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「あ、この道に出るんだ」って感覚が好きだ

「あ、この道に出るんだ」
って感覚が好きだ。

今どこを歩いているのかわからない、かすかな不安と興奮の入り混じった気持ちで、突然、よく見慣れた風景が目の前に広がる。そこにあるのは、安心と、驚きと、冒険を成し遂げたのだという達成感のようなもの。

普段は風景の一部として見過ごしていた小径の先に、実はまだ見ぬ冒険の世界が広がっていた。『耳をすませば』で雫がネコを追いかけているうちに知らなかった町の裏側の世界に足を踏み入れ、気がつくとまったく知らない場所に出ていた、という不安と興奮、の順序逆バージョンみたいなもの。

この感覚、よく知っていると思っていた場所のすぐそばに、意外な世界が広がっていたという感覚は、現実の道だけの話ではない。

思考を深く深く掘り下げていった先で、実は昔からよく知っていた言葉や物事に突き当たった、という経験は誰にもあると思う。
本当に大切な人ほど実はすぐ近くにいる、という言い古された金言もこの発展型かもしれない。
往々にして、本質は日常のすぐ裏に隠れているものなのだ。

そのことに気がつく瞬間。
それがまさに、「あ、この道に出るんだ」という瞬間である。

あるいは、それまでバラバラだった断片が、
一瞬にしてひとつなぎの円環になる瞬間と言ってもいい。

僕はこの瞬間に、人生の至福を感じる。
なんたる愉悦。この瞬間のために生きていると言っても過言ではない。
いや過言だが、それだけこの瞬間には、人生の愉しみの髄が凝縮されているように思う。

今日も「あ、この道に出るんだ」を求めて、
知らない道をふらふらとさまよってしまった。
そして、

最後まで読んでいただきありがとうございます!