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リベラル・アーツの本来の構造

リベラル・アーツは自由学芸と訳されますが、この言葉から何を想像しますか?
直ぐに、ヨーロッパの基礎教育を示す自由七科を起源として、中世に大学の学部システムに組み込まれた、と答える方は少ないのではないでしょうか?
一般的には、大学の学部名として知られていると思います。
<人文・教養・学芸・教育・文理・学際>
本当に色々な名称が使われています。

噛み砕くと「自由に生きるための知力を養うための学び」と定義できると思います。

この概念は、古代ギリシャに起源を持ち、やがて古代ローマに受け継がれ、真の自由人を育むための知識階級の教育基盤となりました。

自由七科は、おもに言語にかかわる3科目の「三学:文法・修辞学・弁証法(論理学)」(トリウィウム、trivium)とおもに数学に関わる4科目の「四科:算術・幾何・天文・音楽」(クワードリウィウム、quadrivium)の2つに分けられます。

11世紀末からのヨーロッパの大学設立期には、2つの方針が取られました。まず、自由七科を修めたい学生はこれらの科目を哲学部ないし学芸学部で学習しました。

一方、専門職を養成することが大きな役割であった神学部(キリスト教聖職者の養成)、法学部(法律家の養成)、医学部(医師の養成)では、学部に進む前の学問の科目として自由七科は公式に定められたそうです。

また、哲学は、自由七科すべての上に位置し、論理的思考を教える科目として神学を修める者の必修科目だったそうです。

これが本来の構造です。どうでしょうか?現代の大学などの高等教育システムとの違いが、少し明らかになったでしょうか?

もう一つの違いは、ヨーロッパで使われる本来の意味とアメリカにおける大学システムの捉え方にあります。

残念ながら、この定義がきっちりと説明されてこなかっため、システム構造が深く理解されず、そのまま現代の大学の学部システムに導入されたことで、現在もなお混乱を解消できていないようです。

以上、個人的な見解ですが、私の音楽の捉え方にも大きく影響しているポイントなので、まとめてみました。


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