メンチカツ地位向上委員会
26歳無職である。
「一番好きな食べ物」と聞いてあなたは何を想像するだろうか。恐らく唐揚げ、ハンバーグ、寿司、カレーなどがメジャーだろう。
もちろん年齢や性別によって違いはある。赤子であれば、たまごぼうろだろう。老人だったら柿が人気者になる。納豆が1番好きな人だっているだろう。
しかし、好きな食べ物を聞いた時に、ポテンシャルはあるのにも関わらず話題にすら上がらないメンバーがいる。それはメンチカツだ。
彼は見た目こそコロッケと全く同じだが、中身は牛肉でぎっしり詰まっている。むしろ、ハンバーグが入っていると言っても過言ではない。
さらに、表面は衣がついており、揚げられている。
みんな大好き外サク中ジュワだ。
冒頭に挙げた人気キャラ、唐揚げ等の揚げ物たち、さらに、ハンバーグの特徴を兼ね備えているのだ。
少し違う世界線なら、唐揚げやハンバーグを超えた存在として崇め奉られていたことだろう。
しかし、この世界線ではメンチカツが1番好きと主張する人間には出会ったことがない。もし出会っていたら、変な目で見るからだ。
ファミレスに唐揚げ定食、ハンバーグ定食があっても、メンチカツ定食は無い。また、唐揚げ専門店やハンバーグ専門店があっても、メンチカツ専門店は(恐らく)無い。この事実も不当な扱いを証明している。
ではなぜこのような扱いをされているのだろうか。
ひとつは「作り方がクソめんどくさい」ということだろう。
一度ハンバーグ的なものを作り、衣をつけて更に揚げるという工程は、流石に厄介すぎる。しかも今調べたら、「バッター液」なる液体も必要らしい。何だその汁は。
先ほど唐揚げとハンバーグの特徴を兼ね備えたと書いたが、それは作成においても当てはまり、
唐揚げ、もしくはハンバーグならばおよそ半分の手間で作成できるのだ。そのため、家庭での出現度は減り、店舗にしても回転率が悪くなるため、採用されないのであろう。
心理学的に言う「単純接触効果」(繰り返し会うことで好感度が増す)も使えなくなってしまう。
また、上記の理由があるため、出会いの場のメインは
スーパーの惣菜コーナーがメインになってしまう。
スーパーの惣菜は手軽で美味しいが、「絶品」とまで言えるクオリティでは無い方が多い。(あったら教えてください)
そのため、「知っているメンチカツはスーパーの惣菜だけ」という状態になりやすく、彼の印象はそこに固定化されてしまうのではないだろうか。
彼の地位はどうすれば向上するのか。これはもはや地域の肉屋さんにかかってると言っても過言ではない。
メンチカツを出来立てのあつあつで提供してくれる地域の肉屋さんこそが、彼を救うだろう。
あなたもぜひお近くの肉屋さんへ行ってみて欲しい。
他の方法もある。
それは、あなたが「一番好きな食べ物は何か」聞かれた際に、「メンチカツ!」と即答し、狂気的な勢いで熱弁することだ。そうすれば相手はメンチカツを見直し、評価を上げてくれるだろう。もしくはすぐさま話題を変え、あなたへの連絡頻度は下がるだろう。
肉屋とあなたが、彼を救えるのだ。
ちなみに私が一番好きな食べ物は、ラーメンです。