少女吸血鬼と復讐を誓った男とショタ—MoMo -the blood taker-—
概要
著:杉戸アキラ
出版:株式会社集英社
あらすじ
「V」と呼ばれる吸血鬼による怪事件が頻発する東京。刑事・御子神京吾は、惨殺された恋人の復讐を重ね、犯人である「二つの顔を持つ男」を追い続けていた。御子神を見つめる謎の銀髪少女の正体は―…!?(1)
(2)
はじめに
私個人はゴシックが好きだ(それは別のレビュー——主にクトゥルー関連)を見てもらえれば分かるだろう)。そしてマンガも好きだ。しかしこの二つが合わさった面白いマンガにはなかなかお目にかかれない(ゴシック衣装や雰囲気も好きだがここでは話の分類としてのゴシック)。その為この本を手に取った時もそうした野望からのものであったが期待外れであった。
特徴
少女×中年
この作品はヤングジャンプで連載している為か少年ジャンプと比べ登場人物の年齢を高めに設定されおり、グロテスクな要素や性描写の匂わせもある。主人公となる京吾も年齢も高めであり、この少女と中年という組み合わせを中心としたバトル物はなかなか無い。これがこのマンガの数少ない特徴の一つと言えるだろう。
ブラッドテイカー
この作品の独自の設定とも言えるブラッドテイカー。それはルールを破ったもの、反乱分子とされるものを始末する処刑人である。しかしこれについてあまり設定の掘り下げや役目をとして仕事をすることがほとんどない。後述で詳しく説明するがもろもろの設定に対しの疑問や掘り下げが出来ていないものが多くそれが評価を下げる点になっている。
良い点
所々のゴシック要素
アンフィスバエナの正体が始祖の遊びで生まれた子供であり、成長も出来ず胎児のままであったこと、異種恋愛、少年への傾倒、貴族趣味、洋館や服装、モモのペットのデザインなどでゴシック要素があるのが伺える。
悪い点
ブラッドテイカー
この副題となっているブラッドテイカーつまり同族の平穏の為に同族殺しをする者についてはあまり深堀していない。これから京吾たちに立ちはだかる同族の敵や極度に人間へ害を成す者や吸血鬼社会に根本を揺るがす者を倒す意味でこの副題を付けたのか、或いはモモが今までの吸血鬼の貴族趣味に嫌気がさし、吸血鬼自身の繁栄の為の改革を起こし、意見に賛同しないものへ粛清を行うという意味を込めたのかもしれない。その場合、現状話の中心が元人間であった京吾に置かれている為、あまり効果的とは言えない。
見た目だけで分かる性格と展開
見た目でキャラの生い立ちが分かるのは当然のことである。戦争に行ったものが精神や肉体に傷を負い、目が落ちくぼみ、神経過敏になって仕様がなくそれが身体の特徴として現れ出ているのも納得が行き、理解できるものである。それ故この様なキャラクターの見た目や言動で後の展開を予想できるのは仕方がない事であるが、それが予想の範囲内を超えるものではない。その為に少しのずらしが必要である。
モモと京吾の関係
この二人を主人公として作者は描きたいのだろうが読んでい行けば行くほど京吾が主人公でモモはヒロインになっている。その為にモモが京吾に自分を頼れと言うところや、京吾がモモに気を遣うことがラブコメの中の茶番でしかなく、それを不文律として彼らのそれぞれの立場、階級として扱わず、ノリだけのものになってしまっている。それ故彼らの関係が物凄くぼんやりとしたものになっている。
世界観(用語と設定)
個人的にこの作品の設定の飲み込むのに一苦労した。まず始祖の吸血鬼がおり、その血を元に吸血鬼になっていくため、吸血鬼というものは全て始祖の吸血鬼の血筋ということになる。そしてその実の娘というモモはどの様に生まれたのか。吸血鬼は子どもが産めるのか?恐らくアンフィスバエナの様に人工的に(吸血鬼工的に?)作られたことを意味する伏線なのだろうけどそれが中途半端に散乱している感じが否めない。
そして眷属とは何かと明かされるのが4巻に入ってからであるがそ事前に「眷属」とい単語が出てきたのにも関わらず急に出てきた設定の様に感じられた。眷属が出てきた巻から仲良くなるまでのどこかに布石をすれば良いのに感じた。
感想
東京喰種感満載
全体的に東京喰種感が否めない。目が黒くなるものや自分の身体の成分で武器を作ることや警察組織の中に吸血鬼がいるのなど多々ある。しかし物語というものは殆どすべてに定例が出来ているのでいくつか似ているポイント上げたら限がなく、それは憎まれっ子世に憚るということになる。
しかし抽象的なポイント(作者が作り出したいと考えたもの)についての類似点は殆ど見つからず、中年男の哀愁と少女のひた向きさ、そしてその二人が協力し合い各々の困難に寄り添いながら突き進むというものが描きたいのだろう。だが物語を組み立てる上の一つの要素要素が東京喰種に似ているのでその印象が強まるのであろう。
ショタ
個人の意見としてこのマンガの最大の見どころはショタのお色気シーンだろう。ショタと言っても小学生や中学生ではなく、高校生くらいの野球をしているより男性的なショタである。この作品には二人のショタが登場しており、一人が京吾が務めていた刑事課の後輩でもう一人がモモと京吾を手助けする吸血鬼の眷属である。ショタの眷属を操る為に血液を入れるシーンにわざわざ上半身を脱がす必要はないし、濃厚なキスを描写しなくても良いだろう。そのせいなのかオカマが多い。(因みにそのショタ眷属の女装シーンもある)。7巻に中性的なショタのお尻が見られるのでショタ好きの人は是非このマンガを買ってとくと楽しんでほしい。
(註)
(1)以下からあらすじ引用
(2)以下から画像転載
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