六畳に満たない小さな部屋で、わたしは寝転がり本を読んでいる。その隣で、一人の男の子もまた、静かに本を読んでいる。男の子は、背をベッドにあずけて膝を伸ばして床に座っている。顔を真正面にあげると、その男の子の痩せた膝小僧が見える。斜め上に目をやると、親しい横顔が見える。あどけない、しかし年の割に大人びた眼差しの男の子だ。長い睫毛を伏せて、難しそうな本を読んでいる。 「ねえ、晃ちゃん」と呼びかけて、わたしは手を伸ばし、本を読む男の子の袖を引いた。晃ちゃんと呼ばれた男の子は、ん