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こんな作品求む!「ピッコマノベルズ大賞」運営事務局 座談会

「第3回ピッコマノベルズ大賞」の募集が2024年11月28日より始まりました。

【ピッコマノベルズ大賞とは】

ピッコマ主催のノベル作品コンテスト。
1年を通じて計4シーズンに分けて開催。シーズンごとに2題の作品テーマを設定。
 
第3回からの変更点は2点
・募集テーマに加えて、ピッコマのSMARTOON読者好みの「サブテーマ」の中から1つ以上選択
・年間最優秀賞はSMARTOON化確約
 
①1次審査:ピッコマの利用データを基に選ばれた複数のピッコマユーザーが「読者審査員」として評価
※1次審査通過で連載が確約され、連載時は原稿料と作品収益の一部をお支払い
②2次審査:読者審査員評価を考慮した上で運営事務局が審査し、年間大賞を決定
賞金総額2,000万円
(年間最優秀賞1,000万円、年間優秀賞300万円、佳作100万円)
※コンテストの詳細・要項は「ピッコマノベルズ大賞 公式サイト」をご確認ください

今回、運営・選考にかかわる本ノベルコンテストの事務局担当者による座談会を初開催!第3回からの変更点について、コンテストはどんな作品を求めているのか?など、ぜひ応募・執筆の参考にお役立ていただけたら幸いです。


第3回からの変更点 

SMARTOON化確約 

・司会:
早速ですが、第3回からの変更点について聞きたいと思います。
年間最優秀賞を受賞した作品は「SMARTOON化確約」となりました。
 
・運営チームA:
第1回の年間最優秀賞受賞作「年下夫の未来のために、離婚状を置いて出ていった結果」(以下、「年下夫」)がSMARTOON化され、配信初日にノベル・SMARTOON両部門でピッコマランキング1位を獲得するなど好調なスタートを切りました。これを皮切りに、目標としていた「ノベルとしてもSMARTOONとしても楽しめる作品」をどんどん増やしていきたいと思っています。年間最優秀賞に限らず、ピッコマ読者好みであれば積極的にSMARTOON化を検討していきます。1次審査を通過しピッコマで連載される作品全てが対象です。

ちなみに第1・2回も、SMARTOON化を積極検討していくことが前提のコンテストだったので、大きな変更はしていないんです。ただ「積極検討」という言葉の踏ん切りの悪さは否めない(笑)。「もう取っ払ってしまおう!」と確約を副賞に加えた形です。

SMARTOON化作品は、ノベルとともにピッコマで販売されることになる訳ですが、ノベル・SMARTOONが相互作用で良い結果に結びついていく点はピッコマならでは。ピッコマ=マンガ・SMARTOONアプリと言う印象が強いですが、実はノベル読者がしっかり定着し、かつ成長もしているサービスなんです。
 
・運営チームB:
第2回では、第1回と比べて明らかにSMARTOONを意識した応募作品がよくみられるようになりました。そういったSMARTOON化を見込んだ原作を意識してコンテストに応募される方々の、モチベーションアップにも繋がるといいなと思います。
 
・司会:
今後、ピッコマノベルズからのSMARTOON化は具体的に予定していますか?
 
・運営チームA・B:
2025年に「皇女スヴェータの政略結婚 ~最強皇女は、王太子ではなく第二王子と結婚したい~」がSMARTOON化される予定です。楽しみにしていてください!

サブテーマの新設 

・司会:
第3回からの変更はもう1点。
募集テーマに加えて、新たに「サブテーマ」が設けられました。
 
・選考チームC:
先ほどのSMARTOON化確約の話にも繋がりますが、第3回からは「SMARTOON化向きの作品であるか」によりフォーカスして募集テーマ・サブテーマを設定しました。
 
・選考チームD:
SMARTOONの人気作と従来の版面形式の漫画(以下、「版面マンガ」)・ライトノベルの人気作は、一見同じテーマでも異なるストーリー性・楽しみ方を持っている。(例えば男性向け作品なら「最強主人公もの」、女性向け作品なら「悪役令嬢もの」など。)けれどなかなかその違い・ギャップを埋めることが難しいと、過去2回のコンテスト運営で感じてきました。そこでサブテーマでは、SMARTOON読者好みの人気要素・シチュエーション・物語の方向性を設定しています。
 
・選考チームC:
版面マンガ・ライトノベルとの違い、SMARTOONの読者がどういう属性なのか?はぜひ意識してもらいたいですね。SMARTOONは既にいくつかのトレンドが存在していて、読んでいる人たちは特定のお目当てを持って集まってきている。なので、もう何かしらの「お目当て」がある人たちが好むものをサブテーマに入れています。サブテーマに沿って書いてもらえれば、SMARTOON読者好みに自ずとチューニングが合うはずです。
サブテーマが設定されたことを窮屈に感じる書き手さんもいるかもしれないですが、私たちとしてはそれでも自由な創作の余地は十分にあると思っています。読者を置いてけぼりにせず、存分に個性を発揮してもらいたいです。
 
・司会:
応募時の注意点はありますか?
 
・選考チームC:
サブテーマに優劣はないので、どれを選んでもOKです。一点注意してもらいたいのは、複数選択することについて。取り入れるサブテーマ数が増えるほど高評価になるわけではありません。一つ一つは読者が好きなものですが、だからといって闇雲に取り入れるのはやめてほしい。作品として面白く・バランスよく成り立つ組み合わせや相性を考えて選択してほしいと思います。
 
・司会:
応募時には「作品キーワード」設定もありますね。作品キーワードも一見するとサブテーマに近いものが入っていますが、サブテーマとの違いは?
 
・選考チームC:
作品キーワードは作品を分類する観点で、第1・2回の傾向を踏まえて作りました。よく応募されるテーマ・モチーフを参考にしています。読者による1次審査時など、作品探しの補助的役割です。ピッコマノベルズ大賞が求めているものは、募集テーマ・サブテーマに全て掲載しているので、そちらを創作時の参考にして頂ければ幸いです。


ピッコマノベルズ大賞が求めている作品 

・司会:
これまでの話の中に既にヒントはありそうですが、「ピッコマノベルズ大賞が求めている作品」はどんなものなのか?
もう少し教えてください。
 
・運営チームA:
一言で言うなら「ピッコマ読者が読みたい作品」。この1点に尽きると思います。
ピッコマ読者は、①「待てば0円」という仕組みに普段から慣れ親しんでいて、②毎話続きが気になる作品に恒常的に触れている人たち。ノベルも話売り販売のため、ライトノベルを巻読みする読書スタイルとは異なります。なので、いかに続きを待てない状況を毎話作れるか?各話の引きを意識しながら作ってほしいです
 
・選考チームC:
「SMARTOONをよく読んで研究すること」が一番大事。コンテストの攻略法としても正攻法では。募集テーマごとに紹介している参考作品を複数読むと、それぞれ独自性を持ちながらも共通点があるとお分かり頂けるかと思います。そこから、読者が好きなもの・読みたいものを察知して、自分なりの表現で自由に物語を描いてもらえたら嬉しいですね。
 
・選考チームD:
私からは追加で一点、「序盤の作り方が上手い作品」を挙げさせてください。具体的には、序盤でキャラクターや物語へ引き込む力が強い作品。そうでないと、読者は思いの外すぐに読むのをやめてしまう。ジェットコースターのようなスピード感・起伏のある構成も意識してほしいです。
 
・司会:
ピッコマノベルズ大賞は、最初の審査をピッコマ読者が行います。「読者好みか?序盤で引き込まれるか?」は確かに1次審査攻略の鍵になりそうです。
過去2回、読者審査員評価を見ていてどんな印象を持っていますか?
 
・運営チームB:
高評価作品は「続きが気になる、ついつい読んでしまった」的なコメントが目立ちます。逆にストーリーの進みが遅い作品は、低評価がつきやすい。応募要件である「冒頭20話」で話がほとんど展開しない作品は、1次審査時点で通過は難しいと思ってもらいたいです。求められているのは、「このお話がどういうものか」が冒頭数話で把握できる作品。かつ「この主人公がどうなっていくのか?」が想像・期待しやすい、わかりやすい物語です。
それと、タイトルはやっぱり重要。どういうお話なのか一目で理解できるようなものであってほしいです。奇を衒ったタイトルはおすすめしません。実際に読まれづらいです。かといって、あれもこれも入れてタイトルを長くするのも良くない。それはそれで「どれも同じように見えてきてしまう」。作品を伝えるために必要な要素を押さえながら、適切な長さで作品を表現して読者審査員の心を掴んでほしいです。


第1・2回のふりかえり・感想

男性向け作品

・司会:
過去2回開催してきてのふりかえり・感想もお聞きしたいです。
 
・運営チームA:
募集テーマを問わず、男性向け作品の応募がずっと少ないです
 
・運営チームB:
そうですね、加えてSMARTOON的ではないテイストの作品が目立ちます。日本に根付いている、「なろう(小説家になろう)」やライトノベルの文脈で書かれた作品が多い。私たちとしては男性向け作品も積極的に世に送り出したいのですが、中身のミスマッチが発生している状況です。
ですが逆に捉えると、人気のSMARTOON作品を読み込んで「こういうものが求められているのでは」と研究・攻略すれば、日本での先駆者になれるまさにブルーオーシャンな時期!男性向け作品の執筆が未経験でもぜひ挑戦してみてほしいです。器用な方なら、きっと男女向けどちらでも書けると思います。狙い目です!
 
・司会:
「中身のミスマッチが発生している」というお話について、実際に選考で男性向け作品を読んでみての評価が知りたいです。
 
・選考チームD:
男性向けの応募作品は、美女と付き合うことになったり、アニメ的なキャラ付けの濃いヒロインが登場して活躍したり、ラブコメ展開を差し込む類の作品がかなり多かった。それこそ先ほど話にあった、なろう・ラノベの流儀に則った作品です。SMARTOON作品はそれとは対極的です。ラブコメ要素はほぼ挟み込まれず、地位やお金をわき目も振らず追い求めるようなストーリーが多いです。
あとは主人公キャラが薄味だなと思うことも多かった。SMARTOONの人気作品では、等身大キャラが主人公の作品はほぼ見当たりません。過去の特異な経験がきっかけとなり、どこか異常性を感じるような主人公キャラが多く、そこが魅力につながっています。例えば「最強の力」を物語の中で獲得する場合でも、平凡な人物が棚ぼた的に力を獲得するラッキー展開ではなく、「主人公だからこそ持つべくしてもった」と読者に思わせることが重要。また、その能力や力は持つだけでなく、「賢く」使わないと意味がない。
 
・選考チームC:
確かに男性向け作品の選考でよく話していたのは主人公キャラがキモになる点。SMARTOONの人気作品は、主人公がしっかり掘り下げられている点が特徴にあります。ラノベ・版面マンガでは、どちらかというと主人公1人のキャラというよりも、サブキャラも含めて世界観の構築に重点が置かれていている。SMARTOONでは、世界観よりもまず考えるべきは主人公がどんな背景を持っていて、何をモチベーションにして、この物語を推進しているのか。その辺りを細かく深く作り込むのが、鍵だと思います。
 
・司会:
男性向けでは、サブテーマの中に「非恋愛・非ラブコメ」という変わった要素が年間を通して設定してあります。これは「男性向けSMARTOONでは恋愛ラブコメ展開は非推奨」という意図で設定されたものなのかなと理解できました。募集テーマ・サブテーマをよく研究してもらうことが重要ですね。
 
・選考チームD:
各シーズンごとに設定された参考作品を読むことが、テーマ・サブテーマを理解するための助けにきっとなると思います。参考作品には、設定テーマを理解する上でわかりやすい作品を選んでいます。ラノベ・版面マンガ文脈との違いがどこにあるか注目しながらぜひ読んでみてもらいたいです。
 
・選考チームC:
参考作品を読んだら、ピッコマノベルズ大賞が求めているものがきっとよりクリアになるはず!
 
・運営チームB:
男性向け作品については「女の子が主人公の作品」についても最後に触れておきたいです。例えば女の子が冒険する、女の子だけの世界観がベースなど。そういったものは、男性向けSMARTOONではまず求められていない。読者が主人公に自己投影できるような作品をイメージして書いてほしいです。
 

現代ドラマ(男女共通)

・運営チームA:
現代ドラマ(ノンファンタジー)も応募が少ない。かつ期待しているテイストの作品が集まりにくい状況にあります。
 
・運営チームB:
現代ドラマというテーマ名から、「=なんでもあり」と捉えられてしまっているのかも。それこそ募集テーマをよく読んでほしいのですが、なんでもありな訳ではなく求めている作品の方向性は明確に設定してある。掴んでいただくためには、やっぱり「参考作品」を読んで研究してほしいです。
それと特に意識してほしいのは「スピード感」。ある意味、ダラダラ書こうと思えばいくらでも話を膨らませて書き続けられるのが現代ドラマです。そうではなく、流行りの配信ドラマみたいに観るのを途中でやめられなくなるようなドラマ作りが良いと思います。
 
・司会:
参考作品には実際にドラマ化された作品が多く掲載されてますね。男性向けなら「六本木クラス(梨泰院クラス)」、女性向けなら「もう秘書はやめます(キム秘書はいったい、なぜ?)」など。これらの作品は、まさにSMARTOONを読んでいても息つく暇もないほどドラマが加速的に展開していく。
 
・運営チームA:
実はSMARTOONではない、版面マンガ・電子マンガ作品も現代ドラマの参考作品には入っています。共通点はいずれも世の中で話題化され広く読まれた人気作・実写ドラマ化など盛り上がった作品群です。これはほかの募集テーマと異なるポイントで、SMARTOONに限らずそういった作品も参考に応募してもらえたらと思います。
 
・選考チームC:
「実際に実写ドラマ化できそう」とイメージできるような作品を書いてほしいですね。

女性向け作品

・司会:
女性向けの作品についても、ぜひ聞きたいです。
 
・選考チームD:
女性向けは既婚貴族女性の物語に良作が多く、読者評価も高かったです。逆に悪役令嬢や乙女ゲーム転生などラノベ・版面マンガでも人気のテーマは、そちらのトレンドに引っ張られてSMARTOONに不向きなテイストの応募が目立つ傾向です。とはいえ全体的には回を重ねるごとにSMARTOONをよく研究しているなと感じる作品が増えてきています。
 
・司会:
第1回の年間最優秀賞作品「年下夫」は、まさにSMARTOONをよく研究して執筆された作品例ですね。
 
・選考チームC:
作者の朧月あき先生は出版経験豊富なライトノベルを熟知した方ですが、「年下夫」はSMARTOONを意識して書かれており、かといってラノベ・版面マンガ読者を決して置いてけぼりにしない内容に仕上がっていた。その点も運営としては、安心して評価できる・ピッコマ読者に送り届けたいと思う作品でした。
ここまで「SMARTOONを研究!研究!」と何度も話してきましたが、ラノベ・版面マンガのトレンドもバランスよく上手に取り入れることができれば、そういうハイブリッド的な作品もありだと思います。
 

こんな作品をお待ちしています!

・司会:
最後に、応募者に向けてメッセージをお願いします。
 
・選考チームC:
今回の応募要項はこれまで以上に「ピッコマ読者が求めているもの」を反映させています。
募集テーマ・参考作品をよく研究して、賞を狙ってください!
 
・選考チームD:
SMARTOONでは、「善良さや正義感」よりも「賢さ・強かさ」が前面に押し出した主人公が人気です。
ぜひ、そういった主人公が活躍する作品をお待ちしています。
 
・運営チームB:
ここまでお話してきて、「ピッコマノベルズ大賞が求める作品ってすごく狭いんじゃないか?」「すごく縛りが大きいんじゃないか?」と
感じるかもしれませんが、その縛りを楽しむような心意気で書いていただくのがいいと思います。
縛りがあるから書けないではなく、「その中でいかに面白く描けるか?」ゲーム感覚で挑戦してもらえたら嬉しいです。
 
・運営チームA:
1次審査を通過した作品は、すぐにピッコマで連載開始されます。ピッコマはMAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー数)約1000万人のサービスなので、受賞作品に限らず、数多くの人たちに自分の作品を広めていくチャンスです!その点もぜひ魅力に感じていただき、応募してほしいです。
SMARTOON化の話が今日の座談会では多かったですが、ノベルとしてもちゃんと読まれる可能性があるのがピッコマ。
ぜひノベル作家としての第1歩・2歩をピッコマで歩んでもらいたいなと思います。
 
・司会:
ありがとうございました。