忘れた愛しい人の記憶—空挺懐古都市—
概要
著者:石据カチル
出版社:株式会社小学館(1)
あらすじ
圧倒的画力で描く、ノスタルジックSF!
海面が上昇し、大地が小さくなりはじめた世界。人々は巨大な「空挺都市」を海上に作る。
しかし、その憧れの都市に「一番大切な人を忘れてしまう」という病が流行し…?
華やかな発展都市の光と闇を描く、どこか懐かしい近未来ファンタジー。(2)
(3)
特徴
海面上昇により人々が移住した空に浮かぶ都市、空挺都市を中心に最も心に依存している人の記憶が段段なくなってしまう病に侵された当事者とその思い人の群像劇となっており、切ないながらも温かい恋愛作品となっている。
良い点
美麗な絵から生み出される和風スチームパンクの数々。作品の舞台となる空挺都市の描写、襖で仕切られた宿屋、本が積まれた科学者の部屋、人形達が集まる剥製標本館兼喫茶店兼診療所、それぞれが美しく、幻想的な風景となっている。
各巻の中でモノクロの漫画の中で一つ色が出現し、「空挺懐古都市」とタイトルがカラーで出てくる演出は身も震える、粋な演出となっている。
悪い点
化石燃料の正体、空を飛ぶ古妖精の末柄、古妖精病がどの様にして発生したのかが明かされるがそれは少し物語軸から離れた、空想よりのものになっており科学者が登場しているがSFではなく御伽噺に近いものになっている。
加えて話全体が恋愛重視になっており、はっきりとその為の舞台装置としての空挺都市であることを承知しなければ肩透かしを食らうことになるだろう。
まとめ
少女漫画の様な世界観で起こる、女性向けの恋物語。美麗な世界観、切ない恋愛を求める人には好ましいものとなっているがそれ以上のものではない。
(1)以下から画像転載
(2)以下からあらすじ引用
(3)以下のサイトから書影を転載
小学館該当商品ページ
石据カチル氏Twitterページ
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