舞台は伴星共和国へ…。国家警察化学科とは?架空路線図も。SF【北星紀】§3
第1部 『NEWTON』
第1章 壮途
エドはあくびをしながら,新京駅行きの電車に乗り込んだ。
イヤホンで音楽を聴く。
曲は親友から勧められたアイドルグループのものだ。
美しく橙色に輝く朝日が建物の間から見え隠れする。
エドはスマホを取り出して、今日の予定を確認した。
アナウンス 「往京、往京に到着です。出口は左側です…」
ドアが開いてマクスが乗ってきた。
マクス 「よっ、おはよう。」
エド 「おはよう。」
マクス 「何聞いてんの?」
エド 「こないだ君が勧めてきたやつ」
マクス 「え、聞いてくれてんの嬉しいわ」
エド 「普通に良い」
マクス 「それは間違いない。今度新曲出るから楽しみなんだよね」
エド 「へー、そうなんだ」
マクス 「でも仕事始めたら忙しくてライブとかいけないかもなぁ…」
マクス 「そういえばさ、エド」
エド 「ん?」
マクス 「配属同じって普通にすごくないか?」
エド 「それな、しかもあのガウスさんが直属の上司だって」
マクス 「正味めっちゃ嬉しいけど、なんだか緊張する」
アナウンス「まもなく、新京、新京です。海関線、北部本線、営団地下鉄はお乗り換えです…」
新京駅に着いた二人は、電車を降りて式典会場を目指した。
中央庁舎ホール。
警察庁長官が話す。
フェルミ
「…今から約500年前、私たちの先祖たちが、争いのない新たな世界を目指してこの小さな星に渡ってきました。資源に乏しく不毛なこの星で生き延びるため、我々はあの野蛮な『かつての故郷』と物資のやり取りをしながら、知恵を振り絞って少しずつ開拓を行ってきたのです。しかしまだ政府が未熟だった時代から、AEと呼ばれる存在が人々の生活を脅かしはじめ、大きな被害を生みました。先人たちは自分たちの暮らしを守るため、AEと戦う組織を立ち上げ、これが現在の国家警察化学科の前身となりました。皆さんはこの歴史ある組織の一員として、人々のために職を全うするのです…」
エド 「長い」
マクス 「うん、長い」
エド 「この話、小中高でもう何回も聞いたよ…」
フェルミ
「…皆さんは科挙という難関試験を突破した、既に優秀な能力をお持ちの方々です。この任官式を誇らしく思っている方もいるでしょう。しかしこれは始まりにすぎません、これから皆さんはさらに苦しい 試練 と対峙していかなくてはならないのです!!…」
彼の話はしばらく続いた。
フェルミ 「では、諸君、頑張ってくれたまえ!」
フェルミ長官の言葉がやっと終わった。
続いて、全体研修が始まる。
だがエドの耳の中に、「試練」という言葉が気持ち悪くまとわり続けていた。
つづく
2024/12/13
注)
1. 路線図の駅名について、新京、往京、海関以外はChatGPTを使用しました。
2. 路線図は、「路線図エディタ(仮)」を使わせていただきました。リンクです。路線図エディタ(仮) | Studio UXM