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フリーランス保護法が本日施行! ポイントと具体例を解説

本日2024年11月1日、いわゆる「フリーランス保護法」が施行されました。

この法律により、フリーランスと取引を行う企業は新たな義務を負うことになります。本記事では、実務上の重要ポイントを具体例とともに解説します。
特に、私自身、従業員なしの一人社長の法人を経営しているため、大手企業から仕事を受注する際に重要な3つの観点を先にお伝えします。


フリーランスとして押さえるべき3つの観点

  1. 自身の権利の理解

    • 取引条件は必ず書面やメールでもらう権利がある

    • 成果物提出から60日以内に報酬を受け取る権利がある

    • 不当な買いたたきや報酬減額を拒否できる

  2. 適切なコミュニケーションの重要性

    • 取引条件が曖昧な場合は、書面での明示を依頼する

    • 業務範囲や納期について、事前に明確な合意を得る

    • 問題が発生した際は、早めに相談する

  3. 自身の立場の正しい理解

    • 一人社長の法人でも法律の保護対象

    • 従業員を雇用していないことが重要な要件

    • 発注者として仕事を出す際は、自身も法律の義務を負う


ここからフリーランス新法について解説していきます。

1. 法律の適用対象を確認しよう

対象となるフリーランス

  • 個人事業主(従業員なし)

  • 一人社長の法人(従業員なし)

具体例:

  • ✅ 一人で活動するWebデザイナー

  • ✅ 従業員のいないコンサルタント会社の社長

  • ❌ アルバイトを1名雇用している個人事業主

  • ❌ 正社員を抱える法人

2. 実務で特に重要な3つの義務

(1) 取引条件の書面明示義務

契約時に必ず書面やメールで以下の内容を明示する必要があります。

必要な記載事項:

  • 業務内容

  • 報酬額

  • 支払期日

  • 業務完了の確認方法

具体的な記載例:

件名:Webサイト制作業務委託契約の条件明示

1. 業務内容:企業Webサイトのデザインとコーディング
2. 報酬額:50万円(税込)
3. 支払期日:検収完了後30日以内
4. 納品物:トップページ及び下層5ページのデザインデータ及びHTML/CSSファイル
5. 検収方法:納品後7営業日以内にレビューを実施

(2) 60日ルールの遵守

成果物受領から60日以内の支払いが必須となります。

実務上の対応例:

  • 検収フローの見直し(遅延リスクの排除)

  • 支払管理システムでの自動アラート設定

  • 支払サイクルの見直し(月末締め翌月末払い等)

(3) 禁止行為の回避

特に注意が必要な禁止行為と対応策:

買いたたきの防止

  • NG例:「他社は3万円でやってくれるから、あなたも3万円に下げて」

  • OK例:「予算の都合上、業務範囲を縮小して発注させていただきたい」

不当な報酬減額の防止

  • NG例:「会社の業績が悪化したので、報酬を20%カットします」

  • OK例:「次回契約からの単価見直しをご相談させていただきたい」

3. 企業としての実務対応チェックリスト

  • 契約書テンプレートの改訂

  • 支払管理システムの確認

  • 社内規程の整備

  • 担当者への研修実施

  • 相談窓口の設置

まとめ

フリーランス保護法の施行により、企業側には新たな義務が課されることになりました。しかし、これらの義務の多くは、これまでも適切な取引を行う上で当然考慮すべき事項でした。

この法施行を機に、フリーランスとの協業をより良いものとし、Win-Winの関係を構築していくことが重要です。実務面での対応を着実に進めることで、むしろ業務効率化やリスク低減にもつながるはずです。

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