短編小説「12人の女たち」第一章
「12人の女たち」
第一章
「睡眠薬と彼女が買ってくれたカーサ・スベルカソー(シャルドネ)」
みひろからは大体いきなり連絡がくる。その頃僕は中島らも著の古本を目当てにあづさ書店へいこうとしていたのだけれど、寒さに億劫で腰が重かった。
彼女はエステだかマッサージだかの美容関係の仕事をしていて、ぼくの住むマンションから程近い店舗へ出張でくることがよくあるのだ。だからその日も日が暮れてカラスも晩飯の時くらいに唐突に連絡を寄越してきた。
「チーズケーキいる?」
みひろの第一声