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掃除機
掃除を進めながら、家具や家電を少しずつ運び込んでいく。
一緒に住む予定の友達である冨士さんが、以前より動いてくれており、その持ちうる人脈によってさまざまな物を手に入れていた。
炊飯器、洗濯機、掃除機、電気ケトル、調理器具、TV、などなど、
彼女の人脈は計り知れない。
冨士さんの家に置くには場所が取れない家電たちは私の家で一旦預かっている。
そして私の方はというと、ちょうど土地を買った友達が、その土地に立っている家の中の家具を処分したいということでいろいろともらってきたところである。
(その家は更地にして新たな家を建てるらしい)
もちろん中古であるので、中には年季の入ったものもあるが、使うには申し分ない。
電子レンジ、机、イス、テレビ台、棚×4、などなど
生活に必要なものが少しずつ揃っていった。
周りの人に助けられながら生きている、
しみじみ。
以前も少し話したかもしれないが、まだ電気の通っていない古民家は掃除機がかけられない。
畳の部屋をどうにもできなくて頭を悩ませていた。
しかし荷物を運び込んでいるときに気付いた。
冨士さんがもらってきた掃除機は充電式のコードレス掃除機であった。
これは家で充電してきて、古民家で使えるのでは。
と思ったのも束の間
充電器がない。
充電器は冨士さんが持っているのか。
どうなんだろう。
冨士さんに連絡してみるが、返事がない。
かれこれ数日連絡がつかない。
冨士さんと連絡がつかないことは決して珍しくはないのでこれが通常である。
腕の治療に専念しているのだと考えた。
充電器の見当たらない掃除機ではあったが、すでに充電されているのか動いたので、これはしめしめと思い、畳の部屋の掃除を進めた。
掃除機の命は思いのほか早かった。
いや、やつは頑張ってくれた。
最後の力を振り絞り、一畳分を綺麗にしてくれたのだ。
感謝しよう。
畳に関しては、電気が通ってから掃除機をかけよう。
それまでに冨士さんから連絡が返ってくれば良いが。