13.お葬式と骨になった母

葬式当日。
私は黒の留袖を着た。

32歳で留袖を着て
喪主をするとは思ってなかった。

お焼香のやりかたもあやふやで
葬儀も16歳くらいで一度いったきり。

何にも知らないままいきなり喪主😂笑


会場についてから、届いたお花を見て驚いた。
身寄りもないような母と私。
お花を出してくれるのは旦那の実家と
私本人がだすお花しかないと思ってた。

そうだと思ってお供えのお花は
寂しくないように私と旦那家で何基も注文した。

でも会場に来たら生前母と親交があった
方々から沢山のお供え花が届いてた。

母が一生懸命に生きてきたことが
証明された気がして嬉しかった。

嬉しかったから、写真を沢山とった。
そして葬儀が始まる前に棺桶にはいって
お披露目スタンバイOKな母に

『やっと今日が来たね!お待たせ。
色々奮発したけど気に入ったかな?』

そう語りかけたら
優しい音の耳鳴りがした。

何となく母が喜んでるような気がした。


会場の確認も終わって
旦那さんと子供がやってきた。

子供には葬儀の3日前に私の母が
亡くなった事を説明した。まだ5歳。
母が亡くなった日に5歳になったばかり。

この子にはなんて説明して
どこまで見せていいのか。

悩みに悩んで人として接することにした。

『大事なお話しがあります。ばぁばが死んでしまいました。』

そうハッキリと伝えるとボロボロと涙を流して大泣きしていた。

死というものをハッキリ理解している泣き方だな。と冷静に思った。

彼女がこんな泣き方をしたのは初めて。

わがままが通らないとき、怒られたとき。
どの泣き方でもなく、小さいなりに
もう会えない事を理解しているようだった。

過呼吸みたいになっている子供を抱きしめて
さらに話した。

『ばぁばは死んでしまった。だから、お別れ会をします。一緒にきてくれるかな?』

そう問いかけると静かに頷いた。

誤魔化さずにハッキリ言って良かったと思う。

私の母との思い出が多い子だったから
本当にショックを受けたようで葬儀まで
夜泣きだったり情緒不安定だった。

でも葬儀前日に、
『明日はばぁばのお別れ会。泣いちゃってもいいからちゃんとお別れしようね』

そう言った。

当日が来て、とても心配だったけど
旦那につれられた子供は吹っ切れた様子だった。


いよいよ、葬儀が始まった。
司会進行の泣かせにくる話し。

五歳の子供にも理解できたようで
彼女は私のハンカチを奪い取り
大人みたいに涙を自分で拭いていた。

、、わたしは何で拭けば?

あとは緊張しすぎてよく覚えてないけど
お焼香のやり方が喪主だけ違う事を
その瞬間に説明されたぞ。脳が大混乱

そしていつのまにか私の念珠と
子供用の念珠を、子供にすり替えられて
喪主なのにお焼香のとき子供用の
ビーズでできた念珠で手を合わすと言う
とんちんかんなことに😂

まぁいい。面白いから←

色々終わって最後の喪主のご挨拶。
葬儀場の人から渡された紙を読む。


...涙で文字が見えない。
全く見えない。
涙が落ちないように見開きまくった。
余計文字が見えない。

今が一番ちゃんと綺麗に終わりたいのに。
紙を読みながら涙が止まらず声も震えまくりで
本当にみっともない挨拶だったと思う。

でも、それでいい。
涙で参列者の顔も全く見えなかった。

見えないから恥ずかしくもない。笑

ボロッボロの挨拶が終わって
棺桶にお花を入れる時間がきた。

お花を豪華にしすぎて棺桶の中パンパン!
入りきれないくらいの花。

それと母が好きだった食べ物を入れた。

そして最後に、子供が描いた絵と
私の文句と感謝を書いた手紙を入れて。

子供も、ばぁばの死に顔に会うことに
迷いがあったみたいだけど棺に花をいれるとき
自分から覗き込んで花をポイとしてた。

結構ケロッとしててこの子は腹が座ってるな。
と思った。

沢山の花に埋め尽くされた母の顔は
穏やかで寝ているだけに見えた。
けど、もう生きていないことだけは
ハッキリと理解できた。

そして棺の蓋が閉められて、霊柩車まで移動する。

送り出しの時のBGMはハナミズキだった。
生前自宅の庭に咲いているハナミズキを
見るのが好きだと話していたから。
この話を聞いたスタッフの方の選曲だった。


母の位牌と遺影写真を抱えてゆっくり歩く。

棺は霊柩車にのせられた。
それを見届けてわたしは霊柩車の助手席へ
乗り込んだ。よくあるドラマのやつみたい。

クラクションを、ファーーンと鳴らして
火葬場までゆっくりと出発。

火葬場までの道のりは全てが
母との思い出がある道だった。

黙っていろいろ思い出しながら
ついに、火葬場についてしまった。

火葬場ではお坊さんがお経を唱えてくれた。
全く関係ない隣の部屋のお坊さんの方が
声量が多くて、うちのお坊さんも負けるな!
頑張れ!って心の中で勝手にお経バトルを
開催してた。気分はラップバトル。

火葬前に母と最後のお別れをして。

待ち時間は母の好きなビールを添えて昼食。

もうやけ食いだよね。
朝から食べてないもん🫠笑

火葬がおわってお骨上げ。
寝たきりが長かったせいか骨がボロボロ。
一番大きな骨でチキンの骨くらい。

原型が無さすぎて、これが
母なんだと言う実感がわかない。

沸かなすぎて、スーパークリスピーじゃん。
としか思わなかった。

そして花柄の可愛い骨壷にすっぽり
入った母は私の腕に抱えられて。

骨壷を抱えて、母の好きだった母家に寄り。
休憩してから私の家に帰った。

全てが終わった脱力感と
骨壷って、なんなんだよ。
やっと帰ってきたのが骨壷かよ。

冷静に見つめてたら
『意味わかんねーよ!』って思った。

でも無事に悔いなく全てが終わった。
長い長い数日間。
また一つ背中の荷物が降りた気がした。

次回お墓編

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