addict
26時の着信音。
だるい身体を起こしながら『迎えに来て』なんて言ってiQOSと財布をポケットに突っ込む。
メイクなんてしないし部屋着のまま外に出る。
吐く息は白くなるし、車のヘッドライトは眩しいし助手席で窓の外見ながら話をききながす。
私の話なんてしないし、話なんてほぼきいてないし何これ。
コンビニ寄っていつもと違う飲み物を手に取る。
前に『いつもそれ飲むよね』って言われたから私のイメージがついたストレートティーが存在するのがなんか嫌だったわけで、珍しそうな顔を横目にレジに行く。
いつもの金木犀の香りがする部屋の中、映画を見る。
これ見よって言い出したくせに私より見てない。
私の胸に顔を埋めて『この香水好きかも』とか言う。映画をみろ、世界を救った男の子を讃えろよ。
特に返す言葉もないし、そっと頭を撫でてあげた。そしたら『好きにならないでね』なんてほざく。自惚れるな。
いつの間にか寝ていたみたいで重たい瞼をあけながらスマホを見る7:28まだ寝れるなと深呼吸。
金木犀の香りなんてどっかいっちゃって私の香水しか香らない。
少し離れて背を向けたら『いい匂い無くなった』って私に手が伸びる。結局、元の位置に戻されたからため息の代わりに"好きにならないでね"って言ってやった。頭をそっと撫でられてそのまま眠りについた。
中毒性あるかもしれないけど、依存性あるかもしれないけど…
お願いだから、好きにならないでね。