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super happy forever 喪失と昭和ノスタルジーの狭間で

こんばんは!ガラケーをこよなく愛する保健師summerkiwiです。

とは言いつつスマホとの2台持ち。外出時にスマホは地図、お財布ケータイ、時計としての利用が主なので、それらの機能が必要ない時は家に置いてく。財布は三つ折りの手のひらサイズなので、近場なら鍵、財布、ガラケー(持たない時あり)、エコバッグの四種の神器をポケットに詰め込んで、手ぶらふうに出かけることが多い。スマホを持たない時間は身軽で爽快!

さて今回は映画感想第2弾。
今池にあるミニシアター、ナゴヤキネマノイで映画「SUPER HAPPY FOREVER」を観てきました。

この映画を観た理由は、英語スクール休みで特段予定もなく暇だったから。映画観たいと思い、以前から行ってみたかったキネマノイのスケジュール調べたら、午後の良い時間でなんとなく良さげな雰囲気が漂っていたからです。

生まれ変わったミニシアター

爽やかな秋晴れの中、ビルの階段を登りそこへ足を踏み入れた途端、カラフルなポスター達が出迎えてくれます。この場所は以前シネマテークという老舗ミニシアターでしたが、コロナ禍の影響もあり惜しまれつつも閉館。その後、元スタッフ達がクラウドファンディングで資金調達し、装い新しく生まれ変わりました。若い女の子や男の子の姿が目立ち、カップルまでいて、若い層にも支持されていることを嬉しく感じました。


無機質な廊下を彩るポスター達



劇場内に足を踏み入れるとさらにびっくり。シートは革調の新品に生まれ変わっていて気持ち良く、座り心地良し。前方にあったソファ席はなくなっており、スクリーン前にはポカンと広いスペースが広がっていました。以前の古く小汚い印象から一変、素敵な空間。

平日にも関わらず想像以上にお客さんが入っていて、この映画意外と人気あるんだーと何の前情報もない私は驚いていました。

後からじわじわくる

観客数から作品への期待が上がってしまったのですが、見終わった直後の感想は、「あ?」

エンドロールも見届けて席を立ち、外に出る。廊下を引き返し、階段を降りて一歩外に出ると空は薄暗くグレーになっていました。まさに劇中から現実の世界へタイムスリップしたかのように、映画という虚構の世界から現実へ戻されたかのように。そのままの勢いで一歩一歩足を進めながら歩いていると、頭の中にスクリーンに映し出された景色が次から次へと浮かんで来るのです。青い海、白い雲、凪ちゃんの笑顔、カップヌードル、、、

ものすごく愛おしく、懐かしく、切ないけれど爽やかな、そんな気持ちが込み上げました。ヤバい、じわじわくんな〜

その謎を自分なりに紐解いてみました。完全に一個人の見解です。
ちょっと何言ってるかわかんないのは、自分でもまだまとまっていないから。

綿密な計画に基づいて散りばめられた細部と全体構成

特別派手なことが起きるわけでもないのに、現在と過去を行き来するよくあるパターンなのに、既視感を感じさせない存在感。

何かしら訴えかけたいメッセージが存在するから映画を製作するのが一般的かと思うが、この作品はそういう作り手の意図を意識的に排除しているように見える。それが功を奏して押し付けがましくなく、サラッとしている。てかサラっとしすぎていて物語としてアリなの?と心配になるくらいだが、それが逆にリアリティーを支え、実在する誰かの物語を垣間見てしまったかのような、物語と現実を行き来する感覚に陥る。余韻に浸らせることを前提に作られているようだ。終わってから始まるのかもしれない。

それは綿密な構成に尽きる。
主な登場人物は主人公(佐野)、主人公の友人(宮田)、主人公の妻(凪)、ホテル従業員。

すごく不思議に感じたのは、佐野が知り得ない世界を私達(観客)は見せられ続けることで、登場人物達が物語を動かすのではなく、観客によって紡がれていく点。
観客が入っていくことで成り立つような仕掛け。

物語が進むにつれて、前半に映し出されていた物の意味合いや関係性が明確になっていく。構成が上手いなぁと感心しながら観ていた。

繋がらないからこそつながれた時の喜び

昭和ノスタルジーを感じて懐かしく嬉しくなれる要素は、物語の舞台がバブル期に建てられたであろうさびれかけた海沿いのリゾートホテルであり、客室電話であり、紙に書いて手渡す連絡先交換。思わずほくそ笑んでしまう。佐野も凪も携帯電話を携帯せずに、その瞬間を大切に生きている。その瞬間こそが永遠だった。

この作品の良い点として、凪を演じた女優さんがとても爽やかで可愛らしい。私の中では昔の宮﨑あおいを彷彿させる透明感。斜めがけスマホではなくカメラを身につけ、手ぶらで駆け回る。
鑑賞レビューをぱっと見たところでは、この凪が登場するまでの展開や内容はあまり好まれていない様子。主人公が嫌な奴に見えるらしい。だが、私としては突然愛しの人を失う衝撃くらったなら、そんくらい心乱れてもおかしくはない、むしろリアリティーあって良き。絶望感がある、のに、全体的に爽やかさが包み込む。そのバランス感覚が見事。

この映画は一度では半人前。もう一度、もう一度と観たくなる。終わってから始まり、そんな映画でした。


青と赤のコントラストが象徴的


お得なキネマノイ会員になったので、これからも暇を見つけて通えそう。新たな楽しみ嬉しい。

ありがとうございました。



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