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大切にすること −インタビュー Soren Bryce(Tummyache)−

作り込まれた素晴らしさもあればそうでないものに宿る魔法もある。テキサス出身、現在UKを拠点に活動する Soren Bryceのソロ・アルバムには魔法が宿っている。エイドリアン・レンカーの諸作を彷彿とさせるようなフォーク・ミュージック、ライブレコーディングされた楽曲はほとんど何も足されずにそのものが持つ魅力を静かに醸し出す。まるで手帳に描かれるラフなスケッチのように白と黒の線が結びつき不確かな像が作られていく。色づく前の、完成された未完成。それらはただその場所に存在する。寄り添

[インタビュー] Lil Chop Record Shop

新しい音楽レーベルを意識するのはまず音楽が先で、いいなって思ったバンドの曲を出しているこのレーベルはどんなレーベルなんだろうと興味を持つのがほとんどだと思う。あぁこれもそうなんだ、これ好きだと繰り返しているうちに、いつしかそれが逆になりこのレーベルの出している音楽だからチェックしてみようかってそんな状態になるというのがよくある形なのではないだろうか。ジャンプっぽいとか、サンデーっぽいとか漫画雑誌になんとなくのカラーがあるのと同じように音楽レーベルにもカラーがあって、聞いている

[インタビュー] Otala -静かに爆発する感情の奔流−

スリリングなサックス、耳を切り裂くギターの音、時に感傷的に時に爆発するように、スポークンワードのヴォーカルに寄り添う演劇的な楽曲。青白い炎がほとばしるノッティンガムの Otala のなんと刺激的なことか。バンドは1年前、23年1月にデビュー曲、「Tennov」を送り出し、その後3曲入りのEP「Tell the Bees」をリリース。そして今年、24年3月に新曲「Commedia」を 〈Lil Chop〉からリリースした。「Commedia」は混迷を極める世界で、唇を噛みしめな

[インタビュー] Ugly ー少年時代の終わりと新しい季節の訪れー

ここから先が新しいチャプターだ。 So Young Magazineの編集長 Sam Ford が日本のメディア(The Sign Magazine)のインタヴューに対して真っ先に名前をあげて、Sports Teamも自身のレーベルが契約する最初のバンドに選びそこにメッセージと期待を込めた。King kruleを通過したBabyshamblesのような、The Smithsやさらにその先、60年代から続くUKの伝統的な部分も併せ持って……ケンブリッジのバンドUglyには浪漫が

[インタビュー] Drug Store Romeos 〜バンドという名の物語〜

イングランドはハンプシャー、フリートの三人組、Drug Store Romeosは不思議な魅力を持っていて、僕らはそれに引き寄せられる。 Slow DanceにSports Team、Drug Store Romeosはロンドンの外からやって来て、音楽性だって違うのに、シーンを引っ張って来たバンドや人に活動初期から称賛されて仲間として迎え入れられた。根底にあるのはたぶん価値観が共有されているってことで、それがコミュニティを作っていく。自分の好きな人たちが好きだって言っている

Holm Front ワールドワイド 〜Sports Teamはいかにしてそのバンドとのサインに至ったか〜

結局のところレーベルの価値とは何を出したかによって決まるんだと思う。CreationといったらoasisやPrimal Scream、The Pastelsを出したレーベルだし、DominoとはArctic MonkeysやFranz Ferdinandがいるレーベルで、Alex GがDominoだからという理由でSorryもDominoと契約した。プロモーションだとかリリーススケジュールだとか中から見ると色々と違いがあるのだろうけど、外から見た場合、そのイメージは前面に出て

ダッチコレクティヴ 〜Personal Trainer Willem Smitが語るオランダシーン〜

現象というもの そこで何かが起きているとどうやって気がつくのか? これがそうだといきなり提示され、その瞬間に受け入れられることはそうはない。多くのものは不思議と緩やかに目の前に現れて、浸透するように知らず知らずに入って来て、それが半ば当たり前のようになり、そうして振り返った時にあれはそういうものだったとそこで初めて理解する。 もちろんまだ振り返るというには早すぎるのだが、しかしここ数年気になるオランダのバンドが増えてきた。RIP Recordsのコンピレーションに収録され