ぐにゃぐにゃの世界販売しています—有害無罪玩具—
概要
著:詩野うら
出版:株式会社KADOKAWA(1)
あらすじ
道徳と倫理を問い、存在と概念を惑わす「少し不思議」な博物館へようこそ。
不死で不滅な「金魚の人魚」が巡る、時空間の景色。
自分だけが「時が停止した真夜中」に行われる遊び。
亡くなった「あの人」と約束した、千年ぶりの再会。
ウェブで話題の作品群に描き下ろしを加え、待望の単行本化。
●収録作品
『有害無罪玩具』
『虚数時間の遊び』
『金魚の人魚は人魚の金魚』
『盆に復水 盆に帰らず』(2)
(3)
各話あらすじ
『有害無罪玩具』
未発達な子供には悪影響を与える可能性がある玩具の博物館、そこに社会科見学をしに来た少女と歪んだ博物館長、時間と空間、自我が歪む感覚に陥る怪作。
『虚数時間の遊び』
時間がとまった世界で唯一生き続ける人。孤独の遊び、感情の放棄と静かな憤りの中どこか懐かしさを感じる物語。
『金魚の人魚は人魚の金魚』
知性を持たない不滅の生物、金魚の人魚、人魚の金魚それを取り巻く人間たちの世界の物語。全てが消滅した中、金魚の人魚は人魚の金魚に寄り添う刺激的で中毒になる。
『盆に復水 盆に帰らず』
死に水を取った所で盆に死に水を垂らすと死人が戻ってくる。水人となった死者はいつまで実在するのだろうか。前述の物語の経験を生かした時間を超えた愛の物語。
特徴
デフォルメ調のキャラを線画で描き、多大な背景、グロテスクな表現と哲学の思索を用いた奇妙な短編作品集。
良かった点
デフォルメ調のキャラクターから生み出される哲学的議論、それをキャラクターが肯定も否定もせず積極的な介入をしない、心地よい諦め、静かな感覚がある。しかしこの画風ではただの諦めを感じない、諦めを感じながらも荒々しく、不規則な若い動力を感じられる。
悪かった点
この荒削りな画風と感覚が堪らない、汚い落書きと認識する人がいるかもしれない。この奇妙な世界を受け入れられないと感じるものもいるかもしれない。それは好みの問題である。
まとめ
この様な漫画に出会えたのは久しぶりである。Z級映画の感想漫画を書いている人(4)や気違いバブルスの様な妙な癖のある漫画(5)で中毒になる。恐らく若い著者が書いた作品であろうがその青い感じが堪らない。グロと理不尽と思索のその微妙な匙加減が抜群の作品である。
(註)
(1)詩野うら氏のTwitterから転載
(2)KADOKAWA当該商品ページから引用
(3)KADOKAWA当該商品ページから転載
(4)https://twitter.com/albatrus8
(5)https://twitter.com/AHIRU_7
KADOKAWA当該商品ページ
詩野うら
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