アルゼンチンの数学の宿題からの考察 ~日本との違いとは?~
ご訪問ありがとうございます。
父子でアルゼンチンに移住して一年。
気づいたことを楽しくお伝えしていきます。
1.アルゼンチンの数学の宿題
中学生になりアルゼンチンで数学を学ぶ。
日本とアルゼンチン、考え方に驚くほどの違いがあった。
っていう問題だった。
ちなみに息子は13歳、日本なら中2になる年齢。日本の中学生レベルの数学と比較すると簡単だなと思えるほどの問題。
しかし、最後の一文(もちろんスペイン語)に驚いてしまう。
計算ができればOKなのが日本の教育。しかも日本ならもっと低年齢の子供に、これを50問とか並べて、時間内にスピードを競うことに重きを置いたりする。
2.何が違うのか?
最後の一文にアルゼンチンの深さがある。問題を解く、2つの答えを並べた時にあなたは何を感じますか?という問題。ここにある「グラフ」とは簡単な棒線グラフのことで、横線一本で手書きの目盛りがあればOKというレベル。
算数から数学、マイナスの境地になると急に奥が深くなったと感じてしまうのが数字のマジック。「4-6は計算できません」と言い切って良かったのが算数なのに、マイナスが登場したことでその理屈が通用しない。
子供にしてみれば、考えなくていいことを考えなくてはならなくなったのだ。それは方程式でも同じことが言える。
X+3=10
これを理解するには、式を10という数字から見る必要があって、順序を重んじる日本人には、Xからしか目に入らないことにまず戸惑ってしまい、なかなか理解することができないのが数学の最初の壁。
3.宿題に戻ると
最初の問題に戻るが、この問題から何を学ばせようとしているかを考えてみたいって急に思ってみた。この問題で気づくことは
・足し算と引き算なのに同じ答えであること
・両方ともマイナスの値になること
言葉にするとそんな感じ。棒線グラフにすると、スタート地点から右に動いたり左に動いたりするけど、着地点が同じという気づきになる。
この右と左という動きにも混乱の要素があって、グラフ上では逆の動きなのに答えが同じになることに疑問を感じるようになる。
ここで説明する回答に明確な形式はない。
ただし、どうやってこの計算をしたのかを明確に記憶に刻むことを目的としていて、人に説明できるように紐付けていると思っている。
4.アルゼンチンにおける教育
日本のように50問解いて40問以上なら合格という考えはなく、この説明を一週間後の宿題にして、「考える」「表現する」という自分の脳内の理解を言葉にすることで、理論に変えていくという深い仕組み。
学習塾では絶対にできない学校教育のあるべき姿。
そんな奥深さを感じる正解のない数学の宿題だった。
詰め込まずに自分で表現していくから理解できる。
アルゼンチン人の気質の基盤を感じるような出来事だった。