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首元から囁くのは。 #冒頭3行選手権

「ケンがいい……。ケンがいい……。」

誰もいないはずなのに、たしかに聞こえる。

あ、これ振り返ったらダメなやつだ、と思わず首に手をあてると……。

↓続きです。

しょうもない話なんですけど、コールセンター勤務でオフィスが閉まる休日も稼働するときがあったんですね。

誰もいない静まり返ったフロア。
喧騒に満ちた空間もいつもと違う表情。

しんとした空気とちょっぴり怖い感じがなんとも言えなくて好きでした。

ある日、勤務時間も終わり間際にお手洗いに立ったところ私以外誰もいないトイレから声がするんです。

最初は何かのアナウンスだろうと思ったのですが、それにしては小さ過ぎるし、なんかいつまでも鳴ってる。
気になって耳を澄ますと、女性のか細い声で、「ケンがいい……。ケンがいい……。」と言ってるんですね。

あ、これやばいやつだスルーしよう、と心に決めたのにその声ずっとついてくるんです。

よく聞くと、頭の後ろ、首のあたりから聞こえてくる。

こりゃやばい……!
振り返ったらあかん!!

と、首のあたりに手を回した瞬間、



ついていたんですね。
ワイヤレスヘッドセット。


「圏外……圏外……」って鳴ってました。

こわかったな。


おわり。


こわい話って書くの楽しいですよね。
今年はこわい話ばかり書いてる気がする……。

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野やぎ
待てうかつに近づくなエッセイにされるぞ あ、ああ……あー!ありがとうございます!!

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