて。

もう半端なく出てくる道があって、

そこを通らないと帰れないのです。


***


その道は、急カーブ続きで、視界も悪く、ハイビームとロービームを頻繁に切り替える必要があります。

そして狭い。

そのくせ一応80キロ道路だから、ちんたらは走ってられない。


そんな道路が、家につく最後の五分間、ずっと続くのですが、

そこに、まー現れる現れる。

避けたと思ったらまた1匹、また1匹、、と

ひどい時は4匹のポッサムに出くわしました。


夜中になるとこんなに活発だったのか。。


***


ポッサムはとにかくノロイのです。

のっさのっさと動く、ものすごくノロマな狸

そんな感じです。


いや、走る事もできるはずなんですが、車を見てもノソノソ歩いてるようにしか見えない。

けどちゃんと逃げてます。

だから、時速50〜60キロ走行だと、ポッサムが逃げる姿が見えてしまうのです。

一瞬の事故ならまだいいとして、逃げている動物を曳くのは、絶対に気分が悪い。


けれど、そこは狭い道で、運転には細心の注意が必要です。

避けるには対向車線にはみ出すしかなく、後ろから早い車がアオってくることもある。

だから急ブレーキも危ない。
とにかく疲れる。



ある日、一匹のポッサムが中央分離帯のあたりに見えました。

よく見ると、彼がいる横にもう一匹、「潰れて死んでいるポッサム」がいるのが見えました。

「生きている方」は、僕の車に気づき、逃げようとしている。

死んだ妻のそばで悲しんでいたポッサム。

僕の車に気づいて、慌てて逃げる。


・・いやだそんなの絶対に轢きたくない。


深夜帰りでヘトヘトに疲れている中、このポッサムの連続出現攻撃には本当に神経を使うのでした。


***


そんな危機的瞬間を、何度も何度も回避してきましたが、

ある日のこと。


夜の11時過ぎ。いつもとは違うルートでした。

時速100キロの直線道。

けれど街灯はなく明かりは車のライトのみ。


前方の視界に、1匹のポッサムの姿が見えました。

中央分離帯から、左の茂みに向かって走り抜けていくのが見える。

そいつはちゃんと走ってました。


が、オッと思った瞬間にはもう目の前。

体が反射的に、ハンドルを右に切りました。


彼は左に向かって走っているから、
避けるなら右しかない。

ところが、、

左に走り抜けると思ったそのポッサムは、あろうことか僕の車のライトを見た途端にその場で「固まって」しまいました。

ちょうど僕が選んだコースの真上で。。


僕の車は吸い込まれるようにそいつに向かって行き、

バンっ

引いてしました。


避けずにそのまま直進していたら、たぶん引かずにすんだので、

オーマイゴッド。。

としか言いようがありません。


***

と言う、僕が動物をひいてしまった、
ただそれだけの話ですが、

実際に曳いてしまってみてわかったことがあります。


それは、、

感触が

「バンっ」

だったこと。


昔の猫の記憶の

「ゴリゴリゴリっ」

ではなかった。


だから何って思うかもしれませんが、この感触の違いは大きいような気がしました。


「ゴリゴリゴリっ」

は、尾を引くけど、


「バンっ」

の感触は、案外残らない。


それが、期せずして、
僕が今回一番感じたこと。


もしかしたら、ゴリゴリゴリの感覚も、単なる記憶違いかもしれないけど。


***



この話、再び、ニュージーランドの友人らに話しました。

「いやー、遂にこないだひいちゃったよー。。」

って。


彼らの反応は

「で?」(何が問題なの?)

って感じで、

誰に聞いてもだいたいそんな感じで、

「害獣だからいいのよ」と軽く言われ、

これまでは、

何が何でも曳きたくない、と思っていましたが、

なんか、、そこまでのことじゃないような気がしてきた(笑)


もちろん優しい僕の心は多少痛むので、しっかりご冥福をお祈りして、、

すっぱり忘れることに成功したのでした。

**

というわけで今日はこの辺で。


日本人感覚からするともしかしたら不快な内容かもしれませんが、これもニュージーランド文化なので、ごめんなさい。

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